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2006年3月30日 (木)

臨時職員雇い止め判決続報

昨日のエントリーの続きです。

昨日紹介したサイトに判決文の全文がスキャンしたPDFファイルで掲載されています。労判に載るのはだいぶ先でしょうから、しばらくこれで見ていきましょう。

http://www.f8.dion.ne.jp/~wtutokyo/06.3.24.pdf

判決は、まず原告の勤務関係は公務員任用関係であるとし、任用更新を繰り返されたからといって常勤職員に転化することもなければ、東芝柳町のように実質的に期間の定めなき契約と同視できるようになることもなく、日立メディコのように合理的期待に法的保護が与えられるのも困難、と、まずは原告の言い分を否定しています。

しかし、その後、権利濫用法理と信義誠実の法理は公法上の法律関係においても適用の余地のある普遍的法原理であるとし、最高裁の阪大図書館事件判決でも、特段の事情があれば「国賠法による賠償を認める余地がある」というのを引っ張ってきて、特段の事情があれば臨時職員の任用更新拒否が違法と評価されることがあり得るとし、いくつか下級審判決も引きながら、結論として、特段の事情が認められれば権利濫用法理ないし信義則法理により、任命権者は任用更新を拒絶できないという結論を導いているのですね。

ここが本判決のキモでありまして、昨日引用した「愛着」とか「明日からの生活」とか「冷淡すぎ」とか「相応の礼」とかは、「著しく正義に反し社会通念上是認し得ない」から、この「特段の事情」があるという論拠になるわけです。

どうなんですかね、これは。上記阪大図書館事件最高裁判決は、再任用の権利など全くないと断言した上で、そういう誤った期待を抱かせたんであれば、国賠の余地はあるといってるように思われるんですが、そこはあえて踏み越えているわけです。議論を呼ぶところでしょうね。

ただ、この判決が面白いのは、公務員制度改革の流れの中においてみると、別のインプリケーションを持ちうるかも知れないという点でしょう。公務員にも成果主義を導入するとか、成績が悪ければ免職もあるべしという話になってくれば、公法上の任用関係であっても解雇権濫用法理の準用という議論は当然あり得るわけで、そうなると準用の準用もあり得ますから、これはそれを先取りしたものということになるかも知れません。

いろんな意味で興味深い判決だと思います。

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