ヤニス・バルファキス『黒い匣』

453574 ヤニス・バルファキス『黒い匣 密室の権力者たちが狂わせる世界の運命』(明石書店)を訳者の皆様からお送りいただきました。訳者は朴勝俊、山崎一郎、加志村拓、青木嵩、長谷川羽衣子、松尾匡の方々です。そう、あの松尾さんも訳者に加わっているんですね。

http://www.akashi.co.jp/book/b453574.html

この終わりなき悪夢の物語は2015年、債務の束縛に抵抗して立ち上がったギリシャの人びとの、半年間の反乱の実録である。おぞましく行使される欧州の権力。だが希望は傷つくことなく残っている。これは普遍的な、そしてまさに日本にとっての物語なのだ。

著者のバルファキスはギリシャのシリザ政権の財務相としてEU,ECB,IMFのいわゆるトロイカと闘った人ですが、この分厚い600ページ近い本はその戦いの記録です。

著者による日本語版への序文と松尾さんによる訳者解説が意を尽くしているので、そのリンクを張っておきます。

http://www.akashi.co.jp/files/books/4821/4821_j-introduction.pdf (序文)

・・・2015年1月25日、ギリシャの有権者たちは、国の荒廃につながるおぞましい不況を終わらせ、尊厳を踏みにじられた状況にピリオドを打つために、私たちの政権を選択した。本書で私は、この反乱の物語をありのままに綴った。私が財務大臣に選ばれるまでの経緯から、ギリシャ経済の機能を麻痺させ人道上の危機を深刻化させている緊縮策を終わらせるために、ギリシャの債務の再編を実現するために、私がどのように身を砕いていたのかに至るまで、すべてを余すところなく、ゾッとするほどの詳細さをもって記述した。・・・

政治家の回想録は山のようにありますが、一国の財政の責任者だった人がまだ血のにじむ直近の時期のことをここまで微に入り細をうがってあからさまに書き記したものは珍しいのではないでしょうか。

http://www.akashi.co.jp/files/books/4821/4821_explanation.pdf (松尾解説)

こちらでは例によって、日本のねじれ現象を指摘しています。

Yanisvaroufakis さて、このバルファキス氏、本ブログで紹介している「Social Europe」の常連寄稿者でもあります。

https://www.socialeurope.eu/author/yanis-varoufakis

松尾解説で紹介されている「ヨーロッパを救うニュー・ディール」はこれですが、

https://www.socialeurope.eu/new-deal-save-europe

その後もいくつもエッセイがアップされています。

ちなみに、バルファキス氏の批判に対する反論として書かれたピケティらの文章を、本ブログで紹介したことがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-a196.html (ヨーロッパを民主化する-税金で?それとも借金で?)

 

Thomaspiketty1166x166 例によって、「ソーシャル・ヨーロッパ」から本日付の最新の記事を。今回は「Democratising Europe: by taxation or by debt?」(ヨーロッパを民主化する-税金で?それとも借金で?)。筆者は7人連名ですが、顔写真はトマ・ピケティです。

 

https://www.socialeurope.eu/democratising-europe

 

これは、昨年12月の「欧州民主化宣言」(Manifesto For The Democratization Of Europe)の続きのような記事で、ヤニ・ヴァロファキスによる批判に対する反論になっています。

 

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2018/12/post-2595.html (ソーシャル・ヨーロッパにピケティ登場)

 

The main criticism by Varoufakis seems to be the following: why do you want to create yet more new taxes when one can create money? Our budget is indeed financed by taxation, whereas his plan is financed by public debt.・・・

ヴァロファキスによる主たる批判は次のようなものだ。お金を作り出せるときになぜもっと新たな税金を作り出そうとするのか?我々の提案が税金で賄われるのに対して、彼のプランは公的債務で賄われる。

 

To act as if everything could be settled by the issuance of a debt and to deem as negligible the question of fiscal justice and the democratic legitimacy of decisions concerning political economy, while restricting oneself to the eurozone, do not seem very convincing to us. ・・・

債券を発行することで万事が解決するかのようにふるまい、財政的正義と政治経済に関する意思決定の民主的正統性の問題を無視してもいいものとみなすことは、我々を納得させるものではない。

 

ヨーロッパでも、(ピケティら)税金で財政拡大すべき派と借金で賄えばいい派の対立があるようです。

 

 

 

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特定技能外国人労働者の受入れ@『労基旬報』2019年4月25日号

