EUサービス指令、欧州議会を通過
ここ数年来EUの政治の焦点となってきたサービス指令案、通称ボルケシュタイン指令案が、昨日の欧州議会総会で欧州人民党(キリスト教民主グループ)と社会民主グループの賛成多数で修正の上可決されました。
これは欧州議会によるプレスリリースですが、ヨーロッパのマスコミにはいっぱい記事が出ています。
2月8日に両党間で成り立った妥協案というのがこれです。この形で修正されたのでしょう。
http://www.euractiv.com/29/images/060208am-services-en_tcm29-152370.pdf
原案にあった「原産国原則」をおとして「サービス提供の自由」に代えたというのが最大の修正点でしょう。サービス受入国は、他国のサービス業者の活動を制限してはいけないけれども、自国の規制を加えることは認められることになります。
労働関係では、労働法や労働条件に影響を及ぼさないこと、特に団体交渉や労働協約の権利が明記されています。また、労働者派遣事業が適用除外となっています。この辺は欧州労連のロビイングの結果でしょう。
ただ適用除外としては、社会福祉関係がごっそり適用除外というのが大きいでしょう。この辺は公益的活動であると同時に経済活動でもあるという点で、この指令の試金石でもあったわけですが、キリスト教民主勢力にとっては組織基盤という面もあるのかも知れません。
これでボールは再度閣僚理事会側に投げ返されたことになります。ぎりぎりいっぱいインかアウトか判断の難しいところでしょう。下手にハンドリングするとせっかく採択のチャンスが近づいたのに却って遠ざけることになりかねませんし、このままイエスというのもつらいところかも知れません。
欧州産業経営者連盟は即日「これはヨーロッパが必要とするサービス指令じゃない」という声明を発表。
http://212.3.246.117/1/PFOPIGADFKPAMDIGHOBIHKGNPDBN9DBY739LI71KM/UNICE/docs/DLS/2006-00197-EN.pdf
それに対して欧州労連は満足そうに、
http://212.3.246.117/1/PFOPIGADFKPAMDIGHOBIHKGNPDBN9DBY739LI71KM/UNICE/docs/DLS/2006-00197-EN.pdf
「欧州労働者の大勝利、ボルケシュタイン指令案は死んだ」と叫んでいます。
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