2018年10月21日 (日)

教師職務の専門性と学校メンバーシップの無限定性

文部科学省の中央教育審議会の学校における働き方改革特別部会なるところで、いろいろと議論がされているようなんですが、去る10月15日の会議の資料に「意見のまとめ及び今後の方向性」というのがあり、おそらくこういう方向性で議論をまとめていこうとしているんだと思うのですが、

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/079/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/10/16/1410185_6.pdf

正直言って、どういう理路で物事を考えようとしているのかよくわかりかねるところがあります。

冒頭の「教師の専門性、期待される働き方について」がそもそも、時間外勤務抑制に向けた制度的措置を検討する前提となるはずなのですが、そこでは一方で、

教師は、語彙、知識、概念が異なる子供たちの発達の段階に応じて、内容を理解 させ、考えさせ、表現させる中で、学習意欲を高める授業やコミュニケーションを 行うことができるという専門性を持つ。これが教師の専門職としての専門性であ り、時代が変わり社会全体が高学歴化しても相対化されないもの。 こうした教師の専門性を社会全体で共有した上で、この専門性に相応しい職場環 境を整える必要がある。

と言っていて、これはこれでよく理解できます。教師は確かに医師や研究者などと並んで社会的に確立した専門職であり、専門職なるがゆえにそう簡単に硬直的な労働時間規制に載せられにくいところがあるのはその通りです。他方で、とりわけ日本の現場の教師たちの働いている時間は決して専門職的なものばかりではありません。そこも(やや曖昧かついささかどうかと思われる点もありますが)ちゃんと指摘されています。

現在の教師の長時間勤務の背景には、教師が学習指導や生徒指導といった教職の 専門職である教師としての専門性が求められる業務に加え、その関連業務について も範囲が曖昧なまま担っている実態があると考えられるが、このような状況を前提 とするのではなく、業務を精選して教師が本来業務に専念できるようにすること が、本来前提とすべき教師の業務の在り方である。

生徒指導までが「専門職である教師としての専門性が求められる業務」に含められてしまっていることが、労働時間が野放図に伸びていく元凶という認識がないように見えるのがいささか問題ですが、でも言っている理路はその通りだと思われます。ところがそれに続くのが、

教師は、教育活動の実施に当たり、すべてを管理職からの命令に従って勤務する のではなく、日々変化する子供に直接向き合っているそれぞれの教師がその専門性 を発揮することにより、教育の現場が運営されることが期待されている。この点で 給特法の制定当時の考え方は現在にも当てはまる。

いやいや、給特法が教師の専門性云々というのはうそでしょう。もし本当にそうであるなら、なぜ公立学校の教師にだけその言うところの専門性があって、私立学校や国立学校の教師にはその言うところの専門性がないのか、きちんと説明してもらう必要がありましょうよ。

いやたしかに、ときどき私立学校の教師の解雇事件なんかが裁判所にやってきて、その判決を見ていくと、ついでに出てきた残業代を巡って、私立学校側があたりまえのように、公立学校の給特法に倣ってやってましたと口走り、そんな法律は全く適用されておらず労基法が100%適用されている私立学校がいかに自分の法的地位を理解していないかがよく露呈したりするんですが、それもこれも、単に公立学校に勤務する地方公務員という単に行政法たる公務員法上の地位に付随するものに過ぎない給特法を、あたかも(その官民の身分の違いに関わらない)教師という職業の専門性に基づくものであるかのように勘違いしている人々が山のようにいるからであることが窺われるわけですが、まあ、文部科学省という法律による行政に責任を有するはずの大本山が、こういう実定法の明文の規定に反する間違った認識を平然と描いているんだから、もって瞑すべしということでしょうか。

というわけで、

一方で、教師にこうした専門性があるからといって、現行の労働法制上も求めら れている勤務時間管理があいまいなままで、長時間勤務となっている実態は看過す べきではない。

というのは誠にもっともなんですが、そもそも今教師がやらされている仕事のうち、本当の意味で、「専門性」に立脚している部分はどれとどれなのか、もう一段踏み込んだ腑分けが必要ではないのかなと。

そうでなければ、けっきょくこれまでの学校メンバーシップ型の、学校や生徒に関わることは何でもかんでも無限定に教師の仕事というあり方からそう簡単に足抜けはできそうにないように思われます。

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馬場公彦『世界史のなかの文化大革命』

372279 中国に関する本は、時々気になって読むんですが、この本もその一つ。「世界史の中の」というにはやや話半分で、「アジアの中の」くらいかなという感もありますが、それにしても、文革に先立つインドネシアの9・30事件から始まり、その後のスハルト政権による共産主義者華僑虐殺、台湾中華民国と日本とアメリカをつなぐ中国包囲網の中で発動される毛沢東の文化大革命、というストーリーは、『マオ』などでも基本的に中国国内の視座から描かれていた文革を、かなり複合的な視座から見えるようにしてくれる本だと思いました。

インドネシアの9・30事件って、同時代的には日本でも結構報じられたそうなんですが、その後露呈してきた文化大革命やらポルポトの虐殺やらのおかげで、私世代にとってはほとんどよく知らない分野になっています。たまたま4年前に「アクト・オブ・キリング」という映画を見る機会があって、おかげで本書の導入はすっとは入れたところがありますが、日本が高度成長の昭和元禄に酔っていたころ、アジアはなかなか激動していたんですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-26a5.html (アクト・オブ・キリング)