『労基旬報』2019年4月25日号に「特定技能外国人労働者の受入れ」を寄稿しました。

 2018年12月8日に入国管理法等の改正案が成立し、去る今年4月1日に施行されました。これにより「特定技能1号」「特定技能2号」という新たな在留資格が創設されました。これは、これまで専門技術的分野に限ってきた外国人材の受入れを技能労働者層に大きく拡大する法律です。今回はここに至る日本の外国人労働政策の流れを振り返ってみたいと思います。
 そもそも日本では1960,70年代に、外国人労働者を受入れないという旨の閣議決定を繰り返していました。外国人労働者の受入れが政策課題として議論され始めたのは1980年代後半のいわゆるバブル経済期で、労働省は1988年に雇用許可制(使用者が外国人を雇入れる場合に事前に雇用許可を取得することを義務づける制度)を提案しました。これに対して出入国管理行政を所管する法務省が猛烈に反発し、雇用許可制は実現しませんでした。しかし、法務省は1989年に入国管理法を改正し、ブラジルやペルーなどの南米諸国に移住した日系人の二世・三世に対して、就労に一切制限のない定住者という在留資格を与えることで、企業側が要求していた外国人労働力の導入に(サイドドアから)対応したのです。また、同改正は「研修」という在留資格により事実上の労働力を労働者ではないという名目で導入することを可能にしました。
 1993年に成立した研修・技能実習制度は、労働者ではないとみなされる「研修生」の時期と、労働者であると認められる「技能実習生」の時期を結合した制度で、法務省と労働省の妥協の産物です。当初の制度設計では、2年間のうち初めの3分の1が労働者ではない「研修」で、残りの3分の2が労働者である「技能実習」とされ、後に3年間のうちそれぞれ初めの1年間と残りの2年間とされましたが、その実態は研修と技能実習とでほとんど変わりがなく、オンザジョブトレーニングで作業する労働者そのものでした。やがて累次の裁判例によって研修生の労働者性が認められ、入国管理法の改正が求められるに至ります。
 政府部内でも規制改革会議や経済財政諮問会議、厚生労働省が制度の見直しを求め、2009年の入国管理法の改正により、3年間通じた「技能実習」という在留資格を設け、座学以外は雇用関係による就労と位置付け、全面的に労働法を適用することとしました。同時に、それまで事実上認められていた団体監理型という一種のブローカー方式の労働力需給調整システムが法律上に明記されました。
 その後も技能実習制度に対しては法令違反や不正行為が後を絶たず、その適正化が強く求められました。一方、企業側は技能実習生を利用できる期間の延長を求めました。そこで、法務省と厚生労働省が合同で学識者による検討会を開催し、その報告書に基づいて2016年に技能実習法が成立しました。これにより、3年間の技能実習が終わって一旦帰国した者がさらに2年間技能実習できることとなり、計5年間実習生として就労できることになりました。一方、多くの問題が指摘されていた監理団体(需給調整のブローカー)に許可制を導入し、場合によっては許可を取り消すこととするとともに、実習実施機関(企業や農家など)を届出制とし、個々の技能実習計画を認定制とするなど、制度の厳格化を図りました。
 しかし、法律上は労働者として認められているとはいえ、特定の企業や農家で技能実習するという条件の下で就労が認められていることから、技能実習生が別の企業に転職することは原則として認められていません。そのため、特に地方の低賃金企業や農家から脱走して、都市部の高賃金企業で闇就労する者が後を絶ちませんでした。また、依然として技能実習生に対するセクハラなどの人権侵害行為も指摘されました。
 以上のような外国人労働者政策を抜本的に変更する政策が、2018年2月の経済財政諮問会議において、安倍晋三首相から提起されました。中小企業での人手不足が深刻化していることを背景に、在留資格の上限を定め、家族の帯同を基本的に認めないという条件の下で、多様な業種における技能労働力として外国人労働者を受入れるという方針です。官邸のタスクフォースで議論が進められ、6月の「骨太の方針」に制度の大枠が示されました。さらに法務省で検討が進められ、11月に法案が国会に提出され、12月に成立し、2019年4月に施行されました。
 新たに設けられた「特定技能」という在留資格は2つに分かれます。「特定技能1号」は特段の訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる技能水準の者であり、業所管官庁が定める試験で確認しますが、上記技能実習2号修了者は試験が免除されるので、実際には当面、技能実習生から特定技能1号に移行する者が主となると思われます。特定技能1号の在留期間は5年で家族の帯同は認められません。技能実習期間と併せれば計10年間単身で就労することとなります。
 これに対し「特定技能2号」は熟練した技能であり、自らの判断により高度に専門・技術的な業務を遂行でき、あるいは監督者として業務を統括しつつ遂行できる水準とされています。こちらは在留期間の更新に上限がなく、家族の帯同も認められるので、より移民政策の性格が強いと言えます。
 外国人労働者の導入に対しては、労働市場に対するマイナスの影響を懸念する国内労働者の不安を払拭する必要があります。そこで、法律上対象業種は「人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業分野」とされ、業所管官庁と協議して法務大臣が指定するとされています。しかし、2018年2月の経済財政諮問会議の時点では5業種程度が例示されていただけですが、法制定後に閣議決定された基本方針では14業種に膨れあがっており、事実上様々な業界の人手不足の悲鳴をほぼ聴き入れた形となっています。
基本方針に定める受入れ業種:1介護業、2ビルクリーニング業、3素形材産業、4産業機械製造業、5電気・電子情報関連産業、6建設業、7造船・舶用工業、8自動車整備業、9航空業、10宿泊業、11農業、12漁業、13飲食料品製造業、14外食業。
 さらに、受入れ分野における人手不足の状況について継続的に把握し、人手不足でなくなった(言い換えれば、労働力過剰になった)場合には、受入れ方針を見直し、在留資格認定証明書の交付を停止したり、省令から当該分野を削除することも検討するとされています。とはいえ企業にとって、ある程度長期間就労してその企業の仕事に慣れた外国人を解雇して、技能の乏しい日本人失業者を採用することは合理的な行動ではありません。現在の好景気が終了し、日本経済が不況に陥ったときに既に外国人を大量に導入した労働市場で何が起こるのかは、現時点では予測することは困難です。
 また、高賃金を払えない中小零細企業が外国人労働者を最低賃金程度で雇用することで、その分野の労働市場に対して賃金低下の悪影響を及ぼすのではないかという国内労働者の懸念に対応して、省令上「報酬の決定・・・その他の待遇について差別的取扱いをしてはならない」と規定され、外国人の報酬額が日本人が従事する場合の報酬額と同等以上であることが求められています。とはいえ、そもそも日本人労働者が応募しようとしないほどの低賃金だから人手不足に陥っている職種については、これは必ずしも高賃金を保証するものではありません。むしろ、特定業種の特定職種は、外国人労働者に依存する低賃金構造が固定化する可能性もあります。
 法制定後に指摘されるようになったこととして、都会と地方の賃金格差が大きいことの影響があります。日本の最低賃金制度が都道府県別に設定されており、最高の東京都の1時間985円から最低の鹿児島の1時間761円まで約3割もの格差があります。人手不足に悩む地方の中小企業が現地の最低賃金近辺で雇用した特定技能外国人材は、都会に行けばもっと高い賃金が得られると知れば、転職することに躊躇しないでしょう。上記技能実習生と異なり、(人手不足であると認定された)同じ業種の中では転職することに制約はないからです。この問題に対しては、与党自民党の内部から全国一律最低賃金制にする提案が出されてきていますが、厚生労働省の賃金課長が特定技能対象職種については全国一律最低賃金とする私案を提示したところ、大きな波紋を呼び、内閣官房長官が否定するという騒ぎになるなど、この問題の決着の方向は未だ見通せません。

