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2006年10月12日 (木)

請負で指揮命令したい足立区

ここのところの偽装請負騒動で、請負と派遣の区別などという労働法の専門家でも物好きな人しかあんまり知らないようなマイナーな話題が一気にメジャーになってしまいましたが、民間開放政策のパイオニアとして一部構造改革派から熱いまなざしを投げかけられているあの足立区が、この問題に深く関わる要望を出していたんですね。

http://www5.cao.go.jp/koukyo/iken/060711/2iken/2/3naikaku.pdf

これは内閣府公共サービス改革推進室のHPに掲載されている意見要望とそれに対する回答です。この表は内閣府の担当のところですね。足立区はこういう要望を出しています。

「民間事業者への業務委託を委託契約に基づき委託すると、行政機関側は委託業務従事者に対しての直接的な指揮命令権が生じない。一方、労働者派遣契約においては、あらかじめ定める現場責任者の指揮命令を受けることが可能である。
 市場化テストを実施したうえで民間事業者に事業又は事務の委託をする場合は、委託業務従事者が業務遂行する過程において、行政機関の指揮監督下に置き、必要に応じて随時指導、指示できるよう、公共サービス改革法における特例措置を設けてほしい。」

その要望理由はこういうことです。「窓口業務という直接的な住民対応サービスを民間企業が実施する場合においては、日々、職員との連携した対応が不可欠となる。
 円滑な事務処理、サービス提供をするためには、業務委託関係か労働派遣関係かにとらわれることなく即応する指導、指示が必要である。」

そりゃあ、窓口業務に限らず、役所だって民間企業だってみんなそうでしょうなあ。だけど、そんな理屈で認めていたら、全部OKになるわけで、足立共和国って日本から独立した国になって、派遣法も職安法も全部チャラにするというのなら別ですけれど。

さすがにこれに対しては、内閣府でさえも、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律の趣旨・基本理念は公共サービスの実施に関して、民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより、国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現することであることから、民間事業者が公共サービスを実施するに当たっての契約方式として、委託契約によることとしている。他方で、ご指摘のような派遣契約方式を認めると、派遣会社から派遣された者に対し、行政機関からの直接の指揮命令がなされることとなり、上記の法の趣旨目的とは相容れないことになると。このため、御指摘の派遣契約を認めてほしいとの意見は受け入れられない」と拒否しています。

ところが、足立区は既に先月29日、「公共サービス改革の推進に関する条例」を制定し、「住民票発行などを行う区民事務所の窓口業務を民間の人材派遣会社に委託する」ことにしちゃったんですね。

http://www.sankei.co.jp/local/tokyo/060930/tky003.htm

これは本当に訳の分からない条例ですね。サンケイによると、「派遣された職員は区民事務所の窓口業務を全般的に担当する。住民票や戸籍謄本、印鑑証明、課税・納税証明書など個人情報を伴う各種証明書類の発給にも関与することになる。 国の改革法では、派遣職員は申請の受付と書類の引渡しに限定しているが、足立区の条例では、委託する業務の範囲を広範にとらえ、申請の受付や交付のほか、情報端末の操作も含めることにした」云々とありますが、業務の範囲は別にどちらでもいいんですが、一体この「派遣職員」という人達は、労働者派遣の枠組みで働くんでしょうか、それとも委託契約(請負契約)の枠組みで働くんでしょうか。

「人材派遣会社に委託」とありますから、法律上は請負なんでしょう。そうすると、派遣労働者ではありませんから、指揮命令すると偽装請負になるんですけど、区長さん、最近新聞読んでますか?

「内閣府公共サービス改革推進室は、足立区の条例が国の法律に基づいているかどうか、近く説明を求める方針」だそうですが、内閣府所管の法律だけの問題ではないんですよ。

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コメント

労働・社会問題の平家さんからトラバを頂きました。

いやあ、まさに仰るように、窓口業務を委託(=請負)でという発想に無理があるわけです。

結局、公務員では労務コストがかさむだけだし、組合が強くてなかなか言うことを聞かせられないのを、委託というサイド攻撃で突破してやろうという不純な動機が根っこにあるわけですよ。

今後、足立区がどこまで突進していくのか大変興味があります。明確に実定法に反しているものを、いかに規制緩和サイドといえども救済することはできないはずですし。

このあたり、公務員法制の観点からも今まであまりきちんとつっこんだ議論がなされていないところなんですね。

法律的な問題、無理は分かりますが…

公務員では言うことを聞かせられないということは言い換えると実は公務員だと指揮できないということだから、実質的に…

反則的なサイド攻撃でなくて云々、ということでしょうけど

こんにちは。

こちらの件、どうしてこの業務を市場化テストの対象にしたかったのかよくわかりません。労務コストや組合がイヤだというなら、アルバイト(時給制有期雇用契約職員?)として個別に契約を結んだ人ではいけないのでしょうか。それなら区の側で指揮命令できると思うのですが。

逆に、業務そのものを徹底見直しするところまで腹を据えてやるのであれば、民間委託も別にアリな気がします。ごみ収集なんかはすでに民間委託されてるわけですし。その場合は、窓口オペレータのマネジメントも委託業者側がやるのでしょうね。

事前の認識が甘くて、やってみたら混乱しちゃって。。。ということなんでしょうか。

市場化テストについていえば、本来事業所まるごと委託して、委託していない事業所とどちらが効率的かを競うという話だろうと思います。
それこそ、例えばあるハローワークを丸ごと民間委託して、業務運営は法令の範囲内で委託された所長に委ねる、という話のはずで、
委託していないハローワークとどっちが就職率がいいか、というようなことですね。それなら別に偽装請負にはならない。
窓口だけ委託というのは、工程のある部分だけ切り出してきて請負ですというようなもので、かなりいかがわしいとは思いますね。
足立区役所丸ごとどこかの会社に委託するのなら、労働法学者がどうこういう話はなくなるとは思いますが、そのかわり行政法上の山のような問題点が出てくるのでしょうね。

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