本書にとって、読みようによっては余計な盲腸みたいに思える部分が、最後近くの日本共産党から除名された日本共産党山口県本部のなれの果てみたいな『長周新聞』という生きた化石みたいなマオイスト集団のはなしですが、今日ただいまなお天安門事件の学生たちへの武力鎮圧を断固支持するこういう人たちが、ちゃんと生き延びて言論活動をしていられるのが日本なんだなあ、という」思いをじわじわと掻き立ててくれるという意味で、本書にとって不可欠の部分なのかもしれません。

ちなみに、その『長周新聞』のサイトはこちらです。

https://www.chosyu-journal.jp/

いわゆる「共産趣味者」にとってはとても楽しめるコンテンツがいっぱいです。

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2018年10月20日 (土)

倉重公太朗ディナーショー

Original 本日、倉重公太朗ディナーショーに出席してきました。いや、お手紙には、「当日は鏡割りをよろしく」とあったので、そうだと思っていたら、突然祝辞が回ってきて、とっさに「同志です!」みたいなことを喋ったような気がしますが、動転していてあんまり覚えていません、なんて。

ディナーショー?倉重さんって弁護士でしょ?と思ったあなた。いやいや倉重さんが今までいた安西法律事務所から独立して、来週から「倉重・近衛・森田法律事務所」として出発する、その記念のパーティというわけです。

いやしかし、ギンギンのロックスター張りの登場シーンから始まって、この演出はすごい。慶應の応援団はご愛敬でしたが、社労士の皆さんのロックバンドをバックに絶唱するにはなかなかしびれましたぜ。

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『DIO』10月号

Diodio 連合総研の『DIO』10月号は「変革期の労使関係課題を考える」が特集です。

http://www.rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio341.pdf

変革期の労使関係課題を考える

「 働き方改革」と労使関係の課題 石田 光男

成果主義的な人事・賃金制度における賃金表と 労働組合の役割 西村 純

どうして外部労働市場の機能強化が必要なのか 阿部 正浩

労働研究者の業界事情に詳しい人から見ると、石田光男さんと西村純さんという師匠と弟子が並んでいるのはなかなか興味深いラインナップではあります。

西村さんのは、例の玄田さんの『なぜ上がらないのか』本でも話題になった、ゾーン別昇給表の話が主です。実を言えば、昨日の「べあから賃金水準へ」という話も、このゾーン昇給制のせいでベアをやっても消えてしまって昔のベアのように後に残らなくなっているというのが結構大きかったりします。

さてここでは、その西村さんの師匠筋の石田光男さんの方を取り上げておきます。

タイトルはやや大まかですが、論点は働き方改革の中心課題の一つ、同一労働同一賃金がなぜ日本では本質的に難しいのかという、最も基本的な問題です。物事を徹底的に考えるとこうなるという一つの模範的な例です。

・・・このテーマは容易に解答の 見出せない難題中の難題であったということ になる。日本の何がこの本来平易なはずの問 題を難題にしているのか。

 1-1.欧米諸国の「同一労働」

 まず確認しなくてはならない点は、これが 少しも難題ではない欧米諸国の実情を知るこ とである。国々の細かな違いや、労働者の賃 金なのか経営者の俸給なのかといった細部の 議論を飛ばして言えば、これらの国々では、 そもそも賃金というものは、日本のように個 別企業が管理の手段として活用できるものとは考えられていなかったということを知る必 要がある。この職業(英国)、この職務(米国)、 この熟練(ドイツ)がいくらかは市場で決ま る。企業はその賃金水準を受け入れる以外に ない。この場合、経営者は、その職業や職務、 熟練に応じて決まる市場賃金を与件として受 け入れざるを得ないが、その上で、できるだ け必要な課業(個々の具体的な業務)を労働 者に受容させようとする。これに対して、労 働者は、社会的にあらかじめ決められている と想定される職業・職務・熟練などの概念で 括られた課業の範囲に固執し、範囲を越える 課業の受容を拒否する。受容させようとする 力と拒否する力との対抗が、課業の範囲とレ ベルを巡る取引になる。この取引が職場の労 使関係である。ここでは、「同一労働」は社 会的に人々に共通に理解されている職業・職 務・熟練を指す。そこからの逸脱は、拒否さ れるか、職場の取引によって価格付けされる ので、「同一労働同一賃金」という概念は、 絶えず労使当事者によって意識され確認され る原則となる。

 1-2.日本の「同一労働」とは何か

 日本で、上記のテーマが難題であるのは、 課業があるのは当然であるけれど、課業を括 る概念としての職業・職務・熟練が、社会的 に人々の共通理解として成立していないため である。仮に部分的に存在しているにしても、 それが労働の全域を覆っていないためであ る。企業経営の立場からすれば、賃金は市場 で決められた与件として与えられるのではなく、最大限の課業遂行を確保することを目的 とした労務管理の手段として行使できるのが 賃金である。そういうものとしての日本の賃 金は、では、何に対応しているのか。

 日本の課業は、上に述べた「社会的にあら かじめ決められていると想定される職業・職 務・熟練の課業の範囲に固執し、範囲を越え る課業の受容を拒否する」と表現される欧米 の課業とは根本的に異なることに細心の注意 を払う必要がある。欧米では、課業は職業・ 職務・熟練に制約されていて、そこからの逸 脱は労使紛争を伴うのであるから、欧米にお ける課業は事前に静態的に設定されていると 理解することが肝要である。日本の場合、職 業・職務・熟練などの、課業を包括する言葉 を欠いているという事実は、日本に存在する 課業は事業運営の必要に応じて柔軟に、かつ 事後的に動態的に設定されていて、課業のレ ベルの集合を識別的に表す安定的な語彙表 現が不可能であることを意味している。

