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2006年8月11日 (金)

ホワイトカラー・ノンエグゼンプションの原点

今までこのブログで繰り返し述べてきたように(後述のリンク参照)、ホワイトカラー・エグゼンプションの議論は出発点が脱臼しているためにやればやるほど骨と筋肉がねじ曲がってしまうのですが、その出発点はどこにあるのか?については、『季刊労働法』211号に掲載した「時間外手当と月給制」で戦前、戦中期に遡って腑分けしてみたことがあります。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jikangaiteate.html

ところが、実はこの論文には致命的な欠落があることが分かりました。いや、論旨に間違いがあるというのではありません。戦前には当然のように残業手当はエグゼンプトだったホワイトカラーのサラリーマンが、戦後どうしてブルーカラーと同じくノンエグゼンプトになってしまったかというところです。同論文では、労働政策を担当していた厚生省サイドの政策文献から、戦時中ブルーカラー労働者にも月給制が適用され、しかもそれは残業手当のあるノーワーク・ノーペイかつノーペイ・ノーワークのノンエグゼンプト月給制だったため、それが戦後労働組合運動の中でホワイトカラーにも広まったんじゃないか、という風な記述をしていたんですね。

ところが、これが大穴。ブルーカラー労働者の「賃金」は労働政策として厚生省の担当だったんですが、ホワイトカラー労働者の「給与」は大蔵省の所管だったんですね。いや、実はそのことは知っていました。厚生省サイドの賃金統制令と同じように、大蔵省サイドから会社経理統制令が出され、「社員」(注1)の給与について事細かに定めていたというのは知っていたんです。ところが、この会社経理統制令、制定後何回も改正されていて、その最後の昭和18年の改正の中味まできちんと確認していなかったんです。

この昭和18年改正で、会社経理統制令施行規則に第20条の2という枝番の規定が設けられていたんですね。そこに曰く、「居残手当又は早出手当にして1日9時間を超え勤務したる者に対し9時間を超え勤務したる時間1時間に付き50銭の割合に依り計算したる金額」「休日出勤手当にして休日出勤1回に付き3円の割合に依り計算したる金額」と書いてあったのです。むむむ、ホワイトカラー職員にも残業手当や休日出勤手当を払えというのは、大蔵省の命令だったんですね。

私は、上の論文を書くとき、昭和18年に出された会社経理統制令の解説書までは見ていたんですが、そこには昭和17年までの改正しか載っていなかったんです。ちょっと気になることがあって、今日東大経済学部の図書館に行って、吉田晴二「会社経理統制令の改正に就て」という薄っぺらな小冊子を閲覧させて貰ったら、なんとこの通り。しかし、これは学術論文としては致命的な欠落ですので、このブログで明記しておきます。もし将来加筆訂正の機会があれば、是非修正しておきたいと思います。

ホワイトカラーにも残業手当や休日手当を払うという仕組みがいつ誰によって作られたかということが、こうしてようやく明らかになってきました。日本経団連の皆さん、これは使えますよ。組合側が「ホワイトカラーに残業手当を払わないなんてけしからん」といってきたら、「お前は軍国主義者か、ファシストか、大蔵省の手先か」と罵ってください。すっごくリベラルな気分が味わえますよ。

(参照エントリー)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_90a2.html

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_20af.html

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_39a1.html

(注1)

この会社経理統制令は、エンプロイーのことを「社員」と呼んだ空前絶後というか、わが国法制史上唯一の法令であります。をいをい、会社法との整合性はどうなっとるんだい、法制局参事官は誰じゃ、連れてこい、てなもんですが、戦時中の「気分」というものは窺えますねえ。

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コメント

>エンプロイーのことを「社員」と呼んだ
世間の空気は未だに軍国主義ですから!w

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