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2006年10月31日 (火)

許し難い本

戸塚悦朗氏の『ILOとジェンダー 性差別のない社会へ』(日本評論社)です。

453551205101_ss500_sclzzzzzzz_v65930225_http://www.amazon.co.jp/ILO0680b80a70f30c00fc-15%6027-eeR2506e06a044y3eO1a078-%E6%88%B8%E5%A1%9A-%E6%82%A6%E6%9C%97/dp/4535512051/sr=8-1/qid=1162257800/ref=sr_1_1/503-1488340-3867946?ie=UTF8&s=books

いや、ジェンダーがけしからん、などとどこぞのおじさまみたいなことを言っているのではありません。題名だけ見ると、いかにもILOの男女平等政策を取り扱った本みたいに見えるでしょう。もしそうであるなら、この分野は類書が比較的少ないだけに、有益な本という評価になるところです。

ところが目次を見るとですね。「第1章 ILO創設と男女平等賃金原則の成立」「第2章 国際機関を動かす女性運動」と、まともな内容がひとしきり続いたところで、次に「第3章 日本軍性奴隷問題とILO」なる文章が来る。これが何かというと、この戸塚氏が毎年のようにILOにいわゆる「従軍慰安婦問題」を持ち込んで騒ぎを起こしてきた経緯を延々と綴った文章です。

それがひとしきり終わって「第4章 日本の女性賃金差別とILO」で第100号条約という女性労働関連の話になったかと思ったら、最後の「第5章」で日本軍性奴隷が女性賃金差別の原因だとか、訳の分からないことを書いて終わっている。

いや、これがもっぱらいわゆる「従軍慰安婦」問題について書かれた本ならいいんですよ。どうせ、そういう人しか読もうとしないでしょうし、本来現在の労働問題を取り扱うべきILOに、「従軍慰安婦」は強制連行されたからILO強制労働条約違反だなどという馬鹿げた話を何回も持ち込んだアホな弁護士の手柄話か、というだけに終わりますから。

ところが、この本の半分はILOの男女平等政策についてのよくできた解説書になっているんですね。しかも、類書はあまりない。そうすると、各地各大学の図書館などでも、労働問題の棚に、これは必読文献だてな感じで入ってしまうんではないか、「国際労働法を学ぶ上で有益だから読んできたまえ」みたいな感じになってしまうんではないか、と怖れるわけです。というか、恐らくそういう効果を狙って、わざと外見はILOの解説書みたいな感じにして、中味で性奴隷、性奴隷、と繰り返しているのでしょう。

こういう本がはびこると、「ジェンダー?ああ、あれやろ、あの従軍慰安婦がどうたら喚いとるアホ女どもやろ、いらんいらん、はよいね」という反応がますます高まって、結果的に大変まずいことになると思うんですがね。まあ、しかし、こんなところで苦情をこぼしても何にもなりませんが。

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