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2026年3月 8日 (日)

橋本陽子他『法の歴史と法解釈の基礎』

9784502530913_430 西川洋一・大西楠テア・岡孝・長谷川貴陽史・橋本陽子『法の歴史と法解釈の基礎』(中央経済社)を、著者の一人である橋本陽子さんよりお送りいただきました。

https://www.biz-book.jp/isbn/978-4-502-53091-3

法の歴史と法解釈の技法に焦点を当てた法学入門書。西欧法の歴史と日本における継受の軌跡を紐解き、法解釈の技法を学ぶことで、歴史的素養を身につけることを目指す。

古代ローマ法から始まって、西洋法制史、近代法学史、近代日本の法継受のさま、末弘厳太郎と川島武宜そして法解釈の技法、と普通の法学部生だとあんまり勉強しないようなややニッチな基礎法学の話題を、この出版社から刊行するのか、と感じました。

第1章 ヨーロッパにおける法発展のいくつかの特徴 西川 洋一
はじめに
1 法律学の勉学はなぜ難しく感じられるのか
2 歴史的存在としての「法」をいかにとらえるか
第1節 ヨーロッパの法の3つの源流:ローマ共和政から初期中世まで
1 古代ローマ法とその展開
2 カトリック教会法の形成
3 非ローマ世界における法の展開
第2節 12世紀における法の構造変化
1 教会改革と法の革新
2 大学と学識法の成立
3 新しい法学普及の歴史的意味
第3節 「ヨーロッパ的な」法・国家構造の発展
1 領域的・属人的妥当原理にもとづく複合的法秩序の形成
2 政治秩序の構造化
第4節 近代への緩やかな歩み
1 政治構造の緩慢な近代化
2 近世法の多層的構造

第2章 近代法学の成立と現代比較法 大西 楠テア
はじめに
第1節 近代私法学の成立
1 フランス民法典の編纂と近代市民法
2 法典論争―歴史法学派の誕生
3 パンデクテン法学
4 ドイツ民法典の制定と利益法学の台頭
第2節 近代公法学の成立と展開
1 ドイツ帝国の成立と公法学方法論の刷新
2 イェリネックと非実証主義国法学
3 ワイマール期からナチス期にかけての国法学
第3節 現代比較法学
1 比較法学の歴史
2 比較法の方法
3 比較法の意義
第4節 ヨーロッパ統合と法
1 ヨーロッパ統合史
2 EU法の基本構造
3 EU法と加盟国法の関係
第5節 グローバル社会の出現と近代法の変容

第3章 西洋法の継受と民法の制定 岡 孝
第1節 出発点
1 不平等条約の問題点
2 1875年(明治8年)太政官布告第103号裁判事務心得第3条
3 江藤新平司法卿のもとでの試み
4 大木喬任司法卿がボアソナードに民法起草を依頼
5 ボアソナードとは
第2節 旧民法の制定過程
1 民法編纂局時代
2 井上馨外相による条約改正交渉
3 条約改正案に対するボアソナードの反対
4 司法省法律取調委員会時代
5 旧民法前半部分の公布
6 旧民法後半部分の編纂
7 旧民法後半部分の公布
第3節 法典論争――旧民法施行延期の流れ
1 民法典論争の発端――法学士会の意見書
2 「民法出でて忠孝滅ぶ」
3 旧民法と明治憲法との関係
4 旧民法の問題点
5 断行派の延期派に対する批判の具体例
6 延期派の勝利
7 延期法案はすぐには法律にはならなかった
第4節 泰西主義に従った明治民法典の編纂
1 欧米列強から要求された泰西主義とは
2 法典調査会の設置と機構改革
3 法典調査の方針―旧民法修正の方針
4 編別構成の変更―パンデクテン方式の採用
5 比較法の所産
6 民法典の公布・施行
第5節 西洋法継受の際の議論
1 土地と建物は一体か別物か
2 未成年養子
3 まとめ――西洋法継受に際しての起草者の主体的な選択

第4章 社会の現実と法 長谷川 貴陽史
はじめに
第1節 末弘厳太郎
1 大正デモクラシー
2 末弘厳太郎
3 末弘厳太郎の法解釈方法論
第2節 川島武宜
1 敗戦と復興―末弘から川島へ
2 川島武宜
3 川島武宜の法解釈方法論
4 川島武宜に対する評価と批判
5 民事訴訟の法意識―川島説に対する批判と擁護
6 その後

第5章 法解釈入門 橋本 陽子
はじめに
第1節 法規範の適用(三段論法)
1 三段論法とは何か
2 規範の発見
3 包摂
4 法律効果
第2節 法解釈の方法―概説―
1 「真の法規範」の発見
2 法解釈の方法
3 法の継続形成
第3節 法解釈の4つの基準(「サヴィニーのカノン」)
1 サヴィニーの見解
2 4つの解釈基準(「カノン」)
3 主観説と客観説
4 ドイツの判例におけるカノンの適用例
5 一般条項の解釈
第4節 様々な解釈方法
1 文言解釈(文理解釈)
2 拡張解釈
3 縮小解釈
4 反対解釈(argumentum e contrario, argumentum e silentio)
5 もちろん解釈(argumentum a fortiori)
6 類推解釈
7 反制定法解釈(contra legem)
第5節 裁判例の検討
1 タトゥー施術は医業か
2 マイニングを行わさせるプログラムと不正指令電磁的記録保管罪
3 中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者
4 労基法の適用が除外される「家事使用人」の意義

一番最後に出てくる裁判例が、例の渋谷労基署長事件なんですね。

 

2026年3月 6日 (金)

丸善ジュンク堂書店のPR誌『書標』に拙著の書評

Honnoshirube202603 丸善ジュンク堂書店のPR誌『書標』に拙著『外国人労働政策』の書評が載りました。

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0858/8266/7312/files/2026honnoshirube.03.pdf

Chukogaikoku_20260306203901 最近の選挙でも争点に上がってくる外国人政策。しかし、日本が今まで移民に対しどう対応してきたのか、何ともわかりにくく感じることはないだろうか。三〇年以上前から労働力として外国人が求められる状況がありながら、法的に受け入れるのは定住者としての日系人と表向きは労働力ではない研修生という枠組みが続き、そのひずみにより多くの人権問題が起こってきた。ここ数年でだいぶ整理されてきたとはいえ、まだ矛盾を抱えている。なぜこのような奇妙な状態になってしまったのか。当時の報道などを引きながら、元労働省に属し、労働政策の第一人者である著者が解き明かす。見えてくるのが当時の法務省と労働省の権限争いと、実情を鑑みずに作られた制度設計。自分の立ち位置から見えることを全てとし、立場の違う提言は排除する… …人権も国力も関わるこの問題、当時の愚を繰り返さぬようにしたい。

