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2006年11月10日 (金)

中学生を違法派遣

何のことか?と思われたかも知れませんが、人材派遣会社が中学生の男女22人を佐川急便に派遣していたという話です。

http://www.asahi.com/national/update/1110/NGY200611100009.html

「中学生らは年齢を偽って登録していたといい、佐川急便側は「身長が170センチを超える子もいて、若いフリーターと見分けがつかなかった」と話している」とのことですが、さて、「違法派遣」という見出しなんですが、厳密に言うと労働者派遣法違反というわけではない。

何の違反かというと、労働基準法第56条、最低年齢の違反なんですね。同条は原則として「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」としていますが、「前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする」と規定しており、中学生の就労も一部認めています。

ただ、この「第五号」が「ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業」ですから、中学生が佐川急便で就労するのは全面的に禁止のはず。

ところが、これは労働者派遣ですから、違反しているのは派遣会社のABCサービスであって、佐川急便ではないんですね。少なくとも、派遣法第44条で派遣先にも責任が負わされる条項ではない。それどころではありません。労働者派遣事業関係業務取扱要領をご覧下さい。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/index.html

派遣先は派遣労働者を特定することを目的とした行為をしてはいけないんですね。具体的には「派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等の派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと」「例えば、派遣労働者を35歳未満の者と限定することや男性(女性)と限定することも、当該規定に抵触するものである」とされています。

さあ、困った。佐川急便は「身長が170センチを超える子もいて、若いフリーターと見分けがつかなかった」と言い訳しているんですが、それでは身長の短い子に「お前は厨房じゃないか」ということも下手すると派遣法違反になるかもしれないですね。

さらに、年齢による差別的取扱いは禁止されていますので、「派遣先が派遣元事業主に対し派遣労働者の年齢を指定し、また、年齢制限を設けて募集、採用するよう要請する行為は、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行っているものと解され、認められないこと」とされ、例外的に「ただし、年齢指針第三の「年齢制限が認められる場合」の九及び十に該当するケースについては、例外的に派遣先が労働者派遣に際し派遣元事業主に対し、年齢の限定を行うことが認められると解して差し支えないが、この場合には、年齢指針第三の考え方に準じ、派遣元事業主に対し年齢制限の理由について説明して初めて年齢の限定が認められることに留意すること」とされています。この年齢指針の「九」が労働基準法等による就労制限ですので、年齢制限は「やってもいい」ことにはなりますが、ちゃんと理由を説明しないといけないんですね。

いずれにしろ、中学生を雇っていたのは派遣会社ですからそっちの責任には違いないのですが、問題は、どの業種の派遣先に派遣するかで、それが違法なのか、合法なのかが変わってくるということです。中学生はみんなお断りという対応をするわけにはいかないのですよ。それは年齢差別になる可能性がありますからね。

という風に、ちょっと考えただけでもいろいろと妙ちきりんな問題がいろいろと出てきます。派遣法を作るときにはこういうことはあんまり考えなかったんでしょうねえ。

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コメント

★中学生22人を違法派遣 「フリーターと見分けつかず」
ABCサービスという会社は労基法違反常習なのでこのようなことが起こってしまうのです。

労働基準法第56条、最低年齢の違反だけが問題なのではなく第32条 労働時間についても毎日12時間~15時間働かせ請求を別書きにしてごまかしていたりと、さんざんです。
これは取引先が24時間稼働の飛脚急便であるということと、社員自体も帰って4時間寝ることが精一杯の過酷な勤務をさせられており酷い労働をスタッフにさせているという感覚が麻痺しているせい。
叩けば改めるという体質ではあるようなので、スタッフや社員がどのような過酷な勤務をしているのかをこの際徹底的に追及して欲しいものです。
過労死寸前でやめていくためになかなか事件に発展しないから、明るみにでないままとはやりきれません。

書き込めるでしょうか

失礼、数ヶ月前はなぜか書き込めなかったもので。

>中学生が佐川急便で就労するのは全面的に禁止のはず。

労基法では学生の身分による禁止ではないはずです。
中学生が禁止となるのって、実務ではそうなってるんでしたっけ?

>中学生はみんなお断りという対応をするわけにはいかないのですよ。それは年齢差別になる可能性がありますからね。

年齢差別ではなく身分差別だと思います。

本文中にも書いてありますように、労働基準法は「使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない」と規定しています。貨物取扱い業務はこれが例外なしに適用されます。
この規定は、もちろん中学生という身分に着目したものではありません。かつて中学教育を受けられず、中高年になってから夜間中学に通っている中学生たちにはもちろん適用されません。
そういう意味で言えば、mintさんの仰るとおりです。「学生の身分による禁止ではないはずです」。
ただ、中学校までの義務教育制がとられている現在、これを「中学生が佐川急便で就労するのは全面的に禁止のはず」と表現することは、内閣法制局で法令審査を受けているのであれば格別、このブログのような水準の言説としては許される範囲内ではなかろうかと考えております。

ご承知の上でお話になっておられるものと思いますが、上記現行基準法の規定は、1998年改正による改正後のもので、それ以前は「満十五歳に満たない児童は、労働者として使用してはならない」という規定でした。すなわち、中学生であっても15歳になっていたら労働者として使ってよかったのです。ですから、1998年改正以前であれば、本文のような単純なものの言い方をすることはありません。1998年改正自体が中学生という身分に着目して規制を若干拡大する改正であったわけですから、それを「身分差別」というかいわないかは別として、そういうものであることは事実です。

