CPEは何を目指したか
もうすっかり、打ち負かされた悪者という感じになってしまったCPEですが、その趣旨は「労働市場の分断化を避けるために、有期契約で雇用されている人々の常用契約への移行を促進する」ということにあったということは、ドビルパン首相の名誉のためにも記憶されてしかるべきでしょう。
これは2004年のEUのフランスに対する雇用勧告の中で示され、成果が上がっていないと批判されていた項目です。その中で、フランスの労働市場はインサイダーとアウトサイダーに分断され、有期雇用から常用雇用に移行するものが5分の1以下であると指摘されています。
http://europa.eu.int/eur-lex/pri/en/oj/dat/2004/l_326/l_32620041029en00470063.pdf
今年の国別改革計画に対するEUの査定でも、安定した雇用にある者とそうでない者との間の鋭い分裂を指摘し、その関係で20人以下の零細企業に導入された新規採用契約(CPEと同様初めの2年間は解雇可能)に注目しています。
http://www.europa.eu.int/growthandjobs/pdf/2006_annual_report_france_en.pdf
そういう政策の流れの中で、ドビルパン首相としては弱い立場にある不安定労働者や失業者のための政策というつもりで打ち出したのに、相対的には安定した立場の大学生や公務員やらのストやデモで撤回に追い込まれたのは、面白くない気分であろうと想像されます。
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