本屋さんのオススメに入れていただいたというのは、とてもうれしいことです。

 

 

本田恒平『非正規雇用の政治経済学』

672274 本田恒平さんから初の単著となる『非正規雇用の政治経済学 外部労働市場拡大をめぐる政労使関係 1985-1999』(ミネルヴァ書房)を直接手渡しで頂きました。

https://www.minervashobo.co.jp/book/b672274.html

労働者派遣法の制定に始まる1980から90年代の非正規雇用の拡大はどのようにして実現したのか。従来日経連の報告書「新時代の『日本的経営』」などに着目して、使用者側が主導したとされることが多かった一連の政策過程について、本書では政・労・使それぞれの動向を丁寧に追跡、三者が果たした役割を解き明かしながらその全貌に迫っていく。現代日本の雇用流動化の起点に迫る本格的研究。

まずもって、労働政策の政策過程を緻密に分析するという、日本ではあまりきちんと行われてこなかった分野に、ここまで真っ正面から取り組んだ業績を、若い本田さんがまとめられたことを喜びたいと思います。私自身が、今まで何回もやや大雑把な形で向かい合ってきた領域であるだけに、読みながら「こういうのが読みたかったんだよ」という気持ちが湧いてきました。

その上で、年長者であり、本書が対象としている期間を、労働政策に関わる者として、また労働政策の研究者として目の当たりに見てきた者として、いくつかコメントを。

◎ 現代日本における非正規労働の拡大はいかにして始まったのか。関係者へのインタビュー調査も交えながら、その起点となった政策過程の全貌を解き明かす。
◎ 日経連の報告書「新時代の『日本的経営』」の役割を重視する従来の通説を覆す。

あとがきにあるように、本田さんは1995年生まれであり、この年は日経連の「新時代の『日本的経営』」が出た年です。つまり、本田さんは「新時代の『日本的経営』」と同い年なんですね。そのこともあってか、この「新時代の『日本的経営』」が非正規化をもたらした諸悪の根源であるというような言説に対して、そうではないということを一つ一つ積み重ねるように論証していきます。

ただ、その時代を同時代人として生きてきた私からすると、それこそ引用されている高梨昌の発言ではないですが、そんなこと読めば分かるだろう、という感じもするんですね。

同時代人の記憶では、1990年代には「新時代の『日本的経営』」はほぼもっぱら正社員の話だと受け止められていたように思います。当時はやりの成果主義や裁量労働制といった問題と重なる形で、それまでの能力主義から成果主義へ、年俸制へという正社員に対する要求水準の高度化、濃縮化の半面として、あの人口に膾炙した3類型の図が出てきたわけで、この報告書をよく読むと、高度専門能力活用型にしても雇用柔軟型にしてもあんまりきちんと紙数を割いて論じられていないのです。

もちろん、90年代後半期は本書が取り上げている派遣法等の規制緩和が進められていた時期ですが、そういう外部労働市場の緩和論と「新時代の『日本的経営』」はやや別次元で、むしろ同時代のもう一つの労働規制緩和論であった裁量労働制の方と密接につながっていたように思います。

では、非正規労働者増大の諸悪の根源が「新時代の『日本的経営』」であるというような言説はいつから広まったのかというと、もちろん、いついかなる時も経営側の悪口を言い続けている人々というのはいますが、そういうのを別にすれば、2000年代半ばの格差社会論が急激に盛り上がった時期だったのではないかと思います。それに先行する数年間は構造改革や規制緩和がもてはやされ、マスコミもそういう論調であったのが、急に手のひらを返すように、格差社会が問題だというキャンペーンが始まりました。そこで、何ごとにも健忘症のマスコミが都合良く見つけてきた「諸悪の根源」が、ほぼ10年前に出されていた「新時代の『日本的経営』」であった、というのが、同時代を見てきた私の印象です。

もう一つ、その時期には、非正規の増加の原因をもっぱら派遣法改正に求め、その「戦犯」として高梨昌さんなどを追いかけ回すという一部マスコミの行動が目に余る状況でもありました。当時、マスコミの軽薄さを痛感した人々は多かったのではないかと思います。

こうした時期は、もちろん本田さんはまだ生まれたばかりであり、また小学校に通っていた時期です。なので、その後のでっち上げられた「通念」を素直に受け入れていた本田さんが、それに反する事実発見に力がこもるのはすごくよく分かります。ほんの10年、20年といった時間の流れの中でも、集団的な記憶の書き換え、都合の良い記憶の捏造というのは起るものであるということを、この追及はよく示しているのでしょう。

もう一つの本書が熱心に追及しているのは、労働市場の規制緩和は、労働組合の少なくとも一部が積極的に推進していたんじゃないかという事実です。これまた同時代人としてはかなり強く認識していたはずのことなんですが、いつのまにか集団的記憶として希薄化されて、本田さんのような若い世代に受け継がれていたことについて、よく調べてみたら実はこうだったんじゃないか、と改めて政策過程分析によって浮かび上がらせるという構成になっています。

なので、一読まさにその通り、と感じつつ、少し付け加えたい点もあります。本書では主要な規制緩和派の産別としてゼンセンと電機連合を挙げており、その動機として、ゼンセンは大店法廃止、電機連合は空洞化を挙げています。それはマクロな背景としてはそうかもしれませんが、ゼンセンの場合、既にこの頃には非正規の組織化を大々的に進めており、非正規労働者を組織化のブルーオーシャンとして積極的にとらえるスタンスであったことが重要ではないかと思います。実際、この後ゼンセンは人材サービスゼネラルユニオンを結成し、派遣・請負分野を組織化していこうとしていきます。なので、それまでの正社員中心の企業別組合的行動様式の延長線上ではなく、未組織分野の組織化というビジネスモデルに適合的な環境の造成という観点から、他の組合が手出しができないような労働市場の形成を目指すその行動様式を見ていく必要があると思われます。

とまあ、老境に差し掛かりつつある人間の繰り言を書き並べましたが、いずれにしても、労働関係の多くの方々に本書が読まれることを心から希望したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

