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2006年6月12日 (月)

残業割増の引き上げ

あす、労働政策審議会労働条件分科会に素案が提示されることになっていますが、その内容の一部(労働時間関係)が新聞にリークされています。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20060610i104.htm

月35時間を超える残業に対しては40%の割増率とし、また一定以上の残業に休日付与を義務づけるということのようです。4月に提示された「検討の視点」に数字を入れただけですが、この40%という数字、大企業にとっては残業をなくすには到底足りない程度のものでしょうが、中小零細企業にとっては企業の存立に関わるような厳しいもののように思われます。大企業の残業がかなりの程度内因性であるのに対し、中小企業の残業が発注元からの無理難題に起因する外因性のものであることを考えると、こういう一律の割増引き上げ方式はいかがなものかという感が拭えません。

おそらく、こっちで労働側に相当の飴を舐めさせてあげるから、例の「自律的」と称するエグゼンプションも呑んでくれという意図なんでしょうが、筋が違うような。

そもそも過労死対策だ、少子化対策だというのなら、残業時間そのものをどう規制するのかという話にいくべきでしょう。物理的な時間だけでいえば、実は大企業の方が長くて、中小企業の方が短いのです。本来もっと削減しなければいけない大企業にはあんまり痛くなくて、自力ではいかんともしがたい中小企業にしわ寄せするような政策が適切なのかどうか、もう一度考え直す必要があるのではないかと思うのですが、まあ多分この形で明日提示されるんでしょうね。

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コメント

こんにちは。
現場(企業の規模を問わず)で問題になってるのはいわゆる「サービス残業」なんじゃないかと思ってたのですが、エラい人の認識は違うんでしょうか。
審議会のセッティングやってる官僚の方々も、猛烈にサービス残業してらっしゃると思うんですが。

「問題になっている」という言葉の意味によると思います。
私の考えでは、長時間労働の問題とサービス残業の問題は、問題の質が違うのです。
サービス残業とは、要するに、労働基準法で払わなければならないはずの残業手当を払わないということであって、残業そのものの是非を論ずるものではありません。これだけたくさん残業したんだから、その分余計に金払え、ということに尽きます。その意味では、すぐれて労働契約法上の労使間の利害調整の問題といえます。会社側からすると、ちんたらちんたら仕事をして余計に残業手当を稼ぐような奴には払いたくないという気持ちになるのも無理からぬ面もないわけではなかろう、とも言えます。
それに対して、長時間労働の問題というのは、過労死だとか少子化だとかが取りざたされるように、すぐれて公共政策上の問題であって、労使間の利害調整に留まりません。(私は個人的には、労働時間と少子化との因果関係には極めて懐疑的ですが、少なくとも過労など健康問題との因果関係は明確であろうと考えています)
私もかつて、猛烈にサービス残業しながら審議会のセッティングをやってましたが、しかしでは残業手当を時間通りに払えばそれでいいのかというと、そういう問題でもないのではないかと思ってました。

このあとのエントリーに書いた教員の場合、法律で残業手当は払わないと決めてしまっていますので、違法なサービス残業というのはないわけです、概念的に。

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