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2006年1月 4日 (水)

男女均等法改正(労政審建議)

年末の12月27日に、労働政策審議会から「今後の男女雇用機会均等対策について」の建議が出されています。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/12/h1227-2.html

審議会(雇用均等分科会)における審議だけでも2004年9月に始められてから1年以上にわたっていますし、その前の男女雇用機会均等政策研究会での議論も含めれば3年越しの議論に一応結論が出されたことになります。

この研究会には、私もほんのちょびっとだけEUの話で協力したこともあり、今回の建議に至ったことには感慨があります。さあ、これから法案を国会に提出するという大仕事がありますから、あんまりあれやこれやと脇からコメントするのは控えた方がいいのでしょうが(私が法案担当者だったらそうです)、ほんのちょびっとだけ感想を。

まずは、出発点であれほど労使の間で隔たりが大きかった間接差別を、開かれた限定列挙という裏技でなんとか法律に規定してもいいよというところまでもっていった事務局の努力に敬意を表したいと思います。ほかの論点は始めからだいたい落としどころは見えていた感じですが、この問題だけは下手するとどこまで広がるかわからないものであるだけに、使用者側としてもうかつなところで譲歩するわけにはいかず、まとめられるのかな?と思っていたところです。

これは、上記研究会報告で提示された間接差別として考えられる7類型のうち、正社員とかパートタイマーといった雇用形態による差別などを除いた形ですが、これはやはり本来雇用形態による差別/格差はどこまで認められ、どこまで許されないかという形で、それとして議論すべき問題で、女性に対する間接差別という裏道作戦は本筋ではなかったというべきでしょう。特に、最近は、非正規雇用として、これまでのパートタイマーだけでなく、むしろ若年フリーター問題が大きくクローズアップされてきている時期ですから、これはやはり正面からそういう形できちんと議論すべきでしょう。EUでパート差別が間接女性差別という判例が確立していったのは、12月19日のエントリーにも書いたように、サッチャー政権がパート指令案をブロックしていたという政治的な状況の産物という面があるわけですから。

個人的に興味があるのは妊娠中及び出産後1年以内に行われた解雇は、事業主が妊娠・出産を理由とする解雇でないことを証明しない限り、無効とするという、挙証責任の転換の規定です。これは結構波及効果が大きいように思いますが、使用者側も(いったんは留保しながらも)最終的には受け入れたようですね。EUでは性差別、さらには他の理由に基づく差別についても、一般的に挙証責任が転換されていますが、この問題を今後どう考えていくのか、司法手続の在り方にも及ぶ問題という点で、一昨年の解雇規定の時の議論に通じるものもあり、フォローしていきたいところです。

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