労働政策審議会に対する今後の労働時間法制の在り方についての諮問
目新しい話ではありません。今まで何回も書いてきたことの繰り返しですが。。。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/02/s0208-5a.html
厚生労働大臣が、労働政策審議会に対して、今後の労働時間法制の在り方について諮問をしたということです。その諮問文に曰く、
「成果等が必ずしも労働時間の長短に比例しない性格の業務を行う労働者が増加する中で労働者が創造的・専門的能力を発揮できる自律的な働き方への更なる対応が求められるなど・・・」
全く同じ間違いを繰り返して反省がないんですね。「中で」の前と後ろにどういう論理的なつながりがあるのか説明して貰いたいものです。
結局この問題は、管理監督者層よりも広い範囲に時間外手当の適用除外を拡大するという政策目的を、本来「創造的」「自律的」な人々のために作られた裁量制という枠組みを使ってやってしまったというところにボタンの掛け違いがあるんでしょうね。
で、もっとつっこんで考えると、管理監督者とはなんぞやということを、じっくり真剣に考えようとしてこなかったことがその原因にあるように思われます。
ある方からのご教示ですが、例えば一番典型的な管理監督者として工場長を考えてみましょう。工場長は工場が操業を開始する前に工場にきていなくちゃいけないし、操業が終了した後まで残っていなくちゃいけません。裁量制が適用される専門家みたいに「創造的」「自律的」に働けるはずがないのです。じゃあ、なんで工場長は裁量制の人みたいに時間外手当が出ないの?という問いは話がひっくり返っています。全然制度の趣旨が違うの!
今回対象にしようとしている人々だって、勝手にオフィスを離れてあちこちぶらぶらしてていい人じゃないでしょう。労働時間は拘束されているんです。仕事の中味が労働時間に制約されていない、つまり「成果等が必ずしも労働時間の長短に比例しない」ということなんであってね。
正直言って、こんな諮問をやっててどうなるか、大変心配。労働組合側も、本音では何でもかんでもサービス残業だ、時間外手当を払えと言うのも行き過ぎだと思ってるわけです、実のところは。で、じゃあどの辺で線を引くのがいいのか、それが公労使の審議会の役割のはずなんですが、まずは、どこが創造的なんだ、どこが自律的なんだというそもそも論をやらないといけないですねえ。この長時間労働をどうするつもりだ、過労死してもいいのか、過労自殺してもいいのか、いくらでも議論のネタはある。本題のカネの話になかなか入れないのではないでしょうか。
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