 ところで、労使関係は[労働支出⇔賃金] の取引の様式に他ならない。日本で、「労働」 が同一か否かを識別することにかくまでも無 頓着であったのは[、労働支出:どんな業務(課 業=taskの集合または範囲)を、どこで、何 時間かけて、一人当たりどれだけの業務量を どれだけの出来映えで達成するのか]に関す る経営の決定が大きな制約を受けずに職場に 浸透する労使関係であるからである。

 従って、日本の「同一労働」の識別のため には事業運営の実際の観察から抽出する以外 に接近する方法がない。その実際とはPDC Aを企業全体で駆動させているという事実に あり、この事実からの論理化にはPDCAの 構造的特徴に着目する必要がある。個別具体 的な課業はP(目標)とC(実績)との乖離 を克服するための営為であるから、動態的に ならざるを得ないが、その変動を含めた動態 的課業の範囲の大枠は、個々人が服するPの レベル(重要性や影響度等)によって統御さ れている。従って、個々人の労働の差異は個々 人が服するPのレベルによってしか識別でき ない。

1-3.正規労働と非正規労働の識別

 この基本線に沿って考えると、(1)正規 社員か非正規社員かの雇用区分は、PDCAの作動する範囲内の動態的労働の担い手が 正規社員、PDCAの作動を予定せず、事前 に決められた課業の集合を単に遂行すれば可 とする労働の担い手は非正規社員とし、(2) 正規社員の社員等級の設定は、Pのレベルの 序列を「役割」ととらえ、役割の等級による ものとする、という考え方が日本の労働実態 と整合的である。

 しかし、非正規社員でありながら、PDC Aの作動の下で働いている多くの人々がい る。この人々の中には、正規社員の働き方が、 勤務地、労働時間の点で私生活に不都合だ からという理由で非正規社員としての就労を 選択している人々も多い。その労働は誰に強 制されたものでもなく労働市場でクリアされ ている。だから何も問題はないのだという通 念があった。この通念を活かそうとすれば、 「同一労働」の識別にあたって、労働の難易 度や複雑性の相違と並列的に勤務地の制約 の有無、労働時間(特に残業時間)の相違を 根拠にして、正規社員の労働と非正規社員の 労働は区分されるという考え方になる。

 だが、この考え方は、制約のない[労働支 出]を受容する人と受容しない人との処遇の 相違が正規社員と非正規社員の雇用区分にま で影響を及ぼす、日本の労使関係の性格の問 題性に関心が届いていない。[労働支出](= 「働き方」)が、経営の決定にほぼ委ねられて いて、[労働支出⇔賃金]の取引が明示的取 引にならずに「取引なき取引」にとどまって いることが生んでいる正規社員たちの労働の 「息苦しさ」への無関心と言ったらよいのか。 この無関心を反省できるかどうかが、今後の 労使関係の性格を決する。

「ジョブ型」とか「メンバーシップ型」というややおおざっぱで緻密さに欠けるものの言い方で表現しようとしているものの姿が細密画のように描き出されているのがわかるでしょう。

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2018年10月19日 (金)

「べあ」から賃金水準へ

As20181019000058_comm連合が「2019 春季生活闘争 基本構想」を公表したのに対して、朝日新聞がやや揶揄的に「春闘、月額賃金へ 政権とトヨタ影響? 連合が方針転換」と書いていますが、

https://www.asahi.com/articles/ASLBL3SMZLBLULFA00C.html

労働組合の中央組織・連合が春闘要求の方針変更を打ち出した。ベースアップ(ベア)率を強調する手法を改め、大手企業と中小企業の格差是正という課題に取り組むと説明する。だが、春闘ではここ数年、政権に主役の座を奪われがちで、傘下労組を束ねる力にも不安を抱える。狙い通りになるかは未知数だ。・・・

まあ、いま現在の日本社会状況を前提にすればそういう揶揄にも的を射ている面があるのは確かなんでしょうが、新聞記者さんの脳裏にはたぶん存在しない、そもそも労使関係とは何か、労働組合とはなにをするものか、団体交渉とはなにを決めるものか、というそもそも的本質論からすれば、特殊戦後日本的な「べあ」という絶対に英語に訳せない訳の分からない言葉が中心にでんと構えていた特殊な労使交渉の在り方が、少しは外国人に説明して分かってもらえるかも知れないものになるかも知れないという話でもあるわけです。

労働組合というのは別にある会社の従業員の集まりではなく(それは従業員代表機関という別の組織)、企業を超えた産業別の労働者の集まりであり、それがこういうスキルレベルのこういうジョブの労働者の値段はいくらいくらだよという価格設定を決めるのが団体交渉(集合取引)であるという世界から見れば、ある企業の人件費総額の昨年度との差分を従業員数で割った「べあ」という一人一人の具体的賃金額を直接決定しない概念をめぐって社内交渉をする世界はかなり異質なものであるわけです。

でも、そういう異質な世界にどっぷりつかった目からすれば、春闘が賃金水準自体を目的にするという、日本以外では当たり前すぎることが大変おかしな出来事に見えるわけですね。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2019/houshin/data/houshin20181018.pdf

