ドイツの連立協定における解雇規制緩和
ドビルパン首相のCPEは見事に打ち破られてしまいましたが、昨年11月に、ドイツの連立政権がまさにこれに相当する法改正事項を含む連立協定を締結していたことは、あんまり報道されていません。
この連立協定そのものがこれです。
http://www.bundestag.de/aktuell/archiv/2005/koalition/vertrag.pdf
これの「2 労働市場」の「2.7 労働法の改革」の「2.7.1 解雇保護の発展」というところに書いてあります。
24ヶ月間までは客観的理由なく有期雇用を締結できるというのを廃止して、その代わりに新規採用者について(これまでの6ヶ月間ではなく)24ヶ月間の試用期間をおくことを認めるというものです。
問題意識はまったくドビルパン首相と同じですね。フランスと違って若年者の雇用状況はEU随一良い代わりに、中高年の雇用状況が悪いドイツなので、年齢などと言う筋の悪い要件は入っていません。
というか、実は前に(11月30日のエントリー)ここに書いたように、有期雇用の要件に年齢(52歳以上なら理由なく有期雇用可能)を入れた法律が、欧州司法裁判所から(施行前の)一般均等指令に違反すると言われてたんですね。
さらに、新たに起業する場合には、48ヶ月までの有期雇用を認めようというのも入っています。
これは、ドイツの国会の大半を占めるキリスト教民主・社会同盟と社会民主党の連立協定なのですから、こういう形で実現することになると思われます。
ところで、上に上げた資料は英訳も同じ連邦議会のHPに載っているんですが、これは大変な誤りがあります。
http://www.bundestag.de/aktuell/archiv/2005/koalition/vertrag_en.pdf
さきほどの、有期雇用というのが解雇権になっちゃっているんですね。ドイツ語原文は、
Wir werden daher auf der einen Seite die Möglichkeit streichen, Arbeitsverträge in den ersten 24 Monaten sachgrundlos zu befristen.
ですが、これが英訳では
We will therefore, on the one hand, abolish the possibility of terminating employment contracts without substantive reason in the first 24 months.
となってしまっています。をいをい、というところですね。世界に発信してるんだから、こういうのは何とかしてください。なんだか日本の国会の英文HPも心配になってきたな。
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