 

 

 

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國武英生『労働契約の基礎と法構造』

07999_1 國武英生さんより『労働契約の基礎と法構造 労働契約と労働者概念をめぐる日英米比較法研究』(日本評論社)をおおくりいただきました。ありがとうございます。

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7999.html

労働法における基本概念である「労働契約」について、近時の世界的変容を視野に置き、日英米の比較法を用いて探究する力作。 

本書は、今世界的にホットな話題になっているテーマを正面から取り上げていて、見れば気になり、読まざるを得ない本です。

著者は英米労働法が専門なので、主にイギリスとアメリカの雇用契約概念と被用者概念の歴史を丹念にたどり、今日のシェアリングエコノミー下における英米における法的対応がどういう歴史的条件の下でなされているかをわかりやすく説明してくれます。

序 章
  第1節 問題の所在
  第2節 問題の構造
  第3節 方法と構成

 第1章 わが国における労働契約と労働者概念
  第1節 労働契約と労働者概念
  第2節 労働者概念に関するわが国の裁判例
  第3節 課題の確認

 第2章 イギリスにおける雇用契約概念の形成と展開
  第1節 イギリスにおける雇用契約の形成
  第2節 雇用契約と労働法の適用対象の構造
  第3節 準従属的労働者への法的対応

 第3章 アメリカにおける被用者概念の形成と展開
  第1節 被用者概念の歴史的形成
  第2節 アメリカにおける「被用者」概念
  第3節 全国労働関係法における「被用者」
  第4節 アメリカにおける「使用者」概念
  第5節 小括

 第4章 雇用関係の構造
  第1節 シェアリング・エコノミーと雇用関係
  第2節 イギリスの学説と改革案
  第3節 アメリカの改革案
  第4節 比較法的考察
  第5節 小括

 第5章 総合的理解の試み
 第1節 英米における雇用契約の構造分析
  第2節 労働契約の基礎と法構造

なお、研究の内容自体ではないのですが、ちょっと気になった点を。第4章のはじめの方にアルン・スンドララジャンの『シェアリング・エコノミー』が引用されているんですが、彼の名を「アルン前掲注~」という風に引用していて、なんか違和感がありました。そこはスンドドラジャンじゃないかと。

