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2006年4月12日 (水)

日経元部長が「ドイツの企業統治に学べ」

大変面白い文章を見つけました。

http://www.jcer.or.jp/research/kenrep/kenrep051213.pdf

日本経済研究センターという、日経新聞系列のシンクタンクのホームページに、ここの主任研究員の方が、「従業員の監査役起用、制度化を-ドイツの企業統治に学ぶ-」という短い文章を書いておられるのです。

日経新聞系、というだけで、日本の企業統治は従業員重視だからダメだ、もっとアングロサクソン流になれ、というのばかりかという偏見を持っていましたが、いやいや、とんでもない。

しかも、目の付け所が素晴らしくって、感動してしまいました。曰く、「経営者の暴走を防止するというコーポレート・ガバナンス(企業統治)の視点から」、「英米型も企業統治を担保するため、取締役会のメンバーの過半数を経営陣と利害関係のない「独立取締役」(英国では「非業務執行取締役」)にすることなどを義務付け、取締役会の役割は監督に相当重きを置くようになっている。つまり、役割がドイツの監査役会に近づいてきているのだ」と指摘しておられるのです。

そして、ドイツについて「共同決定法は元々利害の対立しやすい従業員と経営者の利益調整を目的としたもので、労働者の権利を守るという色彩が濃かった。現在はこうした視点よりも、米国の独立取締役のように経営陣を監視する役割が重要になっている」と述べ、「監査役に経営者の暴走を阻止するという企業統治の目的を十分に果たさせるにはどうすればいいか。ドイツに習い、監査役の一部を従業員各階層の代表にし、総会ではなく従業員が選出するようにするのが一案」だと提起しているわけです。

こんなことを書かれるのはどんな方だろうと興味を持って、研究スタッフのコーナーを覗いてみると、大塚将司氏、

http://www.jcer.or.jp/center/staff/ohtsuka.html

この方って、あれですよね、確か日経新聞の鶴田元会長が不正経理を行ったと内部告発して、懲戒解雇処分を受け、裁判を起こし、結局和解して会社に復帰されたと記憶しています。この方が「経営者の暴走阻止には従業員参加が一番」と言われると、説得力がありますね。

こういう労働者参加の議論は、日本では1970年代に流行って以来、その後全く人気が出ませんが、観点を変えて攻め直せば、まだまだいろいろと議論の切り口はあるのだということがわかります。

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