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2006年1月20日 (金)

医療関係派遣の部分解禁

法改正事項ではないのですが、現在、厚生労働省の労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会で、禁止されている医療関係派遣のうち、産前産後休業、育児休業及び介護休業中の労働者の代替の場合と、僻地や離島の病院診療所に派遣する場合は認めるという案が審議されています。12月末には政令案が提示されており、近く制定されることになると思われます。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/12/s1227-11.html

 この問題は、直接的には昨年9月に構造改革特区に関する有識者会議から求められ、同年10月に政府の構造改革特別区域推進本部で決定されたことに基づくもので、それから急遽審議会での議論が開始されたものです。

というと、ああ、またぞろ、規制緩和サイドの圧力で、せっかくの労働者保護規制がねじ曲げられようとしているのか、とお感じの方もおありになるかと思いますが、実はこの問題、経緯を詳しく見ていくと必ずしもそういうわけでもないということがわかります。

というのは、もともと1985年に労働者派遣法が制定されたときには、この医療関係業務というのはネガティブリスト業務に入っていなかったのです。もちろんこのときは、対象業務はポジティブリストで決まっていたので、どのみち医療関係業務は対象ではなかったのですが、建設業務や港湾運送のように、ネガティブリスト、つまり積極的に派遣にしたら悪い業務と名指しされていたわけではないということです。

ということは、業務とは別の理由で特別に派遣を認める制度、つまり高齢者の派遣特例とか、育児休業・介護休業時の代替派遣については、医療関係業務も対象となり、別に問題はなかったということです。実際、看護婦さんの育児休業の代替というのはニーズも多く、結構利用されていたようです。

ところが、1999年に派遣法が抜本改正され、それまでのポジティブリストがネガティブリストに変わったその時に、なぜか政令改正という形で、医療関係業務がそっくりネガティブリストに放り込まれてしまったのです。国会の議事録では一切そういう議論はなく、法律制定後のどさくさでそうなっています。

その時の解説書を見ると、医療はチーム作業だからとか命に関わるとか書いてありますが、別に医療関係でなくとも多くの業務はチームで行われていますし、人の生命に関わる業務も医療に限られるわけではありません。そんなこといったら多くの職業の人々から怒りの声が上がるでしょう。

それに何より、それまで何の問題もなく行われてきた育児休業・介護休業の代替までがなぜ突然派遣法の趣旨からして許されざる悪行になってしまったのか、全然納得のいく説明はされていませんでした。

2003年改正時にもこの問題は取り上げられましたが、なんと紹介予定派遣だけ認めるという訳のわからない決着となっています。事前面接による人物特定を行えば、チーム医療に支障が出ないとか言う理屈なのですが、そもそも紹介予定派遣とは、派遣先への直接雇用を予定する派遣なのですから、もし違法な事前面接を潜脱するために、雇い入れる予定もないのに紹介予定派遣をするというのであれば、これは偽装に他ならないはずです。

こういうふうに、医療関係派遣については、派遣事業一般に関する勢力地図とはかなり状況が異なっていて、規制緩和サイドよりも規制維持サイドの方が横車を押しているという印象が強いのです。今回の政令改正も、第一点目はようやく1999年までは何の問題もなく行えていたことを復活するということですし、第二点目も、そもそも一番始めからネガティブリストだった建設業務にも部分的に派遣が導入されつつあるような時代の中で、つい数年前に飛び込んできた医療関係業務が未だに禁止されているということ自体不思議な感がします。

もちろん、医療関係者からすれば、医療は特別だということになるのでしょう。しかし、それを言い出せば、全ての業務はそれぞれに特別です。同じ厚生労働省の他の部局の所管する業務だけが、他の省庁の所管する業務の特別さよりももっと特別である理由は、必ずしも明らかとなっているわけではありません。

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