海外情勢報告2004-2005
先週末の3月30日、厚生労働省が「2004~2005年 海外情勢報告」を発表したのですが、報道したマスコミはほとんどなかったようです。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/h0330-1.html
今回のテーマは「諸外国における若年者雇用・能力開発対策」、日本でフリーターやニートの問題として騒がれているのと共通の問題を取り扱っており、もうすこし関心を持ってみてもいいんじゃないと、嫌みの一つぐらい言いたくなるような無反応ですね。
まあ、「ニートは労働問題ではない」んだそうですから、細木数子に好き勝手言わせるのはいくらでもやるけれど、こういう地味なものには見向きもしないのかも知れない。
本体は300頁近い大冊ですが、上の新聞発表資料だけでもいくつか面白いデータがあります。この色つきグラフを見るだけで、フランスの若者の失業率がいかに高いか、ドビルパン首相がなぜ初回雇用契約を提案するに至ったかがよくわかります。逆に、日本とドイツがずっと低い方だったのは、それぞれ学校紹介システムとデュアルシステムという仕事への移行の仕組みがあったからで、それがここ数年機能が弱まってきているというのもわかります。
その下の無業者の動向は、近年ニートとして話題の人々ですが、どこの国でも20代前半で15%前後、20代後半でそれ以上が無業者(失業者を含む)であることがわかります。
一方、これは本体のグラフですが、若年就業率の1970年以来の推移を見ると、フランスが50%から20%近くまで一気に落ちてきていて、韓国がそれに近いってのが面白いですね。この韓国の若年就業率の低下は高学歴化(大学進学率の急増)のせいで、後ろの方を見ると、2004年には大学進学率が81.3%だということです。ちょっとこれはいくら何でも、という感じで、このために大学の構造改革ということで、いろんな就業支援サービスをやりはじめているとか。まあ、韓国は日本の後を追いかけてきて(いいことも悪いことも)一気に追い越していくというパターンがけっこうありますが、これも(いいか悪いかは別として)その口ですかね。
具体的な施策は本体を開くと山のように出ているのでここではパス。ただ、アプレンティスシップ(養成訓練制度と訳してありますが、言葉としては昔と同じ徒弟制です)がどこの国でも重視されているということは強調しておく必要があるでしょう。
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