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2006年2月23日 (木)

EU指令でサッカーファンがレッドカードに直面って?

イギリスのデーリー・テレグラフといえば、いわゆる高級紙中では部数最大を誇る保守系、というか反EU、反組合論調で鳴らす新聞ですが、こういうちょっと変わったタイトルの記事がありました。

http://www.telegraph.co.uk/money/main.jhtml?xml=/money/2006/02/21/cbeu21.xml

「ECはサッカーファンをレッドカードに直面させるままにする」とでもいう感じでしょうか。

一体何事かと思うと、これが労働時間指令がらみの記事なんですね。

労働組合の馬鹿野郎がEUの労働時間指令で欧州委員会に駆け込んだために労働者はワールドカップでイギリスの試合が見られなくなっちゃう、てな導入部で、なんでそうなるんだろうと思って読んでいくと、こういうこと。

EU労働時間指令は1日の労働時間が6時間を超える場合には休憩時間を義務づけています。考え方は日本の労基法と同じです。これを受けたイギリスの労働時間規則でも、休憩時間を取る権利があると書いてあります。ところが、この記事によると、公式ガイダンスには、労働者が休憩を取れる(can)ようにせよと書いてあって、取る(do)ことを確保せよとは書いていないらしい。で、それはおかしいと、機械工組合のAmicusが欧州委員会に訴えて、欧州委員会がイギリスを欧州司法裁判所に訴えた、という話です。ホントかなと思って欧州委員会や欧州司法裁判所のサイトを見てみましたが、今のところ何も出ていません。まさか今はやりのガセネタでもないでしょうが、真偽のほどは不明です。

で、この記事は、それに対して小企業連盟(Federation of Small Businesses)が文句を言っているという記事で、その中に、これじゃあサッカーファンがランチタイムに仕事をしてその分早く帰って、6時のワールドカップの試合のキックオフに間に合うように家に帰れなくなっちゃうぞ、というのが出てくるのがタイトルの由来のようです。

小企業連盟としては、労働者が自発的にランチタイムを返上しても、その分早く帰れるんだからいいじゃないか、ということなんですが、さてほんとにそうなのか、日本人だったら、昼休み返上してもやっぱり最後まで残るでしょうが、イギリス人はどうなんでしょう。なんといってもオプトアウトの国ですから、みんながサッカーの試合のために早引けできるというわけでもなさそうですが。この記事を書いたグリベン記者はどうなんでしょう。

とにかく、ドーバー海峡には労働時間の高波が結構たくさん打ち寄せているようで。

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コメント

いつも大変興味深く拝見しています。
そして,先生の目配りの広さと意見の歯切れの良さに刺激を頂いています。
ところで,この記事について関連のありそうなデータを発見しました。
英DTIの行った調査Results of the first/second flexible working employee surveyです。この質問項目に,2002年雇用法で創設された「柔軟労働申請権」の行使において,実際にどのような柔軟労働が請求されているかがを尋ねたものがあります。これをみると,2004年に同権利を行使した労働者のうち8%,2005年では7%がcompressed working weekを選択したとあります(ただし,パートタイム,フレックスタイム,期間限定の労働時間短縮,在宅勤務よりは大分低い割合ではあります)。DTIの説明だと,これは休憩時間を削ってその分早く帰るという,まさに「圧縮」労働のようなのです。この数字だけではなんともいえませんが,イギリスでは実際にこういう労働形態を選択している人もある程度いるのかな,と思った次第です。

Kさん、情報有り難うございます。そういうのがちゃんとあるんですね。しかし、ワークライフバランスのための措置だというのには、ちょっと思いつかなかったのでびっくりしました。たしかに、サッカーの試合に熱中している連中はともかくとして、子どもを保育所に迎えに行かなくちゃいけない人にとっては、ランチタイムを削ってでも早く職場を出たいでしょうね。

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