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教師のいじめ自殺

教師「が」生徒をいじめて自殺に追い込んだ云々という話ではありませんよ。なぜかマスコミの取り上げ方に天地ほどの格差があるのですが、先月末続けざまに教師が校長や上司にいじめられて自殺したという報道がありました。

http://www.asahi.com/national/update/1017/TKY200610160380.html

>千葉市立中学校の50代の男性教諭が9月に自殺し、原因を調査していた同市教育委員会は、校長による行き過ぎた指導が背景にあったと認定し、近く校長を処分する方針を固めた。教務主任だったこの教諭は職場で、校長から繰り返し怒号を浴びせられるなどしていたといい、市教委はパワーハラスメント(職権を背景とした嫌がらせ)に当たると判断した。

http://www.asahi.com/national/update/1031/TKY200610300372.html

>鹿児島県曽於市の市立中学の女性教諭(32)が上司から「いじめを受けた」などと訴える内容の遺書らしい文書を残して自殺していたことが30日、わかった。文書は教諭のノートパソコンに保存され、「パワーハラスメント」として抗議しているという。

いや、昨日の話の続きみたいなものなんですが、日教組というのは教師という職業で働く人々の利益を代表する組織なんだから、こういうことにこそもっと問題意識を持った方がいいのではないですか、ということなのです。愛国心だ、日の丸だ、君が代だ、と空中戦やってる暇があるのなら。

いじめ自殺事件ではないですが、こういう過労自殺事案もあります(顧客によるいじめという面もあります)。

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2006102400149&genre=C4&area=Z10

>申請によると、教員は4月、区立小に新任教員として赴任し、2年生の担任(児童数22人)になった。過重労働や過度の精神的ストレスなどが原因で、5月31日に自宅で自殺を図り、翌6月1日に死亡した。 教員の超過勤務時間は1カ月100時間を超えており、平均睡眠時間は6時間未満だった。 保護者から「結婚や子育てをしていないので経験が乏しいのではないか」と、連絡帳に人格を侵害するような内容を書かれることもあった。

思うに、これらは氷山の一角で、全国的に教師の過重労働、メンタルヘルスはかなりひどい状況になっているのではないかと思われるのです。こういう問題をきちんと提起していくことは何よりも重要な課題だろうと思うのですがね。

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コメント

>全国的に教師の過重労働、メンタルヘルスは
>かなりひどい状況になっているのではないか
>と思われるのです。こういう問題をきちんと
>提起していくことは何よりも重要な課題だろ
>うと思うのですがね。
そういう話であれば人権派としても全く賛成で
ございます。

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 15時16分

別にわたしは教員の知り合いなどいないのですが、ときどき教員の方のサイトなど見ると、おそらくお察しのとおりの状況もままあるように思います。
最近医師の方のブログをよく覗いておりますが、その多忙ぶり、また特に勤務医の方の孤立無援ぶりもひどいようです(医師会というのは開業医のものと考えられているそうで)。
思うに、そのような専門性の高い、かつて尊敬の対象とされていた(例の「パターナリズム」でやれていた?)職業の方々において、かつての権威が失われる一方、攻撃の対象となった場合に自らを守るすべがない、という状態が生まれているのでは?と…。

投稿: いずみん | 2006年11月 2日 (木) 16時19分

仰るように、医師会は日教組とはまた全然違う意味で大変政治的な活動に熱心な団体で、日々緊張度の高い長時間労働に苦しむ勤務医の皆さん方の利益代表機関には全然なっていないようですね。
そういうところにしわ寄せが行く時代なんですね。

投稿: hamachan | 2006年11月 2日 (木) 16時59分

医師叩きではなく、「医師会」叩きが起ったとして、利益代表機関として「医師会」の存続は重要であるということになるのかどうか?というか、よう知りませんが、ある種の人にとっては利益代表機関として十分に機能しているように思いますので。ま「コネ階層」という言葉が妥当か、どうかは分かりませんが

しかし、現実には医師会叩きではなく医師叩きの方が先んじていそうではあります。要は代表を名乗る機関であったり、認められた機関が本当は別のものを代表してしまうことが多い、といういつものアレですけど

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 17時29分

ホントはね、勤務医は労働組合に結集すべきなんですよ、だって彼らは給与生活者なのだから。開業医とは階級的利害が一致するはずはないのでね。
ところがそこが専門職のすごいところで、医師国家試験を通った医師という「身分」は、階級対立を超えて彼らを結束させるんですな。

投稿: hamachan | 2006年11月 2日 (木) 17時50分

>勤務医は労働組合に結集すべきなんですよ、
>だって彼らは給与生活者なのだから。開業
>医とは階級的利害が一致するはずはないの
>でね。
そりゃ、そうですよね

>医師国家試験を通った医師という「身分」は、
>階級対立を超えて彼らを結束させるんですな。
結束してると思ってる(思わされてる?)のは
勤務医の方だけだったりして。似たような話は
他にもありそう

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 17時59分

教員の自殺の件で問題なのは
音楽の教師に国語や家庭を担当させたという点ではないでしょうか。
問題の中学校が小規模校ということで教員免許がなくても合法ではあるようですけども、企業で行なわれたリストラと同じ構図があるように思います。

投稿: とおりがかり | 2006年11月 2日 (木) 18時02分

>教員の自殺の件で問題なのは音楽の教師に
>国語や家庭を担当させたという点ではない
>でしょうか。
そうだとすると「気が付いたら違う仕事に」
問題になりますけど。実際どうなんでしょう