もっと姑みたいなことを言うと、『LIFE SHIFT』の著者は「リンダ・グラットン・アンドリュー・スコット」と4つの名前が「・」でつながっているんですが、いやこれはリンダ・グラットン(女性)とアンドリュー・スコット(男性)の2名でしょう。そして、『中世英国人の仕事と生活』の著者は「テリージョーンズ・アランエレイラ」と、まるで一人の名前みたいになっていますが、いうまでもなくテリー・ジョーンズとアラン・エレイラの共著でしょう。

 

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労働組合は賃金カルテルだが・・・(前書き付き再掲)

最近、全港湾がストライキの突入というニュースが流れてきたのですが、よく見ていくと、使用者側がいささかトンデモ系の主張をしていたようです。もとより、組合側の要求する賃金水準が妥当なのかそうでないのかはここで軽々しく言えるようなことではないですが、その前段階で、そもそも産別レベルで労使交渉で業界の最低賃金を決定すること自体が独禁法に違反するのではないかというようなことを言っているらしく、さすがにそれは労働法に対して無知、というかわざと無知を装っているように受け取られかねません。

情報労連の対馬洋平さんのツイートから:

https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1118335827908501505

労働組合による企業横断的な賃金要求を「独占禁止法に抵触するおそれがある」って、いつの時代ですかっ! 産別の最低賃金には賃金ダンピングによる、業界の過当競争を防ぐ役割もあるんです! 協会側にそれがわからない?

https://twitter.com/yohei_tsushima/status/1117773475945406464

協会側が「産別最賃制度」について、中央労働委員会が「独占禁止法上問題にならない」とあっせん案を出しても、「独禁法に触れるかどうか、公正取引委員会に聞きに行く」と言っているそうです。http://zenkoku-kowan.jp/cgi/blog/diary.cgi?no=235

中労委は言う通りだと思いますが。労働組合は賃金カルテル

この最後の「労働組合は賃金カルテル」というのは、もう8年も前に本ブログに書いたエントリのタイトルとほぼ同じなので、労働関係者にとっては今更の話ですが、そこを一歩出ると意外にほとんどわきまえられていない「常識」を、改めてご紹介することにも何らかの意味があるかと、再アップさせていただきます。なお冒頭のごちゃごちゃした話は、あまり気にしないでいいです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-1383.html (労働組合は賃金カルテルだが・・・)

「ニュースの社会科学的な裏側」さんに、評論家相手に詰まらん喧嘩を売るな、と諭されたこともあり、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/--9bf9.html(「犬も食わない池田-濱口論争を整理」されました)

淡々と、事実のみを指摘し、労働問題に関心のある方々への参考としたいと思います。そうしておけば、変なイナゴも湧いてこないでしょうし。

さて、例によって池田信夫氏のつぶやきですが、

http://twitter.com/#!/ikedanob/status/80854685522739200

>労働組合は賃金カルテル。ワグナー法までは違法だった

例によって、半分だけ正しいというか、一知半解というか、いやいやそういうことを言ってはいけないのであった。どこが正しいかというと、

1890年のシャーマン反トラスト法が、連邦最高裁によって労働組合にも適用されると判決されたことにより、まさに「労働組合は賃金カルテル」となりました。

これに対し、1914年のクレイトン法が「人間の労働は商品ではない」と規定して、労働組合の行動を反トラスト法の対象から除外したのですが、なお当時の司法はいろいろと解釈して反トラスト法を適用し続けたのです。

それをほぼ全面的に適用除外としたのが1932年のノリス・ラガーディア法で、これを受けて、むしろ積極的に労働組合を保護促進するワグナー法がルーズベルト大統領の下でニューディール政策が進められていた1935年に成立します。

ですから、学生ならお情けで合格点を与えてもいいのですが、社会科学に関わる人であれば「ワグナー法までは違法だった」で落第でしょう。

で、ここからが本題。

このように労働組合がカルテルであるというのは、つまり労働者が企業の一員ではなく企業に対する労働販売者であり、労働組合とはそういう労働販売者の協同組合であるという認識を前提にします。労働組合がギルドだという言い方も、同じです。

欧米の労働組合は、まさにそういう意味で労働販売者の協同組合として、社会的に位置づけられているわけですが、日本の労働社会ではそうではない、というのが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_a4ee.html(半分だけ正しい知識でものを言うと・・・)

の最重要のポイント。

日本の企業別組合は、企業の一員(メンバー)であることが要件であり、そのメンバーシップを守ることが最重要課題なので、自分が働いている職場に、自分のすぐ隣で、同じ種類の労働をものすごい安売りをしている非正規労働者がいても、全然気にしないのです。そんなもの、カルテルでもなければギルドでもあり得ない。

アメリカは自由市場イデオロギーの強い国なので、こういう反カルテル的発想から反労働組合思想が発生しがちなのですが、少なくともそのロジックをそのまま日本に持ち込んで、日本の企業別組合に対して何事かを語っているつもりになるとすれば、それは相当に見当外れであることだけは間違いありません。

