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2006年3月 7日 (火)

福祉社会の未来

岩波から出てる「思想」なんて哲学雑誌は普通はさわりもしないんだけれども、今月号は「福祉社会の未来」とかいう特集で、パラパラ見るとまさに今の関心事とつながっているので、これは読まないわけにはいかないなあ。

http://www.iwanami.co.jp/shiso/

ただ、脱生産主義とか定常型社会とかベーシックインカムとかエコロジーとか、やたらに緑っぽいんだよなあ。そういう議論がヨーロッパの一部の学者の間で流行っているのは確かだろうけど、福祉社会をどうしていくかという論点で、政治的にはそれほど意味のある存在になっているという感じはしない。学者の研究としてはいいんだけど、それがヨーロッパの潮流だみたいに誤解されて、そっちに行かなきゃみたいになると、またぞろ同じことに繰り返しになりゃしないだろうかと、ちょっと心配。

その中で、宮本みち子さんの「若者政策の展開」は、地に足のついた感じでEUの若者政策を紹介し、返す刀で日本の近年のアプローチを的確に批判している。最後のところを少し引用。

・・・このように、日本の若年労働市場の実態を注意深く見ると、欧米諸国における若者の二極化と、その一方の極の貧困化と社会的排除の危険性、という同じ問題が見えてくる。しかし、この間の世間一般の関心は、パラサイトシングルやひきこもりに向けられ、底辺の若者への関心は薄い。・・・

この辺が、クラスコンシャスっていいたくなるゆえんでもある。

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