リクルートとグローコムと本田由紀
朝日の雑誌『論座』で、リクルートワークス研究所の大久保幸夫さん、国際大学グローコムの鈴木健介さんと、本田先生が若年労働をめぐって対談しています。
http://opendoors.asahi.com/data/detail/7583.shtml
この対談のおもしろさは、鈴木健介クンの乱暴な議論を本田先生がたしなめ、大久保さんがたしなめている、その大久保さんが実はリクルートでフリーターを煽り立ててきた張本人であるという、何とも言えない三角関係ですね。
鈴木「地元でまったりフリーターとして働くことも合理的な選択の一つなのかも知れない。新卒で正社員にならないことがどの程度問題なのか、再検討が必要かも知れません。」
本田「いや、フリーターの満足度の高さを額面通り受け取るべきではないでしょう。・・・彼ら自身がどう思っていようと、社会政策に携わるものがフリーター的存在を手放しで容認する立場をとるべきではない。」
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鈴木「私は、規制緩和というならまず、被雇用者の流動性を高めるべく、正社員一括採用を撤廃すべきだったのではないか、とさえ感じています。」
大久保「いや、むしろ新卒一括採用は絶対にやめてはいけないと思います。未経験の新卒者の定期採用は、雇用市場にとってもプラス効果が大きいし、OJTの効率もいい。新卒採用をやめれば、失業率は短期的に大幅上昇するでしょう。」
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リクルートの人間が今さら言うかよ、という気持ちはとりあえず横に置いて、この対談でもっとも現実可能性のある処方箋を提示しているのは大久保さんですね。当面、景気回復による新卒採用の売り手市場を利用して、フリーターから正社員への移行を進めていくなり、非正規雇用の領域のキャリア化(正社員型でない長期雇用)をすすめていくということなんでしょう。
(追記)
これじゃなんだかリクルートに恨みがあるような書き方ですけど、ワークス研究所はいい成果を出しています。最近出たものでは、
http://www.works-i.com/publish/works_review_2006.html
という論文集が面白い。上の対談に関係するものとしては、岩脇千裕さんの「大学新卒者に求める「能力」の構造と変容-企業は「即戦力」を求めているのか」があります。
https://www.works-i.com/pdf/works_review_2006_13.pdf?PHPSESSID=bf3e76898555de34ca2135c0aa7944e6
ちなみに、岩脇さんも教育社会学と若者の雇用を専攻するJILPTの研究者です。
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「鈴木健介クンの乱暴な議論を本田先生がたしなめ、大久保さんがたしなめている」というのは、正しくは、あるいはもともとは、「鈴木健介クンの乱暴な議論を本田先生がたしなめ、その本田さんを大久保さんがたしなめている」だったんでしょう? 一度書いてあとから書き直したでしょう? 内藤さんが鬱陶しいのか、それとも本田さんに言い過ぎたと少し反省してらっしゃるのか知りませんが、歯に衣着せると面白くないですよ。
投稿: 通りすがり | 2006年9月 5日 (火) 14時29分
違います。そうであれば面白かったんですが、そういう対談になってはいません。あなたは(通りすがりというくらいだから)雑誌を読まずに書いていますね。ブログは気楽に書けますが、自分の不注意さが露呈する恐ろしいメディアでもあります。気をつけた方がいいですよ。
投稿: hamachan | 2006年9月 5日 (火) 14時41分