正規雇用者の増加?
内閣府の今週の指標が「5期ぶりに増加した正規雇用者」というタイトルで労働市場の改善をアピールしています。確かに増えています。
http://www5.cao.go.jp/keizai3/shihyo/2006/0626/731.html
ただ、細かく見ると、いくつか気になる点もあります。図3の従業員規模別で見ると、今回大きく増えたのは30人未満の零細企業なんですね。もちろん零細企業でも正規雇用者が増えるのはめでたいことですが。
また図4の年齢階層別を見ると、今回増えているのは55歳以上の高齢者が大部分なんですね。上と併せて考えると、早期退職して零細企業に正社員として再就職した高齢者が増えたということのようです。この時期は、ちょうど改正高年齢者雇用安定法が施行される直前の時期で、継続雇用義務がかかってくる前に高齢者を社外に出してしまおうというドライブのかかっていた時期ですので、どこまで趨勢として言える話なのか、かなり疑問もあります。まあ、内閣府のエコノミストに、法制が労働市場に及ぼす影響まで把握しておけというのは無理かも知れませんが。
なにより、最後の図5を見ると、正規がほんのちょっぴりだけ増えただけで、非正規の増加傾向に大して変わりはなく、正規雇用比率は依然として低下を続けているわけですから、これをもって景気回復万歳、フリーターもニートも解決だあ!てなわけにはいかないんでないかい、という感じですが。
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濱口氏がエントリー正規雇用者の増加?で、内閣府のエコノミスト批判(法制が労働市場に及ぼす影響まで把握しておけというのは無理かも知れませんが)をしていますが、景気が回復して求人が増えても、正規雇用が伸びていないということがわかってきました。 非正規雇用者の... [続きを読む]
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