批判するなら、「もっとまともなギルドになれ!」とでもいうのでしょうかね。それは立場によってさまざまでしょうが。

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『DIO』346号

Dio3461 連合総研の機関誌『DIO』346号は、「労働運動家とその思想-現代にどう活かすか」が特集です。

https://www.rengo-soken.or.jp/dio/dio346.pdf

労働運動家とその思想−現代にどう活かすか
日本労働運動史における高野房太郎の足跡と役割 −日本労働組合運動の父− 小松 隆二
友愛会から総同盟へ −鈴木文治と松岡駒吉の軌跡 間宮 悠紀雄
対立を超える“共助”の理想を追い求めた労働運動家 −賀川豊彦とその生涯 伊丹 謙太郎

高野房太郎はアメリカでゴンパーズに学び、日本に「労働組合」という言葉を教えた準備期の偉人ですし、鈴木文治と松岡駒吉は友愛会から総同盟という日本の労働運動のメインストリームを形作った人々です。香川豊彦は一色違って、労働運動家というにとどまらずさまざまな社会運動にかかわった人ですが、労働運動家のラインナップに不可欠な人であるのも確かですね。

今回どうしてこういう(いささか時代遅れの感もある)特集を組んだのかはよくわかりませんが、労働運動が沈滞し続けている今日、もっとずっと広い視野で運動を展開していた人々に思いをはせることは、何かのヒントになるかもしれない、ということなのかもしれません。

 

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リベラルフェミニズムと社会主義の落差とそれへの無感覚

端的に言って、二つの全く異なる立場からの議論が混在しているために、そのどちらに対する賛意/敵意なのかが言ってる本人もよくわからないままわけわかめ状態になっているという、ここ十数年よく見られる現象の一つと言うことなのでしょう。

欧米ではエリート女は(差別されているとはいえ)エリート男と同じ範疇に属し、少なくともノンエリート男よりも下に蔑まれるなどということはないけれども、旧来型日本的雇用システムにおいては、高卒男と大卒男はまとめて(一生懸命頑張れば昇進する可能性がある)エリートを夢見られる存在であったのに対して、女は高卒であれ大卒であれそこから排除されるものであり、それゆえ過去の東大女子学生たちはそこに入り込もうと必死で頑張ってきたんだよ、という厳然たる歴史的事実を、その後輩諸君にきちんと教えておくことは、確かに重要なことでありましょう。

一方で、これは世界のどの社会でも多かれ少なかれ厳然と存在する階級による教育格差に対して、灘や開成を出た男たちであれ、桜蔭や双葉を出た女たちであれ(若き日の上野千鶴子氏自身も含めて)、自分が賢くて優れているからエリートになれたんだとうかつにも思いこみがちな高学歴の若者に、その「能力」なるものがいかに家族環境を始めとした社会の枠組みによって作り上げられてきているのかという、とかく目に入りにくい社会の仕組みの厳しさと自分たちがいかに恵まれているかを思い知らせるということも、これまた極めて重要なことでありましょう。

若干残念なのは、この二つの議論はいずれも極めて重要であり、その理路をきちんと伝えることが必要であることは間違いないのですが、その立ち位置が相当程度に乖離しており、両者まとめて議論を展開すると、ノンエリート男なんかよりもエリート女をもっと出世させろと主張しているのか、エリートだと思って威張るなバカ、と言っているのか、頭の整理が出来ない人になればなるほど混乱した反応を導き出してしまうということなんでしょうね。

 

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本久洋一・小宮文人編『労働法の基本』

29556525_1 昨晩、都内某所で、小宮文人先生の古稀と退職をお祝いするパーティがあり、そこで法律文化社の小西さんより本書をお渡しいただきました。

https://www.hou-bun.com/cgi-bin/search/detail.cgi?c=ISBN978-4-589-04007-7

法学部生向けの標準的テキストであり、かつ全学部生のワークルール入門にも対応。法制度の意義・要件・効果の正確な分析を前提に、重要判例の事実・判旨を明示的に取り上げ、理解を深める工夫をした。「働き方改革」など昨今の動向やこれからの課題にも言及。

本書は、小宮先生が本久さんらと一緒にやってきた労働判例研究会のメンバーによる基礎レベルのテキストですが、本久さんによる「はしがき」には、労働法のありように対する興味深いアプローチの片鱗がちらりと顔を出しています。

・・・本書を貫く精神を一言でいうと、執筆陣と同じく、マルチチュードということになる。労働法の対象である労働者は、もはや階級としても国民としても一体性を持つものではない。これを多様性(diversity)という観点から眺めることには抵抗がある。そんな高尚なものではないからだ。むしろ、多数ないし群(multitude)として、内部に種々の差異と格差を抱えながらも、働いて生きている者どもという点では、同様にしか見えない人々、経済の動静に落ち葉のように翻弄される、この私でもあり君でもあるが決して我々といった一体感など持ちようもない群衆こそが、現在の労働者の原像に相応しい。・・・