・・・2019 闘争はその足がかりを築いていく年である。まずは、足下の最大の課題である中小組合や非正規労働者の賃金を「働きの価値に見合った水準」へと引き上げていくため、賃金の「上げ幅」のみならず「賃金水準」を追求する闘争の強化をはかっていく。

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2018年10月18日 (木)

第135回日本労働法学会

Headerimg02再来週の土日、早稲田大学で日本労働法学会があります。年1回で土日開催になって初めてなので勝手が分かりませんが、土曜夜の懇親会が最大のイベントであることに変わりはないのでしょう。

https://www.rougaku.jp/contents-taikai/135taikai.html

土曜日は個別報告と新しいワークショップというもので、

<1日目・土曜日>            

  1. 受付開始 11:15〜
  2. 個別報告 12:00〜13:00                
    第一会場
    • テーマ「公務員の法的地位に関する日独比較法研究」
                              報告者:早津 裕貴(名古屋大学)
    第二会場
    • テーマ「フランスの企業再構築にかかる法システムの現代的展開」
                              報告者:細川 良(労働政策研究・研修機構)
     
    第三会場
    • テーマ「アメリカにおける労働組合活動に対する憲法的保護の歴史的変遷――市民団体との比較から」
                              報告者:藤木 貴史(一橋大学大学院)
     
  3. ワークショップ 第1部13:20~15:20 第1部15:40~17:40                
    第一会場
    • テーマ「フランスの労働法改革」
                              司会:矢野 昌浩(名古屋大学)
                              報告者:小山 敬晴(大分大学
    • テーマ「結社の自由について改めて考える ―東アジア諸国における「結社の自由」の法制・実態を踏まえて」
      司会:香川 孝三(神戸大学名誉教授)
      報告者:藤川 久昭(弁護士)
    第二会場
    • テーマ「「同一労働同一賃金」の立法政策」
                              司会:村中 孝史(京都大学)
                              報告者:島田 裕子(京都大学)
    • テーマ「「労働時間法」をどのように構想するか?                        -「労働時間」の法規制の過去と現在、そして未来を考える」
                              司会:唐津 博(中央大学)
                              報告者:長谷川 聡(専修大学), 北岡大介(社会保険労務士)
    第三会場
    • テーマ「LGBTと労働法の理論的課題 ―トランスジェンダーを中心に―」
                              司会:名古 道功(金沢大学)
                              報告者:内藤 忍(労働政策研究・研修機構),濵畑 芳和(立正大学)
    • テーマ「山梨県民最高裁判決の意義と射程範囲                         ―労働契約関係における労働者の同意」
                              司会:水口 洋介(弁護士),石井 妙子(弁護士)
                              報告者:鴨田 哲郎(弁護士),木下 潮音(弁護士)
      コメンテーター:1名(研究者予定)
  4. 懇親会 18:00~20:00

JILPTの細川さんの個別報告は、彼が毎年フランスに行って調べてきている激動する現代フランス労働法制の一端ですが、日本との比較という観点からもとても面白いと思います。

ワークショップはどれを見に行くか迷ってます。

日曜日の大シンポは、知財法です。

<2日目・日曜日>            

  1. 受付開始 8:45〜
  2. 大シンポジウム報告 9:30~12:00
    統一テーマ:「労働法と知的財産法の交錯 ――労働関係における知的財産の法的規律の研究――」                
    報告:                     
    1. 1. 野川 忍(明治大学)
                              「シンポジウムの目的・テーマの俯瞰」
    2. 2. 河野 尚子((公財)世界人権問題研究センター)
                              「営業秘密・不正競争防止法と守秘義務」
    3. 3. 石田 信平(北九州市立大学)
                              「営業秘密保護と退職後の競業避止義務」
    4. 4. 土田 道夫(同志社大学)
                              「職務発明・職務著作と労働法の規律」
  3. 開催校挨拶・総会(学会奨励賞審査結果報告) 12:00~12:20
  4. 休憩・昼食 12:20~13:00
  5. 総会(学会奨励賞審査結果報告以外の議題) 13:00~13:30
  6. 特別講演 13:35~14:25                
    菊池高志会員(九州大学名誉教授)
    「労働法「学」の立ち位置を考える」
  7. 大シンポジウム報告・討論 14:30~18:30                
    報告:                     
    1. 5. 天野 晋介(首都大学東京)
                              「労働法と知的財産法の交錯領域における集団的利益調整」
    2. 6. 茶園 成樹(非会員、大阪大学)
                              「労働法と知的財産法の交錯(知的財産法研究者によるコメント)」

あまり勉強してない分野ですが、たぶんとても重要なはず。

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2018年10月16日 (火)

労働関係図書優秀賞に神林龍さんの『正規の世界・非正規の世界』

24820今年度の労働関係図書優秀賞に、神林龍さんの『正規の世界・非正規の世界』が選ばれました。

https://www.jil.go.jp/award/bn/2018/index.html

まあ、これはだれが見ても文句なしの一冊でしょう。

本ブログでの紹介はこちらです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2017/11/post-9678.html

目次は下に掲げるとおりですが、何しろ冒頭、『ああ野麦峠』から始まって、女工供給組合の話が延々と続き、そしてILO条約に基づく公共職業紹介事業がいかに地方の抵抗でうまくいかなかったかという話、口入れ屋は身元保証をしてくれるけれども公共はしてくれないからダメだみたいな話が、戦時体制下で国営化している話と、ここまでで2章。

