格差社会の結末
ソフトバンク新書というところから『格差社会の結末ー富裕層の傲慢・貧困層の怠慢』という本が出ています。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/479733648X/503-4285177-4135125?v=glance&n=465392
著者は中野雅至氏。1964年生まれ、同志社大学卒業して大和郡山市役所から労働省に勤務、ILO担当補佐を最後に退職して現在は兵庫県立大学助教授。
hamachanの後輩ですか?といわれると、そういうことになりますね。ただ、一緒に仕事をしたことはありません。省内でときに顔を合わせていた程度で。
実務家出身の研究者、ということになるんでしょうが、肌合いはむしろジャーナリストに近い感じがします。私だったら、こういう週刊誌的な書き方はしないな、というところも多々ありますが、まあ、だからこそソフトバンク新書から出るんでしょうけど。
後半の方ではややアカデミックな議論も出てきますが、例によって軽口風の文章に載せて繰り出されるので、大変読みやすくなっています。ケインズ主義福祉国家からシュンペーター型ワークフェア国家というような話も、「あなたならどっち?使い放題生活保護vs試験のない公務員」といった調子で。
最後の章は、彼なりの政策提言で、ワークフェアを志向する基本ラインは共感するところが多いのですが、「企業は自分たちの求めるスキルを明確にせよ」というあたりは、いかにも本田由紀先生のラインで、現実にどうかなあ、という感じは否めません。(ちなみに、この一節の標題は「TOYOTAに入社するには何が必要なのか?・・・それは誰にも分かりません」ですからね。いやはや、このセンス。)又、公務員に職階制を復活せよ、というのも、どこまでフィージビリティを考えているのかな、というところです。
最後に近づくにつれて、ますますテンションが上がっていってるようで、「企業の労務管理に手を突っ込め!-非正社員の待遇改善vs派遣労働全面禁止」と、おもわず「をいをい」ですが、その処方箋には賛成できませんけど、ワークフェア国家を目指すのであれば、企業の労務管理をある程度社会的にコントロールしていく方向性は当然だろうとは思います。社会全体のサステナビリティと企業のサステナビリティの両方を睨んでバランスをとってやっていく必要がありますが。
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