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2006年7月 6日 (木)

EU有期労働指令で初の判例

去る7月4日、EUの有期労働指令に関する初めての欧州司法裁判所判例が出ました。

http://curia.eu.int/jurisp/cgi-bin/form.pl?lang=en&Submit=Submit&alldocs=alldocs&docj=docj&docop=docop&docor=docor&docjo=docjo&numaff=&datefs=&datefe=&nomusuel=&domaine=PSOC&mots=&resmax=100

内容は、有期労働契約の反復更新の正当性。おお、アクチュアルですな。

訴えられたのはギリシャミルク機構という公的部門の団体で、訴えたのはそこで有期労働者として契約更新を繰り返して働き、その更新を拒絶された18人の労働者です。

EU指令を転換するためのギリシャの法律では、有期労働契約の更新に対して、特段の要件を要求せず、一般的な規定で認めていたのですが、これは指令の趣旨に反するという判断です。指令第5条第1項第a号にいう「客観的な理由」とは特別の要素の存在が必要であるということ。それに反する国内法は指令違反で無効。指令は有期契約の締結自体には特段の要件は課していませんが、その更新には厳格な判断をするというわけです。

また、更新かどうかの判断についても、一旦終了してから次の契約にはいるまでの期間が20日以上でない限り、それは継続していると見なすという判断も重要です。それに反する国内法は指令違反で無効。

さらに、ギリシャの法律は、公的部門では有期労働契約の常用契約への転換を認めていないのですが、反復継続利用の悪用を防止する措置をとっていない状況では、それもだめ。

EU法全体として興味深いのは、今までの所、EU法の一般原則では指令は加盟国に義務を課するものであって、国民の権利義務を直接規制しないことになっているのですが、この判決では、加盟国(ギリシャ)の裁判所は、国内法が指令を間違って転換している場合には、国内法の規定ではなく、指令に従って判決すべき義務があると言っていて、司令の権威がまた一段と高まった感じもあります。

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