タイトルになっている正規と非正規についても、期間の定めよりも『呼称』が重要というところに、日本の非正規の特徴を見出し、それがむしろ自営業の減少に代わって増えてきたことを示しています。いやいやこの辺りは精密な分析がいろいろされているので、こんな片言隻句で紹介しない方が良いかもしれない。

他にあまり似たような議論を見たことがないのが第7章で、ジョブをさらに分解して、タスクレベルで仕事がどうシフトしてきたかを分析していて、大変興味をそそられました。民主党政権の失政で仕分けされてしまったキャリアマトリックスを活用した分析だという点も重要でしょう。

ちなみに、金子良事さんの評はこちら。

https://twitter.com/ryojikaneko/status/1031364665773776897

神林龍さんの本を読んでいるんだけど、分析結果も分析手法も専門家以外にも分かるように丁寧に書かれているという美質がある一方、神林さんの洞察は分析プロセス以外から来る深みもあって、最初から分かっている人以外にはハードルが高いのでは、という気もしている。皆さん、どうですかね。

https://twitter.com/ryojikaneko/status/1043876989256384512

近経だと間違いなく、トップランナーは神林龍さんだと思うけど、神林さんも新しい枠組みを切り拓いていくというよりも、足元をしっかり固めていくタイプだからな。

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短時間労働者の社会保険からの排除と復帰@WEB労政時報

WEB労政時報に「短時間労働者の社会保険からの排除と復帰」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=800

 去る2018年9月から社会保障審議会年金部会で被用者保険のさらなる適用拡大についての審議が始まりました。これは、同年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」において、「働き方の多様化を踏まえ、勤労者が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆保険制度の実現を目指して検討を行う。その際、これまでの被用者保険の適用拡大及びそれが労働者の就業行動に与えた影響についての効果検証を行う」と書かれていることを受けて始まったものです。この「勤労者皆保険制度」という言葉は、自民党の小泉進次郎氏らが近年打ち出しているもので、いかなる雇用形態であっても、企業に働く人が全員加入できる制度を意味します。

 本来、被用者保険と住民保険の二本立ての世界で国民皆保険というのであれば、被用者はすべて被用者保険に、被用者でない者はすべて住民保険に、という制度設計であるべきだったはずです。しかし、1958年の国民健康保険法は被用者でありながら被用者保険の未適用者であった者を住民保険の適用者にする形で問題を「解決」してしまい、しかもその後の行政運用は被用者保険の適用対象であった短時間労働者までも「内々のお手紙」でその外側に排除してしまうという経緯をたどってきました。小泉氏らの「勤労者皆保険」は、その半世紀以上にわたるボタンの掛け違いを根っこに戻って掛け直そうという意欲が示されているようです。・・・・・

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2018年10月15日 (月)

日本のエリート学生が「中国の論理」に染まる?

昨年の「第三回日中雇用、労使関係シンポジウム」でご一緒した阿古智子さんが、現代ビジネスに「日本のエリート学生が「中国の論理」に染まっていたことへの危機感」を書かれています。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57941

Img_1b6854e8fbb82a4d6fa2bbb9b5dbe5b先日、コメンテーターとして学生団体の討論会に招かれた。参加していたのは、日本、中国ともに国を代表するようなエリート学生ばかりで、日中学生の混合チームが、流暢に英語でプレゼンテーションした。・・・

・・・ここまでは、筆者の頭にもスムーズに話が入ってきたのだが、この後、首をかしげる展開になった。

学生たちは、事例として沖縄と中国の少数民族を取り上げたのだが、「高い同質性を求める日本社会は、沖縄の人たちを独立した民族として認めず、彼らの独自の言葉も文化も尊重せず、日本の国民として同化する政策を行ってきた。それに対して、中国の少数民族は集団的権利を認められており、その独自の言葉、宗教、文化は尊重され、教育や福祉において優遇政策がうまくいっている」と説明したのだ。

そして最後に「日本は民族間の境界を曖昧にするが、中国ははっきりさせる。民族の分類が明確になれば、民族アイデンティティを喪失することはない」と結論付けた。・・・

・・・中国の少数民族の文化は尊重され、優遇政策がうまくいっているというのは、いったい誰にどのように話を聞いて、そう判断したのか。

おそらく、学生のほとんどが沖縄に、中国の民族自治区に出向いて調査してはおらず、間接的にでさえ、現地の状況を詳しく調べたり、関係する人々に話を聞いたりはしていないだろう。

学生たちが打ち出した極端に単純化されたロジックは、複雑な現実を反映しておらず、そこからつくられた問題解決のためのモデルは、実際に使えるような代物ではなかった。

特に、民族の分類や民族が重視する基本的関心事項を、「誰が、どのように決めているのか」という問いを、学生たちは分析の中に入れていなかった。

民族の定義や領域については多くの論争がある。中国では、党・政府が中心となって民族を規定し、民族政策を実施している。

基本的に、共産党政権が認める限られた少数民族のリーダー、専門家、社会団体しか、政策の決定・実施のプロセスに関わることができない。・・・

一方に思考力が欠如したような毒々しいだけの中国憎悪的な書物や文章が氾濫する一方で、素直に物事を考えれば(少なくとも「エリート学生」ならば)頭に浮かぶはずの疑問もなく、中国政府や共産党の宣伝言説をそのまま持ってきて事たれりとしてしまうような、日本人の中国認識の奇妙な薄っぺらさがここに露呈しているというべきでしょうか。

