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2006年1月 8日 (日)

ホワイトカラー適用除外の迷走

厚生労働省のHPに、今後の労働時間制度に関する研究会報告書の素案が掲載されています。いうまでもなく、ここ数年来規制改革サイドから要求されてきたホワイトカラー適用除外制が最大の論点なのですが、ざっと中味を読んでみると、なんだか話が迷走しているようにも感じられます。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/12/s1221-5.html

おそらく、企業側からこの動きを見てきた人にとって、一番あれっ?という感じになるのは、対象者の具体的イメージというところ(11頁)で、「企業における中堅の幹部候補者で管理監督者の手前に位置する者」や「企業における設計部門のプロジェクトチームのリーダー」といった者が対象労働者になりうることが想定される・・・というところではないかと思われます。

昨年6月に日本経団連が発表したこの件に関する要望書では、法定業務又は労使協定と月給・年俸要件、年収400万円(労使協定の場合700万円)要件だけで適用できるようにすることを求めていますから、かなりの認識ギャップではないでしょうか。おそらく、経営側としては、ある程度以上の総合職サラリーマンには広く適用できるようにしたいというイメージであったと思われますので、これはなかなか受け入れがたいでしょう。

http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042/teigen.pdf

もちろん、一方で、労働側はホワイトカラー適用除外制の導入に猛反発していますから、間をとればこういうことにならざるを得ないという判断なのかも知れません。

しかしながら、私にはこの問題の迷走はこれをもっぱら労働時間規制の問題として捉えて、その枠内でのみあれこれと考えたことにあるように思われます。

そもそも、この素案では、労働時間の問題意識として、仕事と生活との調和の観点からの長時間労働の是正という面と、高付加価値かつ創造的な仕事への対応という面の二つがあげられていて、前者に対しては年休や時間外の見直し、後者に対してはエグゼンプションという風に割り振られているのですが、人間の仕事の有り様というのはそういう風にきれいに分けられるものではなく、むしろ仕事の性格上労働時間の長短ではなく成果や能力で評価されることがふさわしい労働者にこそ、健康や生活への配慮が重要になってきているのではないでしょうか。

もともと、90年代に企画業務型裁量制が導入されるに至った議論の経緯からしても、その問題意識はもっぱら、時間外労働に比例する残業手当の支払いという仕組みが成果主義にそぐわないという問題意識だったはずです。そういう労働者がみんな「高付加価値で創造的」な仕事をしているかどうかは別の話ですし、できあがった成果はそうかも知れないけれど、そこに至るプロセスはそんなきれい事じゃないよというのがむしろ多数意見ではないでしょうか。

今回のホワイトカラー適用除外の話は、そういう「時間に払うんじゃなくて成果に払いたいんだ」という本音のところを隠して、高付加価値とか創造的とか美しげな言葉で「労働時間規制にとらわれない働き方を希望する者」の希望に応えるという枠組み設定をしてしまったために、いざ制度設計するとなると、あれやこれやと制限を付けまくることになり、結局経営側が求めていたものとはかなりかけ離れたイメージになってしまうという結果になってしまったように思われます(って、まだ素案ですから、決定したような物言いは控えておいた方がいいかもしれませんが)。

私は以前から、エグゼンプションの問題は賃金制度の問題であり、基準法37条と基準則19条をどうするかという問題なのであって、なまじ労働時間規制にとらわれない働き方なんていう絵空事を前提にしているとかえっておかしなことになるのではないかと危惧してきてきましたが、どうやらその心配が当たっていたようです。

このままでは、ここ数年来続いているサービス残業の摘発攻勢に対してもあんまり緩和策になり得ない程度のみみっちい改正になりそうです。

しかし仮に、経営側が求めるようにかなり広い範囲の労働者にエグゼンプションが適用されることになれば、これはこれで心配のたねはあります。そういう労働者が働きすぎて過労死でもされたら、何千万円場合によっては1億円以上の賠償金を払わなければならない可能性もあります。そうなったときに、エグゼンプションなんだから使用者は免責されるんだと、どこかの規制緩和の先生が弁護してくれる訳ではありません。

そろそろ、経営側も戦略を考え直すべき時期にきているように思われます。

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