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2005年11月28日 (月)

労働時間の通算

イギリスのストロー外相が、欧州議会で興味深い演説をしている。

http://www.fco.gov.uk/servlet/Front?pagename=OpenMarket/Xcelerate/ShowPage&c=Page&cid=1007029391647&a=KArticle&aid=1131975367895

最後に近いあたりで、EU労働時間指令の話を持ち出し、これは安全衛生だろう、イギリスは安全衛生については立派なもんだぜと自慢しておいて、宿敵フランスの攻撃にかかる。曰く、

いくつかの欧州のパートナーは、正当にも-と私は信じるが-、労働時間が労働者ごとにではなく、契約ごとに適用されている国があると懸念を表明している。これは、複数の職を持つ労働者が48時間以上、全く規制もされず、保護もされないで働くことができるということを意味する。これは安全衛生あるいは雇用慣行の観点からは意味をなさない。

これら諸国のいくつかは、労働時間指令に対して公然と厳格なアプローチを主張している国でもあるのだ。話が自国の規制になったら、ごまかしってわけだ。

これはこの欧州議会に関わる問題だ。我々は、全ての労働市場に適合した指令の実施方法を見いだす必要がある。全ての労働者がまっとうな雇用上の権利を享受し、誰も「グレイ・エコノミー」に押し込まれることのないようにしなければいけない・・・。

話の文脈はもちろん、イギリスに認められた48時間労働のオプトアウトを維持すべきということなのだが、偉そうにイギリスの長時間労働を批判するフランスの偽善ぶりを暴露するのに、複数雇用契約の場合の労働時間通算の問題を持ち出しているところが面白い。

なんてったって、EU労働時間指令は安全衛生法規なのだ。こっちで8時間、あっちで8時間、それで問題ありませんってのは、筋が通らないでしょうってのは、動機の不純さは括弧に入れても正論といわざるを得ない。

と、これだけで話は終わらない。なんてったって、こなた極東の長時間労働国では、いままで複数就業者の労働時間を通算するというふうにしていたのを、外そうという話になってきているのだ。9月に発表された労働契約法制研究会報告では、兼業制限を原則無効とする関係で、この通算を外そうと提言しており、不思議なことに、この報告の基調に批判的な人までがこの点だけは妙に評価していたりする。

だいたい契約法で安全衛生に関わる労働時間を下手にいじること自体に問題があるわけだが、それ以上に、個人の自由とか自己決定とかいう大義名分がつくとお犬様のお通りになってしまう風潮に問題があるんじゃなかろうか。

日本より遙かに個人主義的なはずの極西の長時間労働国の外相の皮肉たっぷりの言葉に、いろいろと考えるところがあった。

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