>改正自体が中学生という身分に着目して規制を若干拡大する改正であった

そもそも学校が年齢差別的ですから。良い悪いはともかく

もっといえば、社会の先輩が後輩に社会の在り方を教え込むという「教育」という営為そのものが、年齢による位階秩序をある程度まで前提にしているわけです。厳密にではなくてもね。

うーん。そうは言うけど、普通科って、あんまりそういう感じではないような…

高学歴化する中で、学生という身分がOJT的なものから隔離されることでもあるという状況は、あんまり良くないと思う

こちらも、言葉の意味を取り違えておられるような。ここで「先輩」って云うのは主として教師のことですよ。マクロ社会学的に教育とはそういうことでしょ、ちうこと。「ウッス、センパイ」の世界の話をしているわけではない(含まないわけでもないが)。

>先輩が後輩に社会の在り方を教え込む

うーん、「学校に」はともかくとして「教師に」それを求めるのは難しいと思うんだけど。

よく言われることだけど「大人達の社会」と言ってもいろいろあることが、難しくしてる。

いやいや、まだ「ウッス」の世界で考えておられるような。
教科書に書いてあることが、社会の先輩が後輩に教え込まなければならないと考えていることなんですよ。裏知識の前に表知識のこと。
という話をした上で、しかしながら、教師もその言動によってリベサヨさんの考えているような「大人たちの社会」で生きていくための教科書には書いていない知識を教えることがある、という注釈がつくのであってね。それは注釈に過ぎない。私は本文の話をしています。

>教科書に書いてあることが、社会の先輩が後輩に教え込まなければならないと考えていることなんですよ

おしゃっていることは分かりました。ただ、自然科学から見れば、教科書に書いてあることは別に「社会の在り方に限ったことではない」のですので。社会科学から見れば、そうでしょうけど。そこに年齢差別的な構造はそれほど必要でないとは思いますが。

>ただ、中学校までの義務教育制がとられている現在、

確かに義務教育期間の終了と、労働可能期間の開始は同時です。
しかし、義務教育期間は終了しても中学生であり続ける場合もあります。
「中高年になってから夜間中学に通っている中学生たち」だけではなく、一般の中学校の若年者でも、1年以上留年すれば中学3年次は義務教育対象外です。

実は小中学生のうち、義務教育期間を過ぎた人(学齢超過者)は約5万6千人存在し、全中学生の1.4%ほど(全小中学生の0.5%)になるのです。
21世紀に入ってから、年齢別教育を見直す動きが強まり、こういった立場の人は増加すると言われています。

>1998年改正自体が中学生という身分に着目して規制を若干拡大する改正であったわけですから、

これは、本当に「中学生」に注目したのか、ちょっと私にはそのまま飲み込めないです。
その改正では、ちょうど学齢期の終わりと一致させるように変わってますね。
つまり、中学生を対象にしたのではなく、学齢者を対象にしたのだろうと、個人的に思います。

実はこのブログ以外でも、中学卒業以上が労働の条件、と書いてあるサイトは結構あります。
しかし、中学を卒業していない人を雇ってはならないという規制は存在しないにもかかわらず、まるでそういう規準があるかのような説明が随所にあるわけで、正しい情報が分からなくなっているのが現状です。
私は学校制度について在野で研究中ですが、この種の「年齢的な少数派」があまりにも無視されているのを常々感じていました。
合法にもかかわらず、そういう説明を見て自分の仕事は基準法違反だと思ったりしてもおかしくないのです。
ですから、「15歳の3月・・・」といちいち書くのが面倒ならば、「学齢期の人」という表現で代用すべきだと思うのです。
(「義務教育期の人」とした場合は外国人などが除外されるので不正確になります)

マイノリティーの学習帳 - 学齢超過者の小中学校等の在学
http://mywiki.jp/yuto/%83%7D%83C%83m%83%8A%83e%83B%81%5B%82%CC%8Aw%8FK%92%A0/%8Aw%97%EE%92%B4%89%DF%8E%D2%82%CC%8F%AC%92%86%8Aw%8DZ%93%99%82%CC%8D%DD%8Aw/

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』年齢主義と課程主義
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E9%BD%A2%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%A8%E8%AA%B2%E7%A8%8B%E4%B8%BB%E7%BE%A9

詳しくお調べになりたい方はこちらをどうぞ。
労働の話ではなく、在学年齢の話ですが。

>実は小中学生のうち、義務教育期間を過ぎた人(学齢超過者)は約5万6千人存在し、全中学生の1.4%ほど(全小中学生の0.5%)になるのです。

これは不敏にしてよく知りませんでした。ただ、上記1998年労働基準法改正のもとになった年少者労働問題研究会報告(1995年4月)では、「義務教育期間中であっても満15歳に達すると法的保護が受けられなくなるという現行法制については検討を要する面がある」と書かれており、問題意識はそこにあったことはあきらかです。

それは義務教育の避止義務にあたる部分の話ですね。
労働しないという制度をいっそう完全にするために改正になったのだと思います。
中学生という身分をどうこうという考えではなく、あくまで年齢が問題ということですね。

なお、昔手違いで14歳で中学を卒業した例がありましたがこれは特例です。
下限は一定、上限は不定なのです。

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