かわいそうなヨブ
11月30日の記事の続報、というか、もっと前に出ていたものですが。
このマンゴルト対ヘルム事件の欧州司法裁判所法務官意見が6月30日付で出ています。
この中に目を疑いたくなるような記述があります。
この事件に対するドイツ政府の主張の中で、これは「でっちあげ」(contrived)だといっているんですね。
この事件の被告のはずのヘルム氏は弁護士であって、本件訴訟でドイツの法律について原告のマンゴルト氏と同じ見解を示しているというのです。
ナヌ?自分で人を有期で雇っておいて、それを認める法律がけしからんとはどういうことだ。
ドイツ政府が思うに、これは原告と被告が通謀して、ドイツのハルツ法を倒すためにわざとこんな裁判を起こしているんだ、解決すべき紛争など存在してないんだ、と。
それはまことにもっともな推測ではないかと思われるのですが、残念ながら我らが欧州司法裁判所の法務官様は、そういう疑いもないではないが、現にドイツの裁判所が先行判決を求めてきている以上、EU法の解釈を明らかにするのが我らが務めである、一般的ないし仮想的な疑問に応えるのは役割にあらずとして、退けてしまいました。
先月末の判決文の中には、もはやそういう裏事情を窺わせるような記述もありません。普通、法律屋は判決だけで議論しますから、こうやって奇特な野郎が法務官意見まで漁らないとその辺はよくわからなくなってしまいます。
しかし。
神様は偉いのだ。
ちゃあんとわかった上で、嘘つきが嘘をついているとわかった上で、正直者を罰せられるのです。
かわいそうなJobは耐えるのみです。
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