標題に「「中国の論理」に染まる」云々とあるのは、実はいささかミスリーディングで(おそらくもう一つの薄っぺら思考の読者に媚びる意図もあって編集部が付けたのでしょうが)、日本のエリート学生(と称されている若者たち)の与えられた情報を素直に処理するだけで物事をしっかりとじぶんの脳みそで考える能力の奇妙なまでの弱さが、阿古さんのいらだちの根っこにあるように思います。

・・・討論会の最後に私が、「僻地のコミュニティに入って、抑圧されている人たちの声を聞いたことがあるの?あなたたちの視点は、あまりにもエリート主義的ではないか」と問うと、学生たちは黙り込んでしまった。・・・

これは中国の少数民族問題だけの話ではないように思います。

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かながわ労働センター川崎支所の労働講座

かながわ労働センター川崎支所のホームページに、講演の案内がアップされているようです。

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/jg5/cnt/f7615/

【日時】平成30年12月14日(金曜日)14時30分から16時30分まで
【講師】独立行政法人 労働政策研究・研修機構 
労働政策研究所 所長 濱口 桂一郎 氏
【内容】「働き方改革の時代における企業の対応」
◆働き方改革関連法改正までの経緯や、将来に向けて企業は人事労務管理制度等をどのように考えていく必要があるかなど、今後の企業の対応等について、日本の労働政策に詳しい講師に解説していただきます。
【場所】川崎市生活文化会館(てくのかわさき)
てくのホール
川崎市高津区溝口1-6-10
JR武蔵溝ノ口駅、東急溝の口駅から徒歩5分
【募集人員】70人程度(申込み先着順)
【受講料】無料

だそうです。

ちなみに、このページには同じ労働講座として二人の(労使それぞれの側の)弁護士さんによる講演も載っています。

日時】平成30年11月22日(木曜日)
18時30分から20時30分まで
【講師】弁護士 嶋崎 量 氏(神奈川総合法律事務所)
【内容】「働き方改革」の実務解説
-関連法成立を踏まえた労働時間分野への対応-
【場所】てくのかわさき(川崎市生活文化会館)
1階 第1・2研修室

もう一人は

【日時】平成30年12月3日(月曜日)14時30分から16時30分
【内容】「働き方改革総点検~ハラスメント・労働時間・同一労働同一賃金~」
【講師】弁護士 倉重 公太朗 氏
【場所】川崎市産業振興会館 9階研修室

今度、安西法律事務所から独立される倉重さんではありませんか。

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2018年10月14日 (日)

ヨーロッパ社会民主主義の崩壊

Sweeney_bio 「ソーシャル・ヨーロッパ」に、Paul Sweeneyの「ヨーロッパ社会民主主義の崩壊」(The Collapse Of European Social Democracy)という文章が前後2回に分けて掲載されています。

https://www.socialeurope.eu/the-collapse-of-european-social-democracy-part-1

https://www.socialeurope.eu/the-collapse-of-european-social-democracy-part-2

その最後のパラフラフ「結論」の部分を紹介します。

日本の社会民主主義(みたいな)勢力は、そのスウィーニーが失われたと嘆くかつての社会民主主義全盛期の政策に近づいたことすらありませんが、スウェーニーの嘆きが、日本におけるリベサヨ批判と妙に共鳴しているように聞こえるのも一興です。

The main conclusion is that, in the face of the immense power and speed of hyper-globalisation, Social Democrats sought accommodation through market-friendly policies with finance, with Multinational Corporations (MNCs) and others. They should have used the power of the state to regulate and tame this growing market power for the greater good. Their major mistake was that they de-regulated finance precisely at the time when they should have increased regulation. In the face of rapid and massive change, SDs forgot about the power of their old ally, the state. Theory was forgotten in the face of overwhelming circumstances whilst pragmatism based on dominant ideas, not philosophy, took over.

結局、超グローバル化の巨大な力とスピードに直面して、社会民主主義者は市場と仲良しの政策を通じて金融界、多国籍企業その他との協調を求めた。彼らはより多くの善のために国家権力を使ってこの増大する市場権力を規制し、飼いならすべきであったのだ。彼らの主な間違いは、規制を強めるべきまさにその時に金融を規制緩和してしまったことだ。急速かつ大規模な変化に直面して、社会民主主義者は彼らの長年の同盟者-国家-の力を忘れてしまった。圧倒的な状況に直面して、理論は忘れ去られ、哲学ではなく支配的な考え方に基づく実用主義が引き継いだ。

The state is the dominant actor because it sets the rules of the market, it protects the public, firms, and intellectual property.

国家は市場のルールを設定し、公衆と企業と知的財産を保護するので支配的なアクターである。

The globalised economy would not work without states setting and enforcing the rules of the marketplace. And when states work together, they are even more effective. They do this in international rules-based organisations like the EU and WTO.

グローバル化した経済は国家による市場のルール設定とその執行なしには機能しない。そして国家が協調すれば、より効果的である。EUやWTOのような国際的なルールに基づく機関ではそうしている。

When demanded by the crash of 2008, the state demonstrated – beyond any doubt – that it can take the neccessary actions to re-regulate banks, to print money, to “do what it takes,” to bail-out the most powerful banks and the largest companies – even the US car industry – and save the economy as a whole.

2008年の破綻で求められたとき、国家はいかなる疑いをも超えて、銀行を再規制し、貨幣を印刷し、やれることは何でもやって、最も強大な銀行や最大手企業-アメリカ自動車産業すらも-を救済し、経済全体を救うために必要な行動をとった。

However, the emphasis in recent decades has been on the protection of the firm; of privatising scientific commons by extensions and enforcement of IP laws; of corporate forays into the heart of public services in search of profits at the cost of workers and citizens; and of investor rights over the public interest.