日経新聞の経済教室に寄稿「ジョブ型雇用の現在地 制度の土台は日本型のまま」

本日の日本経済新聞の経済教室に、「ジョブ型雇用の現在地 制度の土台は日本型のまま」を寄稿しております。

ジョブ型雇用の現在地(上) 制度の土台は日本型のまま

「ジョブ型」というのは奇妙な言葉である。jobという英語が元になっているけれども、ジョブ型に当たる英語(job-type)は存在しない。

日本ではジョブ型雇用、ジョブ型人事、ジョブ型賃金などとジョブ型を冠した言葉が氾濫しているけれども、job-type employmentのように該当する英語は(日本のジョブ型論を紹介する文脈以外では)ない。英語に限らず他の外国語にもない。・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

2026年3月 5日 (木)

沖縄タイムズに拙著の書評が

Chukogaikoku_20260305142301 沖縄タイムズの2月28日号に、拙著『外国人労働政策』の本格的な書評が載っていました。評者は、『移民の経済学』(中公新書)を書かれている青山学院大学の友原章典さんです。

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1783970

 本書は、日本における近年の外国人受け入れ制度の変遷を整理した労作だ。とりわけ多くのページが「外国人労働問題の中心を占め続けてきた」とする「ブルーカラー外国人労働者」の考察に割かれている。

 ブルーカラー労働者である外国人を、就労ではないというゆがんだ形で受け入れてきた問題点。本書ではその制度的問題は、(旧)労働省対法務省という霞が関の権限闘争に起因すると分析する。その上で、日本型雇用システムに基づいた思想もそうした制度設計に影響したという。・・・

歴史書として謎解きを試みた本書の趣旨をきちんと受け止めていただいていますが、おそらく移民問題研究者としての関心の在処の違いもあり、問題はそこじゃない、と感じられたのでしょう。

・・・最近議論となっている生活者としての外国人の側面には踏み込まない本書。生活者という視点の欠如が現在の混乱をもたらしているという議論に興味のある読者には期待外れの内容かも知れない。・・・

という批判(この「読者」は友原さんご自身でしょう)も書かれています。

 

 

 

 

 

 

 

本日、武田砂鉄ラジオマガジンに出ました

Chukogaikoku_20260305142301 本日午前中、文化放送の武田砂鉄ラジオマガジンに出て、拙著『外国人労働政策』についてお話をしてきました。

https://x.com/rm_joqr/status/2029360087345795264

その音声は、ここで聞けるようになっているようです。

https://www.youtube.com/watch?v=ruihfX2BrSo

 

 

 

2026年3月 3日 (火)

荒木尚志『劳动法(第五版)』

S35409326 荒木尚志著、仲琦『劳动法(第五版)』(法律出版社)をお送りいただきました。

https://book.douban.com/subject/38246784/

今は中労委の会長をされている荒木尚志先生の分厚い教科書を、弟子の仲琦さん(JILPT)が中国語に訳した大著です。

本书为日本各大高校的法律专业本科及法学硕士的指定劳动法教材,日本司法资格考试劳动法学科指定教材,同时也是日本劳动法律师和人事相关从业者处理实务问题时广泛参考的系统和权威的劳动法书籍。本书从2009年初版发行以来,历经多次改版,反映了日本新的实务问题和劳动立法动态。本书深入浅出地梳理了日本劳动法的整体理论框架,对成文法中并无反映的判例法理及重要法律问题的相关学说进行了详尽的点评,作者更以历次劳动法律起草人和修订人的身份,就各个相关立法的立法背景、法律修订时劳资双方争论之焦点等作出了权威解读,同时从比较法角度阐明了日本劳动法相较德、法、美、英等国的特点和形成原因。此外,本书还就现行立法未能完善应对的劳动法律问题也进行了点评和展望,可谓现阶段日本劳动法专业理论和实务书籍的巅峰力作。

本书作者荒木尚志教授将本书特点概括为:撰写本书之际,作者力图将其打造成能够同时满足劳动法实务家、政策制订者、学习劳动法的学生、法学硕士学生,以及一般读者的需要的,鱼与熊掌兼得之新时代劳动法理论体系书。为了达成这一目标,本书有以下特色:

第一,以劳动法的框架部分为正文,将分散的论点以独立小项的形式进行讨论。第二,像上课写板书那样,以图示的形式通俗易懂的表现理论和制度的关系。第三,大量使用前后相互引用,让读者通过自学也能理解劳动法复杂的体系和理论间的关联性。第四,引用判例之际,尽可能写明案例背景,让读者明白理论与实际是怎样结合的。第五,客观把握日本劳动法的现状,通过国际比较的方式对今后的方向性进行探讨。第六,对于还没有得到充分讨论的理论及实务上重要的论点,积极展开讨论,对于今后的立法政策的方向也有涉及。