執筆陣は以下の通りで、

本久 洋一(國學院大學法学部教授)
小宮 文人(元専修大学法科大学院教授)
國武 英生(小樽商科大学商学部教授)
中川 純(東京経済大学現代法学部教授)
斉藤 善久(神戸大学大学院国際協力研究科准教授)
高橋 賢司(立正大学法学部准教授)
戸谷 義治(琉球大学法文学部准教授)
小山 敬晴(大分大学経済学部准教授)
南 健悟(日本大学法学部准教授)
古賀 修平(宮崎産業経営大学法学部講師)
大石 玄(富山県立大学教養教育センター准教授)
淺野 高宏(弁護士、北海学園大学法学部教授)
北岡 大介(社会保険労務士)
新谷 眞人(日本大学法学部教授)
辻村 昌昭(淑徳大学名誉教授)

 

 

 

 

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浅尾裕『思考を深める考察術』

C96377a9bdd431544c35181b21459278 浅尾裕『思考を深める考察術』(幻冬舎ルネッサンス新書)をみつけました。

https://www.gentosha-book.com/products/9784344921504/

著者の浅尾裕さんは、

1953年大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、1976年労働省(現・厚生労働省)に入省。
2006年同省退職後、独立行政法人労働政策研究・研修機構(研究職)に転職。
2009年7月から2014年3月まで同機構労働政策研究所長を務め、2019年3月に同機構退職。
同機構在勤中は、多様な就業、高年齢者雇用などを中心に労働政策分野の調査研究に従事し、
報告書等多数執筆。「自称『ケインジアン』」を自称。 

と、専門分野は違いますが、私にとっては労働政策研究の先輩に当たります。

ただ本書は、うーむ、なんというのだろう、その専門分野にかかわる章もありますが、ご自分の障害者としての経験からの省察もあり、時事評論(放談?)的なエッセイもあり、いかにも素人ななしろうと歴史談義もありと、まことにバラエティに富んだ内容になっていて、浅尾さんの人格の多面性がよく表れていますね。時事エッセイに対しては、「そうやそうや!」と膝をたたきたくなるところもあれば、「ほんまにそうかいな」と首をかしげるところもあり、人によってさまざまな感想を抱くであろうと思われますが、それはまさに著者の望むところなのでしょう。

Ⅰ 一歩遅れの世の中評論
Ⅱ しろうと歴史談義
Ⅲ はいろうと経済社会談義
Ⅳ 障害者ということ
Ⅴ 駄じゃれまじりに

一点注文を付けておくと、第3章の「はいろうと経済社会談義」の「はいろうと」。これは、自分は「くろうと」と「しろうと」の間の灰色の「はいろうと」だという韜晦なんですが、いやいや、経済系の研究者としてあれだけの報告書をたくさん書いておいて、いまさら「はいろうと」はないでしょう。経済以外の分野の人々から見たら立派な玄人のエコノミスト(官庁エコノミスト→シンクタンクエコノミスト)なんですから、そういう韜晦はいけません。最初見たときは「ハイロード(high road)」と懸けているのかと思いましたが、そうでもないようです。ついでに言うと、「自称ケインジアンを自称」ってのも、世にいんちきケインジアンがあふれているのを皮肉っているんでしょうけど、やっぱり韜晦が過ぎるように思います。

その第3章から、「賃金論議」の興味深かったところを。例の人手不足なのになぜ賃金は上がらないのか論議への一つの視角です。

・・・さて、近年における賃金をめぐる論議に入りましょう。ケインズ先生は、『貨幣改革論』などで労働者はデフレよりもインフレに益されることが多いという方向の論を展開しています。私も、働く人々総体にとってみればその論に賛同しています。しかしながら、自称ケインジアンとしてはあまり書きたくないのですが、働く人々もデフレ(=物価の下落傾向)に利益を感じてしまう場合もあることにも注意しておく必要があると思います。とりわけ、月給制によって賃金の主要部分が固定(保障)されているような、例えば語弊があることを覚悟で言えば、大企業の正社員層にあっては、デフレであることに痛痒を感じないどころかある種の「暮らしやすさ」さえ感じる場合があると思います。したがって、消費者物価が相当程度上昇する局面にならない限り、賃金の本格的な上昇は起こりにくいということになります。私は、このことに労働市場が好転しても、いわゆる「人手不足」の状況があるにもかかわらず、「賃金が<想定通りに>上がらない」ことの根本的な原因があるように思っています。

これは、私は大変納得できる議論です。

 

 

 

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雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)

本日厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」に、JILPTの「雇用類似の働き方の者に関する調査・試算結果等(速報)」が報告されました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04375.html

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000501194.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000501195.pdf

