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2006年11月24日 (金)

パートって言うな!法律編

朝日が大きくパート法改正案の中味を取り上げています。

http://www.asahi.com/business/update/1124/043.html

この中で特に注目されるのは、「労働時間や就業実態が正社員と同じパートに対し、「待遇での差別的な取り扱いを禁止」する」という点です。これは均衡処遇を超えて男女平等と同じ均等待遇を義務化するものですが、その対象は労働時間や就業実態が正社員と同じ労働者なのですから、これをしも「パート」と呼んで、「パートの均衡処遇」の一環と称するのはいかにもミスリーディングな感じがします。これはむしろ、パートじゃないフルタイム非正規労働者の均等待遇義務と呼ぶべきでしょう。その主たる対象は、就職氷河期に正社員として就職できないままフリーターと呼ばれる形で就労してきた人々であるわけで、こういうところに、味噌も糞もひっくるめて非正規はみんなパートと呼んできたことのツケが出てきているわけですね。

本来ならこれは労働条件分科会で議論されているはずの有期労働者の処遇の議論であったはずではあるのですが、先日提示された素案では、遂に有期契約の話は完全に脱落してしまっていますので、まあその分は雇用均等分科会にお任せしたよということなんでしょうか。本来のパートタイム労働者(それを「それ以外」とかって言うなよなって感じですが)に関する均衡処遇は、「それ以外のパートについても、本人の職務や意欲、成果などに応じて賃金を決定し、残業や転勤があるなど正社員に近い人には、基本給や賞与の決め方を正社員と同じにするよう努めることを求めている」と、現行大臣告示のラインをそのまま法律化するという話ですから、結局新味は「パートじゃないパートの均等待遇義務」ということなわけです。この問題は審議会で労働側が繰り返し攻勢をかけていた点でもあります。

また、「正社員への転換の促進」についても、「企業の義務として、転換制度を導入し、転換の推進に向けた措置を講じなければならない」としたようで、これも主として若年フリーター型のフルタイム非正規労働者を念頭に置いた措置でしょう。

こういう内容の法律を「パートって言うな!」と言いたいところではありますが、まあ、所掌事務の関係上、雇用均等児童家庭局に認められた権限は短時間労働者に関することだけなので、これ以上ケチを付けるのは控えておきます。労働基準局が有期労働者の問題を放り投げてしまった以上、パート担当の方で拾い上げなければいけないわけですから。

ちなみに、こういう風な中味になってくると、「改正案は正社員に近いパートを制度設計の前提としており、「子育てなどで短時間労働を余儀なくされている低賃金のパート労働者の待遇改善が置き去りにされる」との指摘もある」というご批判も出てきてしまうわけではありますが、それを言い出したら話が逆戻りしてしまいますがな。

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コメント

>本来ならこれは労働条件分科会で議論されているはずの有期労働者の処遇の議論であったはずではあるのですが、先日提示された素案では、遂に有期契約の話は完全に脱落してしまっていますので、まあその分は雇用均等分科会にお任せしたよということなんでしょうか。

朝日新聞が、この件に関して朝刊の1面トップで、労働契約法に入れないとパート労働法で規定しても、正社員化が進まない、という労働側の主張を取り上げて、労働政策に整合性がないと攻めています。

・パート労働法-企業に正社員への転換制度の導入義務(素案)
・労働者派遣法-派遣先に一定期間後の直接雇用申し込み義務
・労働契約法-規定を削除(素案)

ウェブ上のソース
http://www.asahi.com/job/news/TKY200611240373.html

紙面では、解説記事付
正社員と非正社員の「格差問題」を考える上で、労働契約法(有期雇用の考え方)は本質的なテーマであり、就職氷河期に希望する仕事に就けなかったフリーター等の非正社員全体の底上げにつながらない可能性がある。

再チャレンジ政策の柱にならないという事でしょうか
やる気と能力のある非正社員を正社員採用してもらうという方法は、一番手っ取り早いとは思います。
試用期間が不要ですし、人材難の中小企業なんかはこの方法を取ってるケースは多いのですが、大企業となると採用基準が違うって事でしょうか。

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