というわけで、眺めていると(眺めるしかできませんが)、この概念は中国語でこう言うのか、というのが色々見えてきて面白いです。

第一部分 劳动法总论
第一章 劳动法的形成和发展
第一节 何谓劳动法
第二节 劳动法的形成和发展
一、市民法原理的修正
二、日本劳动法的发展
三、劳动法学的发展和现代的课题
第二章 劳动关系的特色、劳动法的体系、劳动条件规制系统
第一节 劳动关系的特色和劳动法
一、劳动关系的特色
二、劳动关系的特色和劳动法
第二节 劳动法的体系和宪法
一、劳动法的体系
二、劳动基本权
三、宪法的人权规定和劳动人权法
四、使用者的营业自由、财产权的保障和劳动法
第三节 劳动条件规制体系
第二部分 个别劳动关系法
第三章 个别劳动关系法总论
第一节 劳动保护法和(广义的)劳动合同法
第二节 作为劳动保护法的基本法的劳动基准法
一、劳动基准法的目的和基本理念
二、相关法令的分离独立和规制的再编
三、作为劳动保护法的基本法的劳动基准法
第三节 劳动基准法、劳动合同法上的劳动合同和民法上的劳务供给合同
一、劳动合同和民法上的雇佣、承揽、委任
二、劳动合同和雇佣合同
第四节 劳动基准法、劳动合同法的适用范围
一、《劳动基准法》的适用范围和适用除外
二、《劳动合同法》的适用范围和适用除外
第五节 劳动基准法、劳动合同法的劳动者
一、劳动者属性的判断基准
二、具体的劳动者属性判断
三、劳动者属性判断的视角
第六节 劳动基准法、劳动合同法上的使用者
一、劳动合同上的使用者
二、作为《劳动基准法》的责任主体的使用者
第七节 个别劳动关系法的实施保障
一、《劳动基准法》的效力、实施保障手段
二、《劳动合同法》的效力、履行确保手段
第一篇 劳动保护法
第四章 劳动者的人权保障(劳动宪章)
第一节 劳动条件规制的理念和劳动条件的对等决定
第二节 不当人身拘束的禁止
一、强制劳动的禁止
二、赔偿预定的禁止
三、预借金相抵的禁止
四、强制储蓄的禁止等
第三节 中间盘剥的禁止
第四节 公民权行使的保障
第五节 免予职场骚扰的保护
一、职场的骚扰规制
二、职权骚扰
第六节 劳动关系中个人信息、隐私的保护
一、劳动关系和个人信息、隐私
二、《个人信息保护法》和劳动关系
三、个人信息、隐私侵害的法律责任
第五章 雇佣平等、工作生活平衡法制
第一节 均等待遇
一、均等待遇原则
二、被禁止的歧视理由
三、均等待遇的违反
第二节 雇佣方面的残疾人歧视禁止
一、残疾人雇佣率制度和残疾人歧视禁止
二、残疾人歧视禁止
三、提供合理顾虑
四、纠纷解决制度
五、歧视禁止规定、合理顾虑提供义务在私法上的效果
第三节 男女雇佣平等法制
一、男女薪金歧视的禁止
二、男女平等对待法理(公序法理)
三、《男女雇佣机会均等法》的制定和发展
四、《男女雇佣机会均等法》的规制内容
第四节 育儿照护休业法
一、育儿休业
二、照护休业
三、子女的看护休假
四、照护休假
五、所定外劳动的限制(免除加班)
六、关于加班、深夜从业限制,所定劳动时间缩短(短时间勤务)措施,调动等的顾虑
七、禁止针对利用育儿、照护支援措施的不利对待
八、育儿休业取得情况的公布义务
第六章 薪金
第一节 薪金制度和法律规制
第二节 薪金请求权的成立
一、双务合同下作为义务履行的劳务提供
二、基于合意的薪金请求权
三、劳务履行不能和薪金请求权
第三节 《劳动基准法》上的薪金
一、《劳动基准法》上的"薪金"定义的意义
二、劳动的代偿
三、使用者向劳动者支付之物
第四节 各种薪金制度的法律问题
一、奖金
二、年薪制
三、退职金
四、企业年金
第五节 《劳动基准法》上的薪金规制
一、平均薪金
二、薪金支付四原则
三、非常时期支付
四、休业补贴
五、计件工资的保障给付
六、时效
第六节 最低工资法
一、最低薪金规制的内容
二、最低薪金的决定方式
第七节 薪金债权的履行确保
一、《劳动基准法》上的强制履行
二、民商法上的优先受偿权
三、破产程序中的薪金保护
四、《薪金支付确保法》
第七章 劳动时间
第一节 劳动时间规制的整体情况
一、劳动时间规制的开展
二、劳动时间规制的体系
第二节 劳动时间、休息、休息日规制的原则
一、法定劳动时间
二、休息时间
三、休息日
第三节 时间外劳动、休息日劳动规制
一、法定时间外劳动、所定时间外劳动
二、允许时间外、休息日劳动的情形
三、时间外和休息日劳动义务
四、加班费
第四节 劳动时间的弹性规制——变形劳动时间制、弹性时间制
一、以1个月以内为单位期间的变形劳动时间制(《劳动基准法》第32条之2)
二、以1年以内为单位期间的变形劳动时间制(《劳动基准法》第32条之4)
三、1周单位的非定型变形劳动时间制(《劳动基准法》第32条之5)
四、弹性时间制(《劳动基准法》第32条之3)
第五节 劳动时间的概念和计算
一、劳动时间概念的多义性
二、劳动时间性判断框架
三、"《劳动基准法》上的劳动时间"概念
四、劳动时间计算方法的规制
第六节 拟制劳动时间制
一、职场外劳动(《劳动基准法》第38条之2)
二、裁量劳动制
第七节 高度专业人才制度
一、制度的宗旨和概要
二、对象业务
三、对象劳动者
四、导入程序
第八节 劳动时间、休息、休息日规制等的适用除外
一、农业、畜牧、水产业从事者
二、管理监督者、处理机密事务者
三、监视、断续劳动从事者
第八章 年次带薪休假
第一节 年休权的宗旨
第二节 年休权的成立
一、持续工作6个月
二、全劳动日八成以上出勤
三、休假天数
四、休假的分割赋予
第三节 年次带薪休假权的法律构造
一、学说的发展和二分说的确立
二、计划年休的创设和年休权的新整理
三、使用者的年休赋予义务的创设
第四节 年休取得时期的特定
一、根据时季指定权和时季变更权进行特定
二、计划年休制度
三、基于使用者的年休赋予义务的时季指定
第五节 年休权的法律效果
第六节 年休的用途
一、年休自由利用的原则
二、以争议目的利用年休
第七节 未消化年休的处理
第八节 年休取得和不利对待
第九章 年少者、孕产妇等
第一节 概述
第二节 年少者的保护
一、未成年人的劳动合同签订和薪金请求权
二、年少者相关规制
三、对儿童的规制
第三节 孕产妇等的保护
一、从女性保护到母婴保护
二、危险有害业务的从业限制
三、产前产后休业、向轻松业务的转岗、劳动时间
四、育儿时间
五、生理日的从业困难者休假
第十章 安全卫生、劳动灾害
第一节 安全卫生规定
一、《劳动安全卫生法》的制定
二、《劳动安全卫生法》的概要
第二节 劳动灾害及其补偿制度
一、对于劳动灾害的三大救济制度
二、劳灾补偿制度的特征
第三节 劳灾保险制度的概要
一、适用范围
二、保险费
三、劳动基准法的灾害补偿和劳灾保险法上的保险给付
四、复数事业劳动者的劳灾保险给付、劳灾认定
五、保险给付程序
六、时效
第四节 业务灾害的认定
一、"业务上"的判断
二、事故性伤病、死亡
三、业务性疾病(职业病)
四、负担过重造成的脑、心脏疾患以及精神障碍
五、例示疾病以外的"明显的业务起因的疾病"
第五节 通勤灾害
第六节 劳动灾害和损害赔偿
一、民事上的损害赔偿(劳灾民诉)
二、安全顾虑义务
三、劳灾补偿、劳灾保险给付和损害赔偿的调整
第二篇 劳动合同法
第十一章 劳动合同的基本原理
第一节 劳动合同的指导原理
一、合意原则、对等决定原则
二、均衡考虑的原则
三、工作和生活协调的顾虑原则
四、信义诚实的原则
五、禁止权利滥用的原则
六、劳动合同内容的理解促进
第二节 劳动合同中的权利义务
一、主要义务
二、附随义务
三、职务发明和劳动者的权利
第十二章 雇佣保障(劳动合同终止的法律规制)和雇佣体系
第一节 雇佣保障和雇佣、劳资关系体系的关系
第二节 解雇
一、民法中的解雇自由和解约告知期间
二、针对特定期间、特定事由的解雇禁止
三、解雇预告
四、解雇权滥用法理
五、整理解雇
六、解雇权滥用的举证责任
七、解雇权滥用的效果
第三节 解雇、期限届满以外的劳动合同终止事由
一、劳动者的解约(辞职)
二、合意解约
三、退职的意思表示
四、退休
五、当事人的消灭
第四节 劳动合同终止的法律规制
一、退职时的证明
二、财物的返还
三、年少者的返乡旅费
四、劳动保险、社会保险手续
第十三章 劳动关系的成立、开始
第一节 录用的自由和招聘、录用相关法律规制
一、签订合同的自由
二、招聘方法的自由
三、选择、调查的自由
四、法律对于录用的限制
第二节 劳动合同的成立和劳动条件明示
一、劳动合同的成立
二、劳动条件明示义务
三、合同签订过程中的信义则违反责任(合同签订上的过失)
第三节 录用内定
一、录用内定法理
二、录用内定中的法律关系
三、录用内定
第四节 试用期间
第十四章 就业规则和劳动条件设定、变更