いくつもの場合に対応する数字がならんでいますが、「発注者から仕事の委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る者」について、主に「事業者」を直接の取引先とするものが本業+兼業で約170万人という数字が赤字で強調されています。主に「一般の消費者」を 直接の取引先とするものを含めると約228万人です。

じっくり読んでいくと、いろいろと興味深い数字がたくさん並んでますので、ぜひ上のリンク先を覗いてみてください。

 

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川口美貴『労働法〔第3版〕』

449000 川口美貴さんの分厚いテキスト『労働法〔第3版〕』(信山社)をお送りいただきました。分厚さは1085ページ、拙著を若干超えております。

さて、今回の第3版、実は第2版が出たのが1年前なので、わずか1年で改訂されたことになります。これは記録的な早さではないでしょうか。しかもこの分厚さで。

https://www.shinzansha.co.jp/book/b449000.html

働き方改革関連法・民法改正(債権関係)に対応した最新版。労働法全般にわたる詳細で充実したテキスト。本書の全体を見通すことができるように、冒頭に細目次を配し、わかりやすく提示。長年の講義と研究活動の蓄積を凝縮し、講義のための体系的基本書として、広く深い視野から丁寧な講義を試みる。学習はもとより実務にも役立つ、労働法のスタンダードテキスト。

今回追加された所はいっぱいありますが、たとえば、「労働者」概念のところで、クラウドワーカーについての記述がされ、さらに「他の概念との異同」として、家内労働者、事業協同組合の組合員、独占禁止法上の事業者と取引の相手方、といったことについてやや詳しく書かれていて、昨晩、都内某所で交わされた話と重なり合うものがあります。

 

 

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渋沢栄一の工場法賛成論

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昨日のエントリを見て、渋沢栄一ってのはとんでもねぇ野郎だと思ったあなた。いやいや話はそう単純じゃありません。

明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席では、「唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルルト云フコトハ絶対ニ反対ヲ申シ上ゲタイ」と、猛反発していた渋沢ですが、その後工場法による職工保護の必要性を認めるようになり、明治40年(1906年)の第1回社会政策学会には来賓として呼ばれてこういう挨拶をしているんです。

・・・それから工場法に付て一言申し上げますが、・・・私共は尚早論者を以て始終目せられたのであります。・・・

・・・そこで我々が其工場法に対して気遣ひましたのは、唯々単に衛生とか、教育とか云ふ海外の有様だけに比較して、其法を設けるのは、独り工場の事業を妨げるのみならず、職工其者に寧ろ迷惑を与へはせぬか、其辺は余程講究あれかしと云ふのが、最も私共の反対した点であつた。・・・

・・・併し其時分の紡績工場の有様と今日は大分様子が変つて来て居る、試に一例を言へば、其時分に夜業廃止と云ふことは、紡績業者は困る、どうしても夜業を廃されると云ふと、営業は出来ないとまで極論したものでありますが、今日は夜業と云ふものを廃めても差支へないと紡績業が言はうと思うので、世の中の進歩と云ふか、工業者の智慧が進んだのか、若は職工の有様が左様になつたのか、それは総ての因があるであらうと想像されます。又時間も其時分よりは必ず節約し得るやうに、語を換へて言へば、時を詰め得るやうになるだらうと思ひます。故に今日に於て工場法が尚ほ早いか、或は最早宜いかと云ふ問題におきましては、私はもう今日は尚ほ早いとは申さぬで宜からうと思ふのであります。・・・

・・・左様に長い歴史はありますが、今日が尚ほ早しとは申さぬのでありますけれども、願くは実際の模様を紡績業に就て、或は他の鉄工場、其他の業に就て、之を定めるには斯ることが実地に大なる衝突を生じはせぬかと云ふことだけは努めて御講究あれかしと申すのであります。学者の御論中には英吉利、独逸、亜米利加等の比較上の御講究が大層な討論と思召さるるが、それは言はば、同じ色の闘ひであつて、所謂他山の石でないから、其事の御講究に就て十分御注意あらむことを希望いたすのであります。

11年後の渋沢は、もう工場法には反対しないと言っています。ただ、最後のあたりで、社会政策学会の学者連中に対して「先進国の出羽の守ばかりやりやがって、日本の現実を知らねぇんじゃねぇか」(大意)といわんばかりの台詞を噴いている辺りは、「唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルル」云々の気持ちは少しは残っているようではありますね。

 

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渋沢栄一の工場法反対論

T6z1glzw_1 なにやら、お札の顔が変わるという話があるようで、1万円札の福沢諭吉の次は大隈重信・・・とはならないで、渋沢栄一という名前が挙がっているようです。

渋沢栄一who?

