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最低賃金と生活保護(審議会)

平家さんとのやり取りを思い出す議事録を見つけました。

http://takamasa.at.webry.info/200608/article_19.html

労政審の最低賃金部会における使用者側委員の発言です。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/04/txt/s0426-2.txt

「・・・次に、「地域別最低賃金」の(1)「生活保護との関係の考慮」です。私どもは、そもそも最低賃金制度と社会福祉政策との間の整合性を図ることについては疑問を禁じ得ません。さらに言えば、労働の対価である最低賃金と社会福祉としての生活保護では、根本が全く異なり、その両者の間で整合性を考慮することについても疑問を禁じ得ません。
 もし仮にということで申し上げると、最低賃金と生活保護との関係は、最低賃金を生活保護の水準に引き上げるのではなく、生活保護の水準が適正なのかどうかも考慮すべきだと考えております。先ほど生活保護についての見直しも議論されているという発言もありましたが、そういうことを十分踏まえた議論が不可欠ではないかと考えています。・・・」

使用者側として「疑問を禁じ得ない」のはよくわかります。しかし、その社会福祉のコストもめぐりめぐって企業の経済活動が支えなければならないのですからね。結局同じ土俵の上にいるんです、我々はみんな。

とはいえ、生活保護の見直しの議論に俺たちは入れて貰ってねえぞ!という気持ちも当然あるでしょうね。生活保護ってのは、国と地方公共団体が面倒見ているんだ、企業は関係ねえぞ、ってな気持ちで政策形成しているとすると、それもまた困ったことでもあります。社会政策ってのは本来すべて労使が関わるんですよ、一見関係なさそうであってもね。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0806-6.html

大学の先生と地方自治体と福祉施設の代表です。この辺の政策決定システムのねじれが、労働政策過程における使用者側の不満のもとになっているとすると、その辺から考えていかないとなかなか難しいでしょうね。ミクロな縦割りなんだなあ。

そこで、EUでは雇用戦略、社会的排除戦略という形で、そういうのをひっくるめて議論する枠組みを作ってきている、という話になると、私の持ちネタになるわけですが。

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コメント

「社会政策」のカバーする分野自体は、日本でも欧州でもそんなに変わらないのかもしれないのですが、「社会政策」を策定してゆくときにかかわるステークホルダー、関与する行政、などの幅の広さというか層の厚みが、日本と欧州では違うように思います。あと、アメリカでは「社会政策」と言いますか?

投稿: おたずねします | 2006年8月25日 (金) 23時08分

日欧でどういう風に違うと感じられるのか、是非お話しいただければ幸いです。関与する行政自体は(力関係とか政治の中での存在感とかは相当に違いますが)それほど変わらないと思います。

投稿: hamachan | 2006年8月26日 (土) 09時30分

わたしは学者ではなくて、新聞や雑誌の記事などで漠然とした印象を持っているに過ぎないのですが、たとえば、「社会的排除」が問題だ、と政府が認識したとすると、社会的排除対策の組織を編成し、予算をつける(イギリス)とか、家族政策については、立法、行政、労使、民間団体などから成る全国会議があって、そこで議論されたことが政策化されてゆく(フランス)ということがあると聞いています。どちらの場合でも、課題に対応する組織が作られるし、予算がつきますよね。欧州の社会政策も行政としては、厚生労働関係なんでしょうけれど、「厚生労働省の行政組織と予算の枠内でやる」のではなくて、課題によっては行政全体の中で検討されて、従来の予算に制約されない財源も確保される、という印象を受けるのですが、これは、行政の中での「力関係」や「政治の中での存在感」が違うということなのですか。

以前からありますが最近は格差にからんで、日本の社会政策がヨーロッパ型をめざすのか、アメリカ型をめざすのか、という議論がありますね。どっちをめざすというのでもなくて、日本には日本の現実がありますから、何を具体的な政策目標にするかがまず課題ですけれど、日本ではどのような政策が現実的で効果的かを考えるのに、両方が参考というか考える素材になるのだろうと思いますが。

行政にも大学にも労務にも関係ない素人の印象論ですみません。もっとも、そういう素人の社会政策への反応が、これまた日欧で違うのかな、と先日のCPE騒動で思いましたが。

投稿: おたずねします | 2006年8月27日 (日) 08時41分

「社会的排除」に関していえば、そもそもそれが問題だと政府が認識するという段階になっていないんですよ、日本は。ま、これは「政府」という言葉で何を意味するかにもよるんですが、かつて厚生省の某幹部がそういう問題意識で研究会を起こし、一定の方向付けをしたこともありましたが、厚生労働省の組織としてアジェンダセッティングをしたという状態にはならなかったし、これだけ格差問題とかなんとかいっても、そういう政策枠組みは出てこないでしょう。ましてや、他の行政分野(例えば住宅問題とか多重債務問題など)も含めて社会的排除という枠組みで考えて対策をとろうという方向は出てこない。この辺は、役人の責任なのか、学者研究者の責任なのか、マスコミジャーナリズムの責任なのか、まあ、そのすべてに関わるんでしょうけど。

投稿: hamachan | 2006年8月28日 (月) 09時59分

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