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 18時35分

必修偽装事件で理科や社会の教師に家庭科をやらせたとかいうのがいっぱい出てきていることを考えると、学校教育界といえども日本的労務管理の世界に変わりはなく、ジョブではなくメンバーシップに立脚した世界であったように思われますが。
だとすると、違う教科を担当させたというようなことが自殺のもっとも主たる原因であるというのはちょっと違うのではないかと思われるのですが。いや、違う教科を何もわからないままやらされて、それで莫迦の阿呆のとけちょんけちょんにやられたのが原因だとすればわかりますが、それはもっぱらいじめのための理由付けであって、ちょっと問題の位相が違うように思います。

投稿: hamachan | 2006年11月 2日 (木) 20時56分

家庭科の話は、まあ適当にやっててくれれば別にOKだからね、というのがあるかと思うんですけど

英語や数学などの受験に重要な科目とちょっと違うかなと。逆に、家庭科の人が英語や数学を担当したら、苦しいんじゃないでしょうか。一律にジョブだなんだという話ではなくて

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 21時34分

要は、技術的要求水準が高かったのか、どうかなと。
小学校で音楽の先生が国語や家庭を担当することに
技術的ギャップがあるのかどうか。仮にギャップが
あるとしたら、職場内訓練体制が整備されていたの
か、どうか。まあ、整備されているのだとしたら、
メンバーシップ型なのに、わざわざイジメで訓練を
受けさせなかったということになりますよね

投稿: ふま | 2006年11月 2日 (木) 21時46分

そういえばドイツでは大学病院の勤務医がストライキやったりしてるんですよね。日本にも「医労連」なんて組織があるようですが、これが医師も含む組織なのかいまいちよくわからないですし、医師の側からこの組織についてコメントがされているのを見たことはないです(大学病院の看護師が手厚く保護されてるのは労組があるから、みたいな記述はよくある)。

ところで、勤務医が「開業医とは階級的利害が一致するはずはない」のに結束している(?)ように見えるのは、職業的専門性もさることながら、実際に勤務医の多くが自身の開業をキャリアパスとして身近に考えていることもあるのではないかと思われます。

また、「バイト」という言葉も彼らの言説によく出てきますが、「フリーター」などの言葉が秘める「労働弱者」なニュアンスはそこには感じられません。相当の高給を得られているからなのか、「当直という名の夜勤」に代表されるように組織に属していても別に労働者として守られている実感がないからなのか、それはよくわかりませんが。

「教師の労働」に関するエントリなのに長々と「医師の労働」について書いてしまいました^^;ただの会社員からみるとなかなか興味深い「労働者」なので。。。

投稿: いずみん | 2006年11月 3日 (金) 01時02分

hamachan先生と僕では同じ言葉、例えば専門性、でもその感じが大分違うところがあるのかも。ごく普通の中学で英語の『免許』を持って英語を教えている人よりも、有名予備校で免許無しで英語を教えている人の方が私が感じる専門性は高いかもしれない訳です。もちろん、『正規の高校』でも進学校であれば予備校と事情が似てくるだろうし、家庭科なら専門性が要求されることは少ないと思う。一方、進学校ではなくて調理師専門学校ではどうでしょう?ある種の現場では家庭科なんて本当はあんまり要らんと思っているが、政府からの形式的要求を満たさなければならい場合にそれに対応するための形式的専門性が要ることはあるかもしれないけれど、実質的な専門性は要らんのではないでしょうか。現場で必要な実質的専門性を持っている人達に、別の形式的な専門性獲得のお勉強をしてもらうというのも、日本的労務管理であるとは言えるかもしれませんね。

投稿: ふま | 2006年11月 3日 (金) 08時41分

医労連は看護師を中心としてその他の医療系専門職(何とか技師ってのが結構あるでしょう)の組合ですが、医師は入っていないようですね。日本の医療の世界では、医師というのは医師であるというだけで経営側と見なされいるようです。

ところが、いずみんさんが指摘されたように、ヨーロッパでは医師も組合を結成してストライキやったりしてますし、夜間の待機時間が労働時間にカウントされないのはけしからんといって裁判に訴えたりしています(この件はこのブログでも何回か取り上げました)。日本でも、夜間の救急対応を監視断続労働という名目でやってるという実情がありますが、医師の中から訴えようという話にはならないようです。

ハーシュマン流にいえば、ボイスよりもエグジットで問題を解決してしまう(できなければあきらめる)という形になっているんですね。

仰るとおり、ある時期までは勤務医も自分のキャリア設計としてはいつか開業して・・・というのが多かったと思いますが、現在の状況を考えればそれは多くの勤務医にとってはもはやあり得ないものになっているわけですから、そろそろ集団的行動様式を変えていかないといけない時期ではないかと思うのですよ。

投稿: hamachan | 2006年11月 3日 (金) 14時48分

ここで取り上げた曽於市の中学校の音楽教師のいじめ自殺について、かの有名なきっこのブログが内幕情報を書いています。

http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2006/11/post_523a.html

ふむふむ、やっぱり、音楽教師に国語をやらせたのが直接の引き金のようですが、その前から校長の嫌がらせが繰り返されていたようですね。
一方からの情報なので、どこまで本当か分かりませんが、組合もあまり機能していないようです。

投稿: hamachan | 2006年11月14日 (火) 11時18分

ま、科目を変えさせられた「だけ」で自殺する教員が
そうそういるとは普通考えにくいですよ。

投稿: フマ | 2006年11月14日 (火) 15時14分

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