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2006年3月14日 (火)

FTさん、その記事はないよ

イギリスのフィナンシャルタイムズといえば、世界に冠たるハイクオリティ・ペーパー、どこぞの役所のリーク記事くらいしか読むべき記事のない経済を僭称している新聞紙とは全然違う・・・はずなんですが、ちょっとこの記事はひどいよ。

http://news.ft.com/cms/s/ab929c60-b209-11da-96ad-0000779e2340.html

中味は例のEUサービス指令案に関して、議長国オーストリアのシュッセル首相が欧州議会の修正案をもとにやるしかない、今さらまた原産国原則を入れ込もうとしたって無理だ、そんなことをしたらもはや指令の成立する見込みはないと発言したというのを(FTのリベラル志向の立場から)批判的に書いたものです。記者はジョージ・パーカー。

それはいい。というより、原産国原則を削除してしまったのは、社会民主党とキリスト教民主社会同盟の結託ではないかという印象が強いので、批判的な記事は当然とも言える。問題は、記事の中で「原産国原則」をこう説明していることです。曰く「会社に母国の法制のもとでサービス提供を認める、賃金や他の雇用条件に関して」。

をいをい、てめえら当事者だろうが。この極東の島国でサービス指令案を条文の隅から隅まで舐め回すように読んだのは憚りながらこの俺様一人だろうから、そういう馬鹿なことを言い出す奴がいてもまあ仕方がないかなとは思うが、天下のフィナンシャルタイムズでそういう馬鹿をさらけ出すなよ。そういうことを言われないようにするために、わざわざ第24条を規定しているんだろうが。

いや、もちろん、FTの立場としては、指令案第24条なんてものもけしからんのであって、賃金・労働条件についても厳格に原産国原則を適用すべきだという見解なのかも知れない。しかし、それならそう書くべきだ。少なくとも、この記事は、サービス指令案反対派から見れば、ほら見ろやっぱりそういう邪悪な法案だという証明になってしまう。

とにかく、この問題をしばらくフォローしてよくわかったのは、ヨーロッパでも法案ハンターイと叫んでいる人々の多くは実はきちんと条文を読んでいないということですが、法案サンセーイと叫んでいる人までそうであったか、というのは軽いショックではあります。

(追記)

と、こう書いたその日に、労働政策研究・研修機構の海外労働情報に同じ間違いが掲載されるというのも神様のお巡り合わせでしょうかね。

http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2006_3/eu_01.htm

「可決された指令案は、欧州委員会の当初案を大幅に修正し、・・・サービス従事者の雇用・労働条件に関しては、送り出し国でなく、受入れ国の条件が適用される」云々。

だから、始めからそうなっているんですってばあ、法定の労働条件に関しては。

あーあ、やっぱりこんなちっぽけなブログで発信しているだけでは何にも伝わってないな。

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