発達障害者の就労支援施策
読売の売らんかな的見出しにざわついている方々が多いようですが、この記事をよく読むと、(世間で広く「ニート」と言われている人も含む)発達障害者に対して、適切な就労支援をするという話のようでもあります。引用されている厚生労働省の発言が職業安定局の障害者雇用対策課であることを考えると、職業能力開発局キャリア形成支援室所管のニート対策の本流の話として理解するのが適切であるのかどうか、即断しない方がいいでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/yukihonda/20060824#p1
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20060824
発達障害については、昨年発達障害者支援法が施行され、その中で「発達障害者の就労の支援」も規定されています。これまで制度の谷間に放置され、十分な対応がされていなかった対象であるだけに、キャリア形成施策の観点から既に行われているニート対策の施設を利用する形で、発達障害者雇用対策を進めていこうと考えることは、行政の効率的推進という観点からすると必ずしもおかしなことではありません。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1a.html
http://www.mhlw.go.jp/topics/2005/04/tp0412-1e.html
この記事に登場しておられる小川浩さんの書かれた『発達障害のある人の雇用管理マニュアル』が、以下のサイトに全文掲載されています。まあ、この中味くらい読んでからあれこれコメントしてもいいのではないでしょうか。
http://www.koyoerc.or.jp/dd.html
私自身、既存の障害者雇用対策についてはある程度の知識はありますが、この分野については少し勉強しないとよく分からないところもあり、これ以上発言するのは控えておきます。ただ、何にせよ、皆さん、あまり思いこみだけであれこれ喋るとまずいかも知れませんよ(まあ、何があっても曲解して政府の悪口を吹くのが仕事という人もいますから、別に邪魔しませんけど)。
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上記の平家さんのブログに報告しておきましたが、厚生労働省の予算要求では、「第5 新たなチャレンジを目指す若者等への支援」と「第8 障害者の自立支援の推進、生活保護制度の適正な実施」という項目の中に、「発達障害者の就労支援の推進」という項目が挙がっています。もっとも、どちらも障害者の就労支援という文脈であって、ニート対策という位置づけではありません。当然ですが。
読売の記事のネタになったのは、おそらく「若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラム」という奴でしょう。「ハローワークにおいて、発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を抱えている求職者について、その希望や特性に応じた専門支援機関に誘導するとともに、障害者向け専門支援を希望しない者については、きめ細かい就職支援を実施する」というものです。
「若年」という限定と、「発達障害等」の「等」がついてることから(こういうのに目が食らい付くのは小役人の習性ですが)、若干広がりがあるようでもありますが。
投稿: hamachan | 2006年8月31日 (木) 16時12分