JAMの請負労務対策
金属機械産業の労組であるJAMの大会で、会長が請負労務対策について語っています。
http://www.jam-union.or.jp/katudo/taikai/8-taikai/kaichyou-aisatu.html
組織拡大についてもう一つの視点は、派遣・請負労働者の組織化問題です。ここ数年議論してきましたが、派遣・請負労働者の組織化は、簡単にできるものではないことが、はっきりとしてきました。
一般的に、従来からものづくり産業においては、非正規労働者は、繁忙期と閑散期の生産調整要員として、一方では軽易な作業を行う要員として、非正規労働者の中でもパートを中心に20%~25%程度の要員が確保されていました。従って、非正規労働者の組織化という概念が薄く殆どの組合で非正規社員の組織化がされていませんでした。
今年度の活動の中で、産業政策の一環として派遣・請負労働者のものづくり職場に与える影響について調査してきました。8月に中間報告書が出ましたが、この調査結果から判断すると、ものづくり職場(生産部門)では従来のパートに代わって請負労働者が圧倒的に多く使われていることが判明しました。大手・中堅企業を中心として40%(組合員比率)以上の派遣・請負労働者が職場に配置され、その数は拡大の方向にあることもわかりました。生産現場の組合員数との比率では、過半数を超えていると推測されます。実際に組合員比率で、過半数を超える派遣・請負労働者を抱える企業も数多く、労働者を代表する組合とは言い難い単組も存在することも判明しました。特に、ものづくりの現場では、派遣・請負労働者の内、請負労働者が圧倒的に多く、法的に見ればグレーゾーンの請負労働者を使っているところも多く存在することがわかりました。技能・技術の継承という点から見れば、技能・技術の継承が必要な職場に請負労働者が多く存在することも明らかになっております。
一方において、ものづくりに理解のある経営者の中には、技能・技術を継承するために、派遣・請負労働者の数を制限している企業も多々あります。ただ残念なことに、労働組合側に派遣・請負に対して関心の薄い単組も多く見受けられます。また、本部への問い合わせでは、どのようにすれば法を逃れることができるかいうものもあると聞いております。
最近、派遣・請負労働者の実態について違法性があるという指摘をしたマスコミ報道がありました。加えて、厚生労働省でも社員化に向けて厳しいチェックが強化され始めました。
このような状況を踏まえて、労働組合として、今一度、改正労働者派遣法の主旨に沿って、経営側との協議を行っていくべきだと思います。特に、技能・技術の継承を重視してきたJAMとしては、技能・技術の継承が必要な職場には、確実に正社員を配置させる等の協議を重視したいと思います。
また、外部から指摘を受けるということではなく労働組合自らが、企業のコンプライアンスやCSRという視点からチェックをするという事も重要な役割だと思います。社員化に向けた話し合いが必要であろうと思います。
是非、労使協議の遡上に載せて可能な限り社員化、即ち、組合員の拡大に向けた議論を強めて頂きたいと思います。
これまでの組合としての関心や取り組みの手薄さを率直に反省しつつ、ものづくり技能・技術の伝承というJAMの看板的問題意識から、正社員化に向けた労使協議を進めていきたいという方針を打ち出していて、概ね頷けます。とはいえ、すべてを正社員化するのは無理ですから、できれば、派遣や請負労働者という身分のままで、派遣先、就労先の職場の組合員として加盟できるような枠組みも考えていくべきでしょう。
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