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2006年3月29日 (水)

非常勤職員の雇い止め判決

先週末の3月24日、東京地裁が非常勤公務員の再任拒否は無効とする判決を下したようです。

http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200603240349.html

今のところ、まだ最高裁のHPにも掲載されていないのですが、どこかに判決文が落ちてないかなときょろきょろ探していると、その一部がここに載っていました。

http://www.f8.dion.ne.jp/~wtutokyo/3.23.htm

これは女性ユニオン東京のサイトで、判決理由のごく一部だけ載っています。読んでみると、なんというか、どういう理屈で勝たせたのだろうかと思っていたのですが・・・

思うに、非常勤職員と言っても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶに当たっては、その職場に対する愛着というものがあるはずであり、それは、更新を重ねるごとにましていくことも稀でなはいところある。任命権者としては、そのような愛着を職場での資源として取り入れ、もってその活性化に資するように心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは、民間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われる。
 また、非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否については方針もあろうが、任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである。
 これを本件についてみるに、国情研においては、原告ら非常勤職員に対して冷淡すぎたのではないかと感じられるところである。永年勤めた職員に対して任用を打ち切るのであれば、適正な手続きを試み、相応の礼を尽くすべきものと、思料する次第である。

なるほど、「相応の礼」ですか、法理論かなという感じもしないではないですが、まあしかし考えてみれば、解雇権濫用法理にしたって、その有期雇用の雇い止めへの準用法理にしたって、はじめの一歩はこういう「死の跳躍」だったのかも知れないですね。

ただ、ここはもともと国の機関だったものが独立行政法人になる際に雇い止めしたという事情があるので、その辺がこの判決にどう影響しているのかが知りたいところです。現段階では、民間の一般の労働法制が適用されているわけですから、そうなる直前に切ったというのがどこまで影響しているのか。逆に、公務員法制への影響はどこまでなのか。事案がよくわからないのですが、たとえば地方自治体なんかでよくやられている、更新のたびに1ヶ月のクーリング期間をおくといったことはどう評価されうるのか。下の方で、日々雇用で1日クーリング期間をおいた事案とは違うといってますから、少なくとも雇用契約期間と同じ長さのクーリング期間をおけばOKという判断なのでしょう。多分、公務部門の人事当局は必死に分析を始めているのではないかと思います。

もひとつ、気になるのが、どうもこの判決では「信義則」を使っているらしいことです。これは、国の機関に関するものだから、法律の一般原則を持ち出した、ということなのでしょうが、これは権利濫用法理よりも使い勝手がいいですから、民間の有期労働契約の雇い止めにも使える可能性があります。そうすると、そもそも解雇じゃないから解雇権を濫用したわけでもないのに、その準用とか称してアクロバティックな法理をこねくり回している必要がなくなってしまうかも知れません。そうすると、これは大変影響が大きくなる可能性もあります。公務員官庁さんがお考えになることで、といって知らんぷりしているわけにはもしかしたらいけないかもしれませんよ。

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