しかしながら、過去数十年間、強調されてきたのは企業の保護であり、知的財産権法の拡大と適用による科学的共有財産の私有物化であり、労働者と市民の犠牲による営利目的の公共サービスの中核への企業の略奪であり、公共利益よりも投資家の利益の優先であった。

Firms play a crucial role in the economy, but market-friendly policies went too far and need to be reined in. The relationship of the state to market has become one of subservience.

企業は経済において枢要の役割を果たすが、市場と仲良しの政策はあまりにも行き過ぎており、手綱を引き締める必要がある。国家と市場の関係は屈従の関係になってしまった。

By adopting many of the policies of the conservatives, SD abandoned the dialetic between the two main opposing sides of politics. Without a clear choice, voters quit them for the apparent alternatives – the populists of left and right.

保守派の政策の多くを採用することによって、社会民主主義者は政治の主な対立軸の間の弁証法を放棄した。両者間に明確に選ぶところがなければ、選挙民は彼らを去って明確な他の選択肢に向かう-左翼と右翼のポピュリストに。

SDs must again learn to use the strong state to pursue their agenda, and cooperate internationally. If Social Democracy is to revive, it has to go back to its roots around the strong state over market, support but oversee trade, regulate financial flows and overall finance, protect the vunerable. SDs must set rules which favour citizens over corporations, deal with media ownership by promoting greater diversity, tackle climate change effectively and address immigration in humanitarian ways – thereby restoring the dialectic between it and centre-right conservatives.

社会民主主義者は再びその政策目標を追求し、国際的に協調するために、強力な国家を使うことを学ばなければならない。もし社会民主主義が復活するならば、それはその原点、すなわち、市場に対する強力な国家、交易の支持と監視、金融の流れの規制、弱いものの保護に立ち帰らなければならない。社会民主主義者は企業よりも市民を有利に扱うルールを設定し、そうして社会民主主義と中道右派の保守主義との弁証法を取り戻さなければならない。

The neo-liberal economic economic system of the past 30 years collapsed in 2008. But it is only being marginally reformed. Banks “too big to fail” are already bigger than then. People are disillusioned, feel unrepresented and are moving to right and left populism, which offer no solutions. What credible, clear, left political philosophy will stand as the alternative to populism or to conservative values?

過去30年間のネオリベラルな経済システムは2008年に崩壊した。しかしほんの僅かばかり改革されただけだ。「潰すには大きすぎ」た銀行はすでに当時よりも巨大になっている。人々は幻滅し、だれにも代表してもらえていないと感じ、右翼と左翼のポピュリズムに向かっているが、それは何の解決にもならない。ポピュリズムと保守派の価値に対する代替選択肢として打ち立てられるべき信頼でき、明確な左派の政治哲学は何だろうか?

Social Democrats need to return to the state, to re-valuate it, re-value it and again harness its power for all citizens to address the excesses of the market. They need to ensure that the state once more becomes dominant over the market, that delivery of all public services is world class and that the state ensures individual liberty is guaranteed.

社会民主主義者は国家に立ち返り、国家を再認識し、国家を再評価して再びその権力をすべての市民のために、市場の行き過ぎを強制するために活用する必要がある。彼らは国家がもう一度市場に対して支配的となり、すべての公共サービスが世界クラスとなり、国家が個人の自由を保証するように確保する必要がある。

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2018年10月12日 (金)

『日本の労働法政策』の案内

JplabourlawJILPTのホームページに、『日本の労働法政策』の案内がアップされました。

https://www.jil.go.jp/publication/ippan/jp-labour-law.html

定価: 3,889円+税 2018年10月30日刊行予定 A5判 1,110頁 ISBN78-4-538-41164-4

労働政策関係者の座右の書 日本の労働政策の歴史、基本思想、決定プロセス、体系、個々の制度内容、実施機構、等を余すところなく考察した労働政策の体系書。働き方改革関連法の深い理解のためにも必読。 東京大学名誉教授 菅野和夫

なお、刊行にあわせて、11月7日に東京労働大学講座で「日本の労働法政策100年の変転 ―働き方改革と未来の展望―」を開催します。

https://www.jil.go.jp/kouza/tokubetsu/20181107/index.html

働き方改革関連法案が成立し、労働時間の見直しなど働き方改革の実現に向けて、企業の取り組みが進められています。今回の法改正により、わが国の労働法政策の姿は大きく変容することになります。労働法制全般にわたって大幅な改正が行われたことを機に、当機構では労働政策研究所所長・濱口桂一郎著による『日本の労働法政策』を出版することにしています。

本講座では、わが国の労働法政策の形成過程を踏まえて、著者から今回改正された労働時間法制および同一労働同一賃金にかかわる法政策を解説するとともに、今後の課題を考えます。

講義後には講師との質疑応答の時間も設けております。

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雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会

来週金曜日(10月19日)に「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」が開催されるようです。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01810.html

