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2005年12月15日 (木)

日本版デュアルシステム

本日は日本の労働法政策の動きについてコメントします。

厚生労働省に設置された日本型デュアルシステムの今後の在り方についての研究会が報告書を発表し、実践型人材養成システムの制度化を提言しました。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/11/h1129-3.html

「企業が主体となって実習と座学を組み合わせ、現場の中核となる実践的な職業能力を備えた職業人を育成する「実践型人材養成システム」を、就労・就学に次ぐ「第三の選択肢」として立ち上げ、その普及を図ることが不可欠」というものですが、その制度設計を細かく見ていくと、「企業と訓練生それぞれにコスト面での効果をバランス良くもたらすもの」として、「企業にとっては、教育訓練機関で行われる座学に要する授業料等の経費は訓練生が負担することから、OFF-JTに要する経費の負担を求められる「企業主導型」と比べて相当の負担の軽減となる」一方、「訓練生にとっては、実習期間に応じた賃金収入が得られることとなる」とされています。

これを一口で言うと、実践型人材養成システムというのは、最低賃金の適用除外はしない代わりに、教育訓練費用は実習生負担にすることで企業の負担を軽減しようとするものであると、考えてよいように思われます。
契約としては、労務と報酬の交換である労働契約と、教育訓練と報酬の交換である教育訓練契約の複合契約という位置づけになると思われますが、それはまさに徒弟契約そのものではないのでしょうか。
(徒弟契約では労務の報酬と教育訓練の報酬を始めから相殺して労務提供と教育訓練の双務契約と構成されますが、実体的には同じではないかという趣旨です)

私は以前、ユーロピアノ事件の判例評釈(ジュリスト1267号)で、【①完全な労働契約として一定期間使用者側のコスト負担を求めるか、②労働契約ではないとして本来与えられるべき労働者保護を失わせるか、という選択にならざるを得ない。①が労働法学的には正しい解決であっても、労働経済学的には問題があること、労働力が流動化すれば①がますます困難になることは前述の通りである。その意味でも、公共職業訓練とは切り離した形での一般的な「研修生」契約を概念化する必要性が高まってきていると思われる。 】と述べたことがあります。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/europiano.html

今回の「実践型人材養成システム」とは、これをやや異なった形で実現しようとするものといってもいいように思われます。

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