第一节 就业规则法制和就业规则的功能
第二节 就业规则的订立、变更相关程序
一、就业规则的订立、申报义务
二、记载事项
三、听取过半数代表的意见
四、周知义务
第三节 就业规则对于劳动合同的效力
一、就业规则对于劳动合同的功能和效力
二、就业规则的最低基准效(强行直接规制的效力)
三、违反法令、集体合同的就业规则和变更命令
四、就业规则的效力和秋北巴士事件大法庭判决
第四节 劳动合同法制定前的就业规则论
一、就业规则的法律性质
二、就业规则不利变更的拘束力
三、就业规则订立、变更程序和判例法理的效力
第五节 《劳动合同法》中通过合意或就业规则设定、变更劳动条件
一、通过合意设定劳动条件的原则
二、劳动合同成立时的就业规则的合同内容补充效(《劳动合同法》第7条)
三、根据合意变更劳动条件的原则和就业规则
四、根据就业规则变更劳动条件(《劳动合同法》第10条)
五、新订立就业规则和《劳动合同法》第10条的关系
六、根据就业规则变更劳资惯例
第六节 个别劳动条件变更法理
一、合意原则和个别的劳动条件变更
二、变更解约告知
第十五章 人事
第一节 雇佣系统和人事、人事权
第二节 教育训练
第三节 人事制度和升职、升格、降格
一、人事制度和升职、升格、降格
二、可否采取法律规制
第四节 调职、出向、转籍
一、调职
二、出向
三、转籍
第五节 休职
一、伤病休职(疾病休职)
二、事故缺勤休职
三、起诉休职
第十六章 企业组织的变动和劳动关系
第一节 绪论
第二节 合并
一、合并中的权利义务的继承(包括继承)
二、劳动合同的继承
第三节 事业让渡
一、事业让渡中的权利义务的继承(个别继承)
二、劳动合同的继承
第四节 公司分割
一、公司分割的定义
二、公司分割和劳动合同的继承问题
三、劳动合同继承法
四、集体合同的继承
五、劳动合同继承相关程序
第五节 公司的解散
一、公司解散和劳动关系
二、公司解散的自由(真实解散)和伪装解散
三、事业让渡解散和劳动关系
第十七章 惩戒
第一节 服务规范、企业秩序和惩戒
第二节 惩戒权的根据
一、判例和学说的发展
二、判例的立场及其定位
三、惩戒处分的司法规制
第三节 惩戒事由
一、违反劳动合同上的主要义务
二、违反附随义务
第四节 惩戒处分的种类
一、谴责、告诫
二、减薪
三、出勤停止(自宅反省、惩戒休职)
四、降格(降职)
五、惩戒解雇、谕旨解雇
第五节 惩戒权行使的滥用审查
第十八章 非典型(非正规)雇佣
第一节 非典型(非正规)雇佣和长期雇佣体系
第二节 有期雇佣劳动
一、期限的规定和法律规制、法律效果
二、合同期间的上限规制
三、有期合同的中途解约
四、有期合同的默示的更新
五、有期劳动合同向无期劳动合同的转换
六、拒绝更新相关的判例法理(雇佣终止法理)
七、不合理的劳动条件差异的禁止
第三节 短时间劳动
一、短时间劳动者的多样的定义及其实际情况
二、短时间劳动者和劳动法制、社会保险、税制
三、《短时间劳动法》的制定、修订和2018年《短时间有期雇佣劳动法》
第四节 短时间有期雇佣劳动法
一、对象劳动者
二、劳动条件明示、就业规则
三、短时间有期雇佣劳动者和通常劳动者的均衡、均等规制
四、均衡待遇的努力义务、实施义务、顾虑义务
五、向通常劳动者的转换
六、雇佣管理上应采取的措施相关的说明义务
七、行政上的履行确保、纠纷解决
第五节 劳动者派遣法
一、劳动者派遣规制的变迁
二、劳动者派遣和劳动者供给、业务处理承包
三、《劳动者派遣法》规制的视点
四、劳动者派遣事业的规制
五、派遣劳动者的保护
第十九章 个别劳动纠纷处理制度
第一节 概述
第二节 行政的个别劳动纠纷处理制度
一、以罚则、行政监督确保履行
二、个别劳动关系纠纷解决促进法
三、劳动委员会的个别劳动关系纠纷的调整程序
四、都道府县的劳政主管部局的咨询、斡旋等
第三节 法院的纠纷解决
一、劳动审判
二、民事通常诉讼
三、保全诉讼
四、小额诉讼
第四节 国际劳动关系和劳动保护法、劳动合同法的适用
一、劳动事件的国际裁判管辖
二、适用法规的决定
三、外国人劳动者
第三部分 集体劳动关系法
第二十章 工会
第一节 工会的种类
一、根据组织对象劳动者的分类
二、根据工会的组织单位、结合的分类
三、工会的现状
第二节 工会的法律概念和要件
一、工会的自由设立主义
二、合法工会、规约不备工会、宪法工会
三、合法工会
四、资格审查
第三节 工会的性质和工会加入、退出、组织强制
一、工会的任意团体性和工会民主主义的要求
二、加入资格
三、退出的自由
四、组织强制
第四节 工会费
一、工会费缴付义务
二、从工资中扣费
第五节 工会的统制权
一、统制权的意义、根据及其司法审查
二、统制权的界限
第六节 工会财产的归属和组织变动
一、工会财产的归属
二、工会的解散、组织变更
第二十一章 团体交涉
第一节 团体交涉的意义和功能
一、团体交涉的意义
二、团体交涉的功能
第二节 团体交涉的当事者、负责人
一、劳动者方当事者
二、使用者方当事者
三、劳动者方负责人
四、使用者方负责人
第三节 团体交涉义务
一、义务团体交涉事项、任意团体交涉事项
二、义务团体交涉事项的范围
三、团体交涉义务的内容
第四节 拒绝团体交涉的救济
一、劳动委员会的行政救济
二、法院的司法救济
第二十二章 集体合同
第一节 集体合同的成立要件
一、当事人
二、要式性
第二节 集体合同的效力
一、规范性效力和债务性效力
二、规范性效力
三、债务性效力
第三节 集体合同的扩张适用(一般拘束力)
一、职场单位的扩张适用
二、地域单位的扩张适用
第四节 集体合同的终止
一、集体合同的终止事由
二、集体合同终止后的劳资关系
第二十三章 团体行动
第一节 团体行动的法律保护
一、争议行为的法律保护
二、工会活动的法律保护
三、争议行为的概念
第二节 争议行为的正当性
一、争议行为的主体
二、目的
三、程序
四、形态
第三节 没有正当性的争议行为和法律责任
一、损害赔偿责任
二、惩戒处分
第四节 争议行为和薪金
一、争议行为参加者的薪金
二、争议行为不参加者的薪金
第五节 争议行为和第三者
第六节 使用者的争议对抗行为
一、运营继续
二、工场封锁
第七节 工会活动
一、关于工会活动正当性的一般基准
二、具体判断
第八节 劳动争议的调整
一、劳动委员会
二、争议调整程序
第二十四章 不当劳动行为
第一节 不当劳动行为制度的概要
一、不当劳动行为制度的意义
二、不当劳动行为制度的沿革
三、不当劳动行为制度的目的
第二节 不当劳动行为的主体
一、不当劳动行为中的使用者概念
二、对使用者的归责
第三节 不当劳动行为的成立要件
一、不利对待
二、团体交涉拒绝
三、支配介入
四、复数工会的并存和不当劳动行为
第四节 不当劳动行为的救济程序
一、概述
二、初审程序
三、命令的内容
四、再审查程序
五、取消诉讼(劳动委员会命令的司法审查)
六、不当劳动行为的司法救济
第四部分 劳动市场法
第二十五章 劳动市场法总论
第一节 劳动市场(雇佣)政策及其发展
一、被动的劳动市场(雇佣)政策和积极的劳动市场(雇佣)政策
二、日本的劳动市场政策的发展
第二节 劳动市场法和劳动法学
一、围绕勤劳权的议论
二、"雇佣保障法"论
三、立于勤劳权和合同自由的紧张关系之上的劳动市场法论
四、市场机制活用论
五、保障职业生涯权的构想
六、广义的劳动市场法构想
第三节 劳动市场法的体系
一、从雇佣对策法到劳动政策综合推进法
二、劳动市场法的体系
第二十六章 劳动市场法各论
第一节 职业介绍等雇佣中介服务规制(《职业安定法》)
一、外部劳动市场的原则规定
二、职业介绍的规制
三、招聘
四、劳动者供给事业的禁止
第二节 雇佣保险制度(《雇佣保险法》)
一、雇佣保险制度
二、失业等给付
三、育儿休业给付
四、雇佣保险二事业
第三节 求职者支援制度(《求职者支援法》)
一、《求职者支援法》的制定
二、特定求职者
三、求职者支援训练(认定职业训练)
四、职业训练听讲给付金
五、就职支援
第四节 职业能力开发(《职业能力开发促进法》)
第五节 特定领域的雇佣政策
一、年轻人雇佣(《青少年雇佣促进法》)
二、高龄者雇佣(《高龄者雇佣安定法》)
三、残疾人雇佣(《残疾人雇佣促进法》)
四、外国人雇佣
五、地域雇佣(《地域雇佣开发促进法》)
第二十七章 雇佣体系的变化和雇佣、劳动政策的课题
第一节 雇佣社会变化的各个方面
一、长期雇佣体系和雇佣关系、劳资关系、劳动市场政策
二、围绕雇佣体系的环境变化与雇佣体系的变革
三、劳动者的变化:多样化、个别化的进展和劳动法
四、使用者的变化:公司治理和劳动法
第二节 雇佣体系的变化和法的作用
一、规则(规范)的多样化
二、法律规制的实效性确保
事项索引