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000364604.pdf

今年3月に報告書をまとめた雇用類似検討会の後継というだけではなく、規制改革会議で検討が求められた放送制作現場の働き方についても議論されるようです。

委員は格段に増えていますね。

芦野 訓和 東洋大学法学部教授
阿部 正浩 中央大学経済学部教授
荒木 尚志 東京大学院法学政治学研究科 教授
安藤 至大 日本大学経済学部教授
小畑 史子 京都大学大学院人間・環境学研究科教授
鹿野 菜穂子 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
鎌田 耕一 東洋大学名誉教授
川田 琢之 筑波大学ビジネスサイエンス系教授
桑村 裕美子 東北大学大学院 法学研究科准教授
鈴木 俊晴 茨城大学人文社会科部法律経済学科准教授
土田 和博 早稲田大学法学学術院教授
長谷川 聡 専修大学法学部教授
水町 勇一郎 東京大学社会科学研究所教授
村田 弘美 リクルートワークス研究所グローバルセンター長

放送現場の話というのは、今年6月の規制改革会議の答申にこうあります。52ページです。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/toshin/180604/toshin.pdf

g 放送に係る制作現場でのフリーランスなど雇用類似の働き方について、総務省の
協力を得て、実態と課題の整理・分析を行い、雇用類似の働き方の保護等の在り
方についての全般的な検討の材料とするとともに、放送に係る制作現場における
当面の必要な措置につき検討する。

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2018年10月11日 (木)

在留資格は特定技能

秋の臨時国会に提出される入管法改正案の中身が報じられています。

http://www.sankei.com/politics/news/181011/plt1810110008-n1.html(熟練技能者は永住可能に 外国人受け入れ法案骨子)

外国人労働者の受け入れ拡大に向け、政府が秋の臨時国会に提出予定の入管難民法などの改正案骨子が11日、判明した。受け入れが必要な業種で、知識や経験など一定の技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と熟練技能が必要な業務に就く「特定技能2号」という在留資格を新設する。

 1号は在留期限が通算5年で家族帯同を認めないが、2号は事実上永住を認め、配偶者と子供の帯同も可能とする方針だ。資格は定期的に更新し、取り消しもあり得る。・・・

受け入れ拡大は深刻な人手不足が背景にあり政府は来年4月の導入を目指す。

骨子によると、生産性向上や日本人労働者確保の取り組みをしても、なお人材が不足する分野で外国人を受け入れることとし、今後具体的に定める。介護や農業、建設など十数業種が検討対象となっている。

じわじわと情報が出てきていたので、大体そうだろうなという方向になっているようですが、問題は、どこにどういう外国人を受け入れるのかの判断が、

受け入れるのは即戦力で生活に支障がない程度の日本語ができる外国人。各業種を所管する省庁の試験などを経て、1号や2号の資格を取得する。技能実習を修了した後に1号の資格を得られる仕組みも設ける。

と、「各業種を所管する省庁」に委ねられていることです。

これは大変皮肉なことで、ちょうど30年前に労働省が雇用許可制をぶち上げ、法務省が激怒してこれを叩き潰したときは、要はどういうところにどういう外国人を入れるか入れないかの判断権限を両省間で奪い合ったわけですが、結局30年後になって、こういう一般的な外国人労働者導入制度を設けるという段になって、日本社会全体、日本の労働市場全体の観点から判断する政府機関というのはどこにもなく、ある業界が「うちの業界は人手不足だからなんとかしてくれ」といえば、その業界を所管する省庁が、「うちのかわいい〇〇業界が泣きついている」と、いそいそと入れることを決め、法務省は淡々とそれに従って在留資格を出し、厚生労働省は淡々と労働法を適用するだけという、まあそういう仕組みに落ち着いたようですね。

地方集権、中央分権の日本政府にふさわしい決着なのかもしれませんが、誰も全体構想をハンドリングしないまま、各業界ごとのばらばらの要望で事態がどんどん進んでいき、気が付いたら、人が集まらない業界は外国人だらけになっていたということになりかねない気がします。

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2018年10月 9日 (火)

『続・企業内研修にすぐ使えるケーススタディ』

Bk00000524例によって経団連出版の讃井暢子さんより日本能率協会コンサルティング編著『続・企業内研修にすぐ使えるケーススタディ』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=524&fl=

◆人材育成からナレッジ活用、企業体質改革まで
◆「設問」「ケースのねらい」「具体的事例」「解題(最低限気づいてほしいこと)」で構成
◆社内コミュニケーションを活発化する参加型研修
◆自社版のケース創作のポイントやインストラクターの役割もわかる

ケーススタディは、実際に起こったこと、あるいは起こりそうな事例を題材として、問題の発見から解決策の立案までを疑似体験することにより、問題発見力、問題解決力、業務遂行能力を高める研修手法です。日常の業務遂行には知識以外に経験が必要とされることから、ケーススタディを通じて、問題を早期に発見し、自信を持って対策を実行する力の幅が広げられます。経営環境が厳しく、変化のテンポも目まぐるしい今日、日々生じる問題を自分で予測・発見し、解決していく「自律型人材」の育成に本書の活用をおすすめします。

○○おもなケース○○
【営業活動】 がんばろう型営業からの転換
【キャリアデザイン】 定年後に向けたキャリアデザイン
【サービス現場のマネジメント】 レストラン店長のマネジメント業務
【ナレッジ活用】 「お客さまの声」の活用
【クレーム対応】 クレーム対応の原則構築
【組織活性化】 従業員意識調査と組織活性化推進
【プロジェクト運営】 合併企業のシナジー発揮
【部門間連携】 営業と営業サポート部署の連携
【部門間連携】 全社的視点にもとづく業務効率化
【企業体質改革】 「選ばれる病院」への変革

ケースのストーリーがなかなかよくできていて面白いです。特に、「クレーム対応」の章。

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