派遣請負狂想曲
BUNTENさんの転落日記の件、労働問題の専門家としてブログを開いている以上、やっぱり言っとかないと無責任だろうと。
http://air.ap.teacup.com/bunten/14.html#comment
これ、派遣なのか請負なのかよく分かりませんが、どちらにしても、派遣先、請負の送出先が「このBUNTENって奴は前に落とした奴だからダメ」ってなことを言うことは、そもそもあり得ない、法律上は。
まず労働者派遣法第26条第7項「労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。」
業務取扱要領では「派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、労働者派遣に先立って面接すること、派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させることのほか、若年者に限ることとすること等の派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないこと」とあり、「例えば、派遣労働者を35歳未満の者と限定することや男性(女性)と限定することも、当該規定に抵触するものである」と書かれています。ましてや「BUNTENさんはダメ」などということは許されないのです。
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou/dl/9.pdf
これは考え方としては、派遣というのはあくまでも派遣会社が雇っているんであって、派遣先は派遣会社の販売する種類債権としての労働サービスを購入するカスタマーに過ぎない。派遣会社が「こいつは使える奴だからこの会社に派遣してやろう」と考えて派遣する以上、この人はいいけどこの人はダメというのは派遣という仕組みの根幹に関わるという考え方です。つまりもしそれを認めてしまうと、派遣会社は自分で雇ってるんじゃなくって、斡旋しているだけということになる。
ちなみに、法律論を超越している規制改革・民間開放推進会議サマは、「事前面接を解禁すべし」と主張し、これは閣議決定されていますが、法改正の検討は現在進行形であって、現時点では(紹介予定派遣を除き)事前面接は不可です。
さらに請負であれば、派遣と異なり送出先の指揮命令を受けない(はず)なので、送出先があれこれいうこと自体が言語道断ということになります。
この記事にある××工業というのは、BUNTENさんを雇うわけではなく、たまたまBUNTENさんの就労場所であるに過ぎないのですから、前に受けて落ちた会社であるかどうかなんて関係ないのですよ。関係あったら違法派遣か偽装請負になってしまいます。
というようなことを、ハロワの職員だったらちゃんと理解して説明しなくちゃいけないんですけどね。
(追記)
せっかくだから、前の生活保護の方にもコメントしておきます。
ぶ:では質問させてください。住所がなければ生活保護は受けられないと聞きましたが、間違いありませんか。
福:そうです。
うそです。
「第二 実施責任
保護の実施責任は、要保護者の居住地又は現在地により定められるが、この場合、居住地とは、要保護者の居住事実がある場所をいうものであること。
なお、現にその場所に居住していなくても、他の場所に居住していることが一時的な便宜のためであって、一定期限の到来とともにその場所に復帰して起居を継続していくことが期待される場合等には、世帯の認定をも勘案のうえ、その場所を居住地として認定すること。」
(生活保護法による保護の実施要領について(昭和三六年四月一日)(発社第一二三号)(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知))
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>福:そうです。
>
>うそです。
このへん、そういう意味に受け取れる言い方をされましたのでこのように書きましたが、実際に「そうです」と断言されたわけではありません。m(_@_)m
投稿: BUNTEN | 2006年9月 6日 (水) 20時22分
具体的に担当者がどういうものの言い方をしたにせよ、「そうではないはずだ」と明確に言うことが大事です。今のBUNTENさんにとっては、自分に操作可能な変数でないリフレなぞより、福祉事務所や安定所の職員を動かせる制度の方が百万倍重要なはず。
投稿: hamachan | 2006年9月 6日 (水) 22時49分
いずれにしても、早く仕事が見つかることの方が重要ですね。
ご健闘をお祈りします。
投稿: hamachan | 2006年9月 7日 (木) 09時07分