概略はWikiを見ればわかりますが、そこに書かれていない労働法関連のエピソードを一つ。

拙著『日本の労働法政策』414ページにも一部引用してありますが、彼は明治29年(1896年)の第1回農商工高等会議の席で、「職工ノ取締及保護ニ関スル件」の諮問に対し、次のような反対意見を述べています。

・・・夜業ハイカヌト云フコトハ、如何様人間トシテ鼠トハ性質ガ違ヒマスカラ、昼ハ働ライテ夜ハ寝ルノガ当リ前デアル、学問上カラ云フトサウデゴザイマセウガ、併シナガラ一方カラ云フト、成ルベク間断ナク機械ヲ使ツテ行ク方ガ得デアル、之ヲ間断ナク使フニハ夜業ト云フ事ガ経済的ニ適ツテヰル・・・唯一偏ノ道理ニ拠ツテ欧州ノ丸写シノヤウナモノヲ設ケラルルト云フコトハ絶対ニ反対ヲ申シ上ゲタイ

いやあ、実に爽快なまでの経済合理性優先の労働者保護反対論をぶち上げています。人間は鼠じゃないといいながら、鼠みたいに使いたいという本音が優先しています。

 

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医師の不養生はいつまで続くか? @WEB労政時報

WEB労政時報に「医師の不養生はいつまで続くか?」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/article.php?entry_no=75899

去る3月28日に厚生労働省医政局の「医師の働き方改革に関する検討会」(学識および実務経験者22名、座長:岩村正彦)はようやく報告書を取りまとめ、医師の労働時間の上限規制の具体案を提示しました。それは、先週施行された2018年改正による労働基準法の一般規制に比べると、かなり隔絶したレベルの長時間労働を許容するものになっています。 
 この問題はそもそも、2018年改正に向けた2017年3月の働き方改革実行計画に、突然医師に関する記述が入り込んできたことに端を発しています。もともと労働基準法上や時間外労働の限度基準告示に医師の労働時間について特例があったわけではありませんが、「時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要」とされた上で、「具体的には、改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することとし、医療界の参加の下で検討の場を設け」「2年後を目途に規制の具体的な在り方、労働時間の短縮策等について検討」するとされたのです。
 その背景には、・・・・・

 

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中窪裕也・野田進『労働法の世界[第13版]』

L24318 中窪裕也・野田進さんの『労働法の世界[第13版]』(有斐閣)をおおくりいただきました。ありがとうございます。こちらはかなり厳格に2年おきというルール通りに刊行されてきていますね。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641243187

日々変化する「労働法の世界」の実像に迫り,労働法の基本構造の転換と発展のダイナミズムを,確かな座標軸をもって描き出す。時を重ね,世紀を超えて進化・発展をつづける,ロングセラーのテキスト。働き方改革関連法に対応して構成も改めた最新版。

目次は下の通りですが、例によって「Brush up」というコラムが今日的話題を取り上げていて面白いです。

1 労働法の世界へ
 1 労働法の見取図
 2 労働法のアクター
 3 労働条件の決定システム
2 「企業」との遭遇
 4 募集・採用
 5 労働契約の期間
 6 労働契約の基本原理
 7 平等原則
 8 就業規則
 9 パート・有期労働,労働者派遣
3 「団体」との遭遇
 10 労働組合
 11 団体交渉
 12 労働協約
4 「労働条件」の諸相
 13 賃 金
 14 労働時間
 15 休憩・休日・時間外労働
 16 休暇・休業・休職
 17 女性(妊産婦等)・年少者
 18 安全衛生と労災補償
 19 配転・出向・人事考課
5 「紛争」との遭遇
 20 労働契約の変更
 21 紛争としての解雇
 22 企業秩序と懲戒
 23 争議行為
 24 不当労働行為
 25 労使紛争の解決手段
6 「企業」との訣別
 26 労働契約の終了
 27 再就職と引退

ちなみに、判例命令索引でいちばん新しいのは、セブンイレブンとファミマの中労委命令でした。

 

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その時19才の私は!!

戦後日本労働史に燦然と輝く近江絹糸争議については、本田一成さんが最近、『写真記録・三島由紀夫が書かなかった近江絹糸人権争議 絹とクミアイ』(新評論)を出されたことは本ブログでも紹介しましたが

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-6fc2.html

本田さんの手元にはもっといろいろ山のような資料があるようで、その一端を大阪のエル・ライブラリーのサイトにアップしています。

http://l-library.hatenablog.com/entry/2019/02/27/185632

 この手記『その時19才の私は!!』は手書きで書かれたものを印刷製本してあり、国学院大学の本田一成先生が発掘されたものです。私家版として発行された同書について、本田一成先生が翻刻されたうえで解説も執筆されています。

 エル・ライブラリーではその翻刻全文と本田先生の解説をpdfファイルで公開しました。どこの図書館にも所蔵が確認できないレアもの資料です。下記リンク先からご覧ください。

http://shaunkyo.jp/webdatabase/files/sonotoki19sainowatashiha.pdf

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