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2006年1月 6日 (金)

産業別最賃から職種別設定賃金へ

あまり一般受けするテーマではなく、どちらかというと労働業界のプロ好みの話ですが、現在労政審最賃部会で、産別最賃の廃止とそれに代わる新たな仕組みの話が大詰めにきています。昨年12月27日に建議をとりまとめる予定だったのが、労使の意見集約がつかなかったらしく、来週11日に延期されています。

その前の12月20日の部会に提示された公益委員試案(修正)が厚労省HPに掲載されているので、どういう方向に向かっているかがだいたいわかります。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/12/s1220-4.html

もともとこれは、2003年の総合規制改革会議答申で求められ、翌年閣議決定されたもので、厚労省が2004年から去年にかけて研究会を開催して既に報告書が出され、昨年6月から労政審で審議されていたものです。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0331-7.html

その意味で、産別最賃の廃止というのはいわば規定事項とも言えますが、その代わりに別の法律で「職種別設定賃金」というのを設けることにしたというのがこの案のミソと言えます。ちょっと見ると、産別最賃を廃止せざるを得ないから似たようなものを最賃という名前を付けずにこしらえることにしただけと思われるかも知れませんが(まあ、そういう面もないとは言えないでしょうが)、「職種」という概念を持ち込んだというところに、実は労働市場政策の大きな転換が見られるように思います。

日本の労働市場政策は、少なくとも1975年以降は明確に内部労働市場における雇用維持を最重要目標とし、そのために内部的柔軟性を最大化する企業行動を促進してきたと言えます。従って、外部労働市場につながる「職種」などというものにこだわる発想はなかったわけです。下手にこだわられては、雇用調整がスムーズにできません。

1990年代半ば以来、政策目標を雇用維持から再就職の促進へ移すという面では、内部労働市場志向から外部労働市場志向へ変わってきていますが、外部労働市場を成り立たせるべき「職種」概念については、能力開発政策を除けば必ずしも明確に位置づけられてきたとは言い難いようです。しかしながら、どういう種類の技能かということを抜きにして、一般的に「雇用される能力」などといってみても始まらないわけで、本当に外部労働市場を確立する方向に進むのであれば、再び職種に注目すべき時期が来ていたと言えましょう。

今回の「職種別設定賃金」がどこまでそういう歴史的転換点としての意識を持って提案されたのかは必ずしもよくわかりませんが(とにかく産別最賃の代わりを作るために何かもっともらしいのをでっち上げただけなのかも知れませんが)、少なくともこういう制度ができれば、これは現実の賃金設定の在り方や労使交渉の在り方に対しても一定の影響を与えることになると思われます。

また、賃金は職種ごとに技能で決まるものという方向に労働市場がシフトしていけば、これは当然教育システムにも影響を与えることになり、教育の職業レリバンスの回復に資するということにもなるでしょう。

そういう風に話が進むのかどうかは現時点では何とも言えませんし、まあたかが最賃の見直しの話からそこまで大風呂敷を広げることでもなかろうとたしなめられそうですが、正月早々ということもあり、ちょっと大きな話をしてみました。

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