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2006年4月20日 (木)

「検討の視点」四論

そろそろこの辺で打ち止めにしますが、「検討の視点」についてもう少し考えてみます。

月曜日に書いたように、今回の「検討の視点」を見て一番想定外だったのが有期労働契約に関するところでした。研究会報告書は、いかにも労働法学者が頭をひねって作ったという感じで、使用者が契約期間を書面で明示しなかったら無期契約と見なすとか、更新可能性等の明示を雇い止めの有効性の判断要素とするとか、差別的な雇い止めや正当な権利行使を理由とする雇い止めは無効とするとか、更新可能性がない旨明示していながら更新したときには更新可能性を明示したものと見なして、あるいは5年以上引き続き雇用された場合にも、更新可能性がある旨明示されたものと見なして、差別的・正当な権利行使を理由とする雇い止めはできないこととする、といったアイディアが示されていました。現行判例法理の枠組みを前提としつつ、基本的には事後的な司法判断の基準を精緻に構築するという志向性が強く出ていたように思えます。

ところが、今回の「検討の視点」は、なんというか、そういう精緻な労働法学者的な議論というよりも、むしろ一般人の感覚に近い形で、「有期労働契約が更新されながら一定期間(又は一定回数)を超えて継続している場合において、労働者の請求があったときには、次の更新の際、期間の定めのない労働契約が締結されることとなるような方策が考えられないか」と、端的に有期契約の無期契約への移行という考え方を示しています。

これは一見粗雑な思考のように見えますが、実は私は賛成です。というのは、研究会報告に見られるようなあまりにも精緻きわまる論理構成は、裁判所のレベルまで行って初めて現実化するものであって、現実の労働関係の展開の中で実務的に物事を処理していくという観点からすると、理屈に理屈を積み重ねるようなもので却って使いづらいのではないかと感じていたからです。事後的な司法判断の論理を事前的な実務処理に持ち込むのは結構難しいのです(そのいい例が、更新された有期労働者の育児休業権の問題です)。

ただ、この選択肢を本気で進めるのであれば、解雇の金銭解決のオプションと一緒にしていかないと、使用者側が納得しないでしょう。逆に、有期契約が更新を繰り返して上記方策により無期契約に移行した場合については、使用者側からの申し出による当該解雇(雇い止め)の金銭解決を原則として認めるという風に仕組むことも考えられます。

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