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2006年7月 3日 (月)

学者先生のエグゼンプション

労務屋さんが『季刊労働法』に書かれた「企業実務家から見た労働契約法の必要性」が、御本人のブログに掲載されています。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060623

(以下6回)

労働契約法制自体については、審議会が動き出してから、改めてまとまった形で論じたいので、ここでは脇道のお話しを。最終回の労働時間法制のところで、元の文章にはないこんなコメントを付け加えられているので・・・。

>いつも思うのですが、学者も官僚も、自分たちの仕事のことを考えれば、ホワイトカラー・エグゼンプション制の必要性は簡単にわかりそうなものだと思うのですが、どうしてそうならないのでしょう。きっと、自分たちは一般的なホワイトカラーとは較べ物にならないほど高度で専門的な仕事をしていると考えておられるのでしょうね。まあ、なかには一部本当にそういう実態もあるとは思いますが、それにしても、お考えになられているほどの違いはないと思うのですが……。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060630

いやあ、学者と官僚を両方やってる立場からすると、その必要性の中味は全然違うんですよ。

実は先日、勤務先大学の昼食セミナーなるところで、この話題を提供したんですけどね。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/lunchseminar.html

そもそも裁量制とかエグゼンプションのとらえ方が、アカデミックな学者先生方と我々一般人とは違うんだなあという強い印象を受けました。ここでいうアカデミックというのは、労働問題ではない専門をお持ちの方々のことです。我々労働屋は、どうしても、サービス残業とか働き過ぎとか過労死とかいうイメージと結びつくのですが、この先生方にはそういう発想はどうもてんからないんですな。組織の中で、組織に命じられた仕事を着実にこなしていくというやり方が身に染みついた役人と、そうじゃない学者先生の違いなんでしょうか。つまりね、大学の研究室にいなくっても仕事としていることになるというのが裁量制なんだという風な認識で聞かれていたので、なんだか話が噛み合わないというところがあったわけです。

そして、労働時間法研究会の議事録とかを読むと、むしろそういう学者先生的エグゼンプションのイメージがふわふわと漂っていて、その辺がホワイトカラーエグゼンプションが仕事と育児の両立の特効薬だなどという規制改革会議の発想にもつながっていくのでしょう。

http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/2005/1221/item051221_02.pdf (63頁)

そういう感覚は、実のところ、経営側の実務者にもあまり存在しない空中楼閣の如きものだとわたしには思われるのですがね。

この点についていえば、役人として組織の中で職業人生を過ごしてきた私にとっては、実感としてはそれこそ民間企業の一般的なホワイトカラーと全く同じで、山口先生いうところの「実態としてのエグゼンプト」であるわけですが、実のところ仕事は常に上から横から山のように降ってくるので、大して自律的でもないんですね。その意味では、学者生活というのは全く違います、実感として。ホントのところ、事務局の役人の方々もその辺はよく分かっているはずです。

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コメント

TBありがとうございました。とりあえず私の申し上げたかった趣旨は、実は働き過ぎとか仕事量が自律的とかいうことではなくて、労働時間の特定・把握が難しいというかできないということでした。

結論は恐らく極めて近いはずで、私の意見も、健康保護のために在社時間あるいは休息期間を規制することが望ましく、賃金の支払い対象時間は本質的問題ではない、ということなんですが、そういう労務屋さんの意図がきちんと伝わらないで、エグゼンプトは死ぬまでこき使う制度だとかなりの程度思われている所に問題があるわけです。
ただ、実はこの問題については、私は本質的には楽観的です。労働側の主流はこの点が分かっていますから。事務局側がそれを踏まえて論点の組み替えをきちんとできるかどうかが問題なんですよ。

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