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2006年11月23日 (木)

労働契約法続き

昨日のエントリーの続きです。

今回の素案の最大の特徴は、昨年の労働契約法制研究会報告が敢然と打ち出した労働者の多数意思による就業規則変更を通じた個別労働契約内容の決定という思想が、ほぼ完全に払拭されてしまったということではないかと思われます。

これには実は大きく2つの問題点がありました。一つは、当初の研究会報告では労使委員会という形で提示され、休み前の素案では複数の過半数代表者という形で示されていた、労働組合以外の労働者意思の代表制度の是非の問題です。労働組合の立場からすると、これは組織基盤を空洞化するものに他なりませんから、そう簡単に同意することができないのはよくわかります。もう一つは、就業規則変更の合理性判断に過半数組合の同意を要することとすることが、過半数組合に属しない少数派の自己決定権を踏みにじるものだという論点で、これを強く訴えていたのは過半数組合の側にいる連合の主流派ではありませんでした。

では、なぜこういう形になったのだろうか、が政治学的に興味深いところになるわけです。まあ、まだ現在進行形の問題を急いであれこれ論ずる必要もないわけですが、連合内部の意思決定過程において、既存の多数派組合の利害よりも少数派組合の利害をより強く意識しなければならない状況が生じてきたということで、これがどういうリパーカッションを生み出すかも含めて大変興味深いところです。まあ、毎年組織率は下落する一方という中で、既存の多数派組合により多くの権限を与えるような法改正に正当性を付与するだけの力がなかったということかも知れません。

こうして、労働条件不利益変更における過半数原理の導入が消え去り、解雇の金銭解決も先送りの様相が濃くなってきましたので、半世紀に一回の画期的な労働立法という触れ込みだった労働契約法は、ほとんど判例法理のリステートメントにとどまるものになるようです。

もちろん、それでも(判例つき六法でなければ)六法全書に書いていなかったことを、ちゃんと明記するようになるわけですから、大いに意味はあるわけですが。

特に、一方の労働時間法制の議論では割賃論議に覆い隠されてなかなかきちんと議論されない長時間労働の問題や、職場における暴力やいじめとの関係で、使用者の安全配慮義務を明記するというのは、大変意義深いことだといえましょう。ちなみに、あるところで紹介されていましたが、例の愉快な奥谷禮子女史、今回も安全配慮義務を盛り込むことに大変強く抵抗された由。

http://bonmomo.de-blog.jp/never_ending_workers/2006/11/post_a0d3.html

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コメント

修正主義的には、

解雇の金銭解決+有期雇用の反復更新

の方向でいいのではないかと

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