年金の世代間格差論議の虚妄
全労済協会というところが出している「LRL」という雑誌に、権丈善一さんの「公的年金における世代間格差をどう考えるか-世代間格差論議の学説史的考察」という痛快極まりない文章が載っています。
http://news.fbc.keio.ac.jp/~kenjoh/work/LRL.pdf
「公的年金の世代間格差論議というものはヨーロッパでは流行らないようで、世代間格差議が騒々しいのは、まずは日本、そしてアメリカであるかの印象を多くの社会保障研究者は共有しているようである。そして日本の年金論議をヨーロッパ人の目からながめると、なんとも奇妙にみえるらしい。」
まったくそう。ヨーロッパの年金改革論議を脇から見ていただけでも、このことは痛感しました。
「どうして、日本の年金論議は、こうもおかしくなってしまったのか。この問いに対して、アメリカでは決して主流ではない学説が実に狭いチャネルを通って日本に輸入されたのであるが、この学説を輸入した日本の論者が、たまたま旺盛な活動家であったために、日本は公的年金の世代間格差論議が活発な、世界でも珍しい国になってしまったのではないかという作業仮説をわたくしは立てている。この仮説のキーワードは、<日本経済新聞社><阪大財政学グループ><一橋年金研究グループ>である。」
このあといろんな個人名が出てきて、「あの頃の彼らの文章は、古くから人が住んでいた大陸を新大陸と呼びあった、旧大陸の人たちの無知と傲慢を思わず連想させる」とまで罵倒しています。まったくそうだ。
「日本の公的年金論議が他国と比べて奇妙かつ自虐的な形になってしまったのは、日本経済新聞社、阪大財政学グループ、一橋年金研究グループの精力的かつ秀でた活躍」のおかげだったんですね。そういう方々が「いまは政策形成の中枢にあり」、「個人の負担と給付を一元管理する社会保障個人会計」を導入して、「公的年金の世代間格差論よりもはるかに大きく多くの楔を、この国の人びとの間に打ち込み、互いに反目するすさんだ社会を、彼らはどうしても作」ろうとしているようです。
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フリーターの就職支援に「能力証明書」を発行するという今日の記事より。
(引用記事は、下部に掲載)
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これは、フリーターの正雇用を促すための政策のようだが、非正社員の増加は今後も減少傾向になることはないのではと思える。
それというのも、企業としてはリーダーなど重要なポストには正社員を置くものの、その下で働く社員については、できるだけ雇用コス...... [続きを読む]
トラックバックが失敗したみたいですみません。こちらのエントリーです。
http://d.hatena.ne.jp/nami-a/20060620/p1
投稿: nami | 2006年6月20日 (火) 16時45分
素人考えなのですが、年金制度は引退した親が子に養ってもらう制度ですよね。今の親は月に20万貰えば20年で5000万貰いますよね、こんなに子の養育に使いましたか?貰いすぎです。貰い過ぎた金でリッチに遊び暮らすのが老後の夢と言うなら、軋轢が起こって当然です。世代間格差は出てもしょうがない部分が大きいと思いますが、著しい過剰受給の常態化は問題です。
お返事お待ちしております。
投稿: 理系@自暴自棄 | 2006年10月 3日 (火) 13時22分