さて、冒頭に著者紹介(作者简介)が載っているのですが、それを見ておや?と思ったのが、

1959年 熊本县生人

1983年 东京大学法学部毕业

1985年 东京大学大学院法学政治学研究科修士课程完成

1985年 东京大学法学部助手

1988年 东京大学法学部助教授

1990~1991年 美国哈佛大学法学院访问学者

1991~1992年 比利时天主教鲁汶大学客座教授

2000~2001年 英国剑桥大学访问学者

2013~2014年 美国哈佛大学访问学者

2014~2015年 德国法兰克福大学访问学者

2001~2025年 东京大学大学院法学政治学研究科教授

2025年至今 中央劳动委员会会长

美国哈佛大学がアメリカのハーバード大学であり、英国剑桥大学がイギリスのケンブリッジ大学であるのはすぐわかります。德国法兰克福大学はドイツのフランクフルトのゲーテ大学ですね。では比利时天主教鲁汶大学は?これはベルギーのルーバンカトリック大学のことですね。




 

 

 

 

労働組合の組織率16.0%@『労務事情』2026年3月1日号

66bd523e8aeb4bb39632a88543f7e65e 『労務事情』2026年3月1日号に「労働組合の組織率16.0%」を寄稿しました。

https://www.sanro.co.jp/book/b10160546.html

昨年12月に発表された令和7年労働組合基礎調査では、労働組合組織率の下落傾向に依然として歯止めがかからず、16.0%になりました。・・・・・・

 

2026年2月27日 (金)

武田砂鉄 ラジオマガジン出演のお知らせ

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2026年2月25日 (水)

鶴見太郎『シオニズム』@『労働新聞』書評

Middle_4c2f5d4511674df08711aa8d653e1f1c 月1回の『労働新聞』書評。今回は鶴見太郎『シオニズム』(岩波新書)です。

https://www.rodo.co.jp/column/214229/

 2023年10月7日、ガザ地区を支配するパレスチナのイスラム原理主義組織ハマスが壁を越えてイスラエルを攻撃し、多くの人質を奪って以来、イスラエルはガザ地区を猛烈に攻撃し、ほぼ瓦礫の山となった。本書は、帯の文句にあるように、イスラエルが「なぜ、パレスチナ人を徹底して攻撃するのか」を、その思想的源流であるシオニズムに遡って腑分けしていく。
 彼が強調するのは、これまでのシオニズム論が西欧中心主義だったということだ。冒頭、イスラエルの首相、その家族、指導者の出身地、そして1900年における世界のユダヤ人人口分布の表が繰り出されるが、その圧倒的大部分はロシア帝国、とりわけかつてポーランド・リトアニア共和国領であった地域である。本コラムで昨年取り上げたティモシー・スナイダーのいう「ブラッドランド」だ。ロシア帝国支配下で繰り返されたユダヤ人虐待(ポグロム)の中から、自分たちもやられるだけではいけない、ネーションとしてのユダヤ人を確立し、独立の国家をもたなければならないという強い意思が生み出されていった。ブラッドランドで繰り広げられたホロコーストは、その最終版である。
 本書の187頁に、いかにも戦後日本人的な発想の問いかけが書かれている。「なぜホロコーストの悲惨さを一番よく知るユダヤ人にあのようなことができるのか」。これに対する答えは、むしろ被害の記憶が原資となり、自民族の防衛に対する意識が強まるからだ。とりわけ身に沁みるのは次の台詞だ。「ユダヤ人は、例外的な『正義の人』を除き、世界がユダヤ人を助けなかったこともよく記憶しているのだ。自分たちの身は自分たちで守るしかない」。
 意外に思われるかもしれないが、戦後ホロコーストは西ドイツを除いてほとんどケアされてこなかった。とりわけ主戦場だった「ブラッドランド」では、戦後社会主義体制となったこともあり、資本主義の手先のユダヤ人のことは放置された。それに先立つポグロムはほとんど記憶すらされていない。誰も自分たちのことなど気にかけてくれない。戦わなければ殺されるだけだ。ベギンやネタニヤフなど右派政治家はみなブラッドランド出身者やその子孫である。こうした中で構築されてきた被害者意識ナショナリズムからすれば、ハマスによる攻撃はポグロムの、ホロコーストの再現と認識され、徹底的に戦わなければ、また自分たちが虐殺の憂き目に遭うことになる。
 これと対極に位置して結果的に共鳴し合うのが、戦後ドイツの加害者意識に基づくイスラエル擁護のスタンスである。イスラエルを擁護することがナチズムへの反省の証であり、今度こそ自分たちが迫害されたものを助ける役回りをしなければならない。これが、大量に流入するムスリム移民への嫌悪感と結合し、反ユダヤ的なムスリムを排除する正当性を与えている。二重三重にねじれたイスラエル・パレスチナ問題を根源に遡って考える上で必読の書であろう。

 

 

 

 

 

2026年2月24日 (火)

EU最低賃金指令はおおむね条約違反に非ず@『労基旬報』2026年2月25日

『労基旬報』2026年2月25日号に「EU最低賃金指令はおおむね条約違反に非ず」を寄稿しました。

 EUの最低賃金指令については、本誌上で何回も取り上げてきました。2020年3月25日号で「EU最低賃金がやってくる?」を、同年11月25日で「EU最低賃金指令案」を、そして昨年の2025年2月25日号では「EU最低賃金指令は条約違反で無効!?」を寄稿しています。本指令は2022年10月19日に正式に採択され、その国内法転換期日は2024年11月15日でした。ところが2025年1月14日、EU司法裁判所のエミリオウ法務官は、同指令は条約違反であるから全面的に無効とすべきであるという意見を公表し、大きな騒ぎになっていたのです。昨年の拙稿は、提訴に至る北欧諸国の労使関係と、この法務官意見の主要部分を解説するものでした。
 ヨーロッパの労使関係者が息を詰めて見守る中、昨年末の2025年11月11日、欧州司法裁判所は遂に判決を下しました。その内容は、ごく一部を除き、条約違反ゆえ無効との訴えを退けるものでした。つまり、EU最低賃金指令はおおむねEU条約違反ではないと、司法がお墨付きを出したことになります。以下、判決を見ていきましょう。
 まず、条約第153条第5項の「賃金」の適用除外に違反するという点については、従前の判例を踏まえて、加盟国における賃金水準の均等化や最低保証賃金を設定することに限られ、賃金に関わる問題全てに及ぶものではないとします。そして賃金は労働条件の不可分の一部なのだから、同条第1項の「労働条件」に基づくEUの権限は、同条5項で適用除外される「賃金」と部分的にオーバーラップするのであり、直ちに条約違反とは言えないとします。
 具体的には、まず指令第4条(賃金に係る団体交渉の促進)については、同条は加盟国の賃金設定モデルの選択に介入しておらず、各国の伝統を尊重しているとします。また同条は団体交渉の内容や結果を支配しようとしておらず、手段を義務づけているだけだとします。また団体交渉や労働協約に係る労使団体の広範な裁量を認めている点も指摘し、これが条約第152条と整合的であるとします。
 また指令第5条(十分な法定最低賃金の決定手続)については、同条は加盟国に法定最低賃金の導入を義務づけているわけではなく、原告のデンマークやスウェーデンのように法定最低賃金を持たず労働協約で設定している国に法定最低賃金を強制していないと指摘します。また、法定最低賃金のある国にも「十分」さについては国内の社会経済状況によって裁量の余地を与えており、この規定が直ちに労働者に十分な法定最低賃金の権利を与えるわけではないと指摘します。
 これに対し、同条第2項は法定最低賃金の決定で考慮すべきとする4要素として、生計費を考慮に入れた購買力、賃金の一般水準と分布、賃金の上昇率、長期的な生産性水準の進展を挙げていますが、これは最低賃金の構成要素の調和化を図ろうとするものであり、賃金決定におけるEU法の直接の介入に該当すると判断しています。同条第1項第5文も、「第2項にいう要素を含め」と同項を引用しているので、やはり問題があるとします。
 同条第3項は自動的な物価スライド制の規定で、その採用自体は任意ですが、「その適用が法定最低賃金の減額につながらない限り」という条件を付している点が直接介入にあたると判断しています。
 同条第4項は賃金中央値の60%、賃金平均値の50%といった基準値を示した規定ですが、加盟国は別に拘束されるわけではなく自由に決定できるので、直接介入にはあたらないとします。同条第5項は定期的見直し規定で、同条第6項は諮問機関の規定ですが、いずれも手続規定で直接介入にあたらないとします。
 こうして指令第5条には上記3か所について条約第153条第5項の「賃金」の適用除外の違反が認められるとしつつも、それ以外についての違反はないと判断しています。
 もう一つの大きな論点は、同じ条約第153条第5項の「団結権」の適用除外です。そもそも条約中にはまさにその団結権の主体である労使団体(ソーシャルパートナー)に関わる規定が多く盛り込まれ、条約第152条に至っては労使対話の促進を謳っていることから見ても、これは団結権に関わる事項の全面適用除外ではなく、国内における労使団体の自律性を確保するための規定とみるべきだと判決はいいます。また、団体交渉権は団結権と密接不可分ではあるけれども、団体交渉権が団結権の適用除外によってEUの権限から除外されるわけではないと指摘します。そもそも条約第153条第1項第f号は、「共同決定を含む労働者及び使用者の代表権とその利益の集団的防衛」をEUの権限として明確に規定しており、これには団体交渉に関わることが当然含まれます。また、条約第156条第1項第7号は、加盟国間の協力奨励と調整促進の対象として「団結権及び使用者と労働者の間の団体交渉の権利」を規定し、両者が異なることを明示しています。というわけで、本判決は団結権の適用除外はあくまでも労働組合を含む労使団体を結成したり解散したりする権利に限られ、労使間で団体交渉する権利をEUの権限から除外するものではないと判示します。その上で指令第4条(賃金決定に関する団体交渉の促進)について、いずれの規定もEU法による直接介入にはあたらないとしています。この部分については全面的に条約違反を否定しています。
 なお、判決ではもう一つの論点として、同指令が条約第153条第5項の適用除外違反でないとしても、立法手続違反であるというものもありますが、これについては省略します。
 こうして本判決は最後に次のように判示しました。
1.(最低賃金)指令第5条第1項第5文の「第2項にいう要素を含め」の部分、第5条第2項及び第5条第3項の「その適用が法定最低賃金の減額につながらない限り」の部分を無効とし、
2.それ以外の請求を棄却し、・・・
 この結果は、昨年1月14日のエミリオウ法務官意見が、同指令を条約違反として全面的に無効としていたことを考えれば、痛み分けというよりはむしろほぼ完全に請求棄却に近い判決であるというべきでしょう。
 この判決に基づいて、最低賃金指令を添削すると、次のようになります。今後このような指令改正案が提案されることが予想されます。
 
第4条 賃金決定に関する団体交渉の促進
1 団体交渉の適用範囲を拡大し、賃金決定に関する団体交渉権の行使を容易にする目的で、加盟国は労使団体を関与させつつ、国内法と慣行に従って、次の措置をとるものとする。
(a) とりわけ産業別又は産業横断レベルにおいて、賃金決定に関する団体交渉に関与する労使団体の能力の構築及び強化を促進すること、
(b) 労使団体が賃金決定に関する団体交渉に関してその機能を遂行するために適当な情報にアクセスできるという対等の立場で、両者間における賃金に関する建設的、有意味で情報に基づく交渉を奨励すること、
(c) 適当であれば、賃金決定に関する団体交渉権の行使を保護し、労働者や労働組合代表に対して賃金決定に関する団体交渉に参加し又は参加しようとしたことを理由とするその雇用に関する差別から保護するための措置をとること、
(d) 賃金決定に関する団体交渉を促進する目的で、適当であれば、団体交渉に参加し又は参加しようとする労働組合及び使用者団体に対して、その設立、運営又は管理において互いに又は互いの代理人若しくは構成員によるいかなる干渉行為からも保護する措置をとること。
2 これに加えて、団体交渉の適用率が80%未満である各加盟国は、労使団体に協議した後に法により又は労使団体との合意により、団体交渉の条件を容易にする枠組みを導入するものとする。これら各加盟国はまた団体交渉を促進する行動計画を策定するものとする。当該加盟国は、労使団体に協議した後に若しくは労使団体との合意により又は労使団体の共同要請に基づき労使団体間で合意した通りに、かかる行動計画を策定するものとする。行動計画は、労使団体の自治を最大限に尊重しつつ、団体交渉の適用率を段階的に引き上げる明確な日程表と具体的な措置を規定するものとする。加盟国はこの行動計画を定期的に再検討し、必要があれば更新するものとする。加盟国が行動計画を更新する場合、労使団体に協議した後に若しくは労使団体との合意により又は労使団体の共同要請に基づき労使団体間で合意した通りに行うものとする。いかなる場合でも行動計画は少なくとも5年に1回は再検討するものとする。行動計画及びそのすべての更新版は公表され、欧州委員会に通知されるものとする。
第2章 法定最低賃金
第5条 十分な法定最低賃金の決定手続き
1 法定最低賃金を有する加盟国は、法定最低賃金の決定及び改定の必要な手続きを設けるものとする。かかる決定及び改定は、まっとうな生活条件を達成し、在職貧困を縮減するとともに、社会的結束と上方への収斂を促進し、男女賃金格差を縮小する目的で、その十分性に貢献するような基準に導かれるものとする。加盟国はこれらの基準を国内法、権限ある機関の決定又は政労使三者合意における国内慣行に従って定めるものとする。この基準は明確なやり方で定められるものとする。加盟国は、各国の社会経済状況を考慮して、第2項にいう要素も含め、これら基準の相対的な重要度について決定することができる。
2 第1項にいう国内基準は、少なくとも以下の要素を含むものとする。
(a) 生計費を考慮に入れて、法定最低賃金の購買力、
(b) 賃金の一般水準及びその分布、
(c) 賃金の上昇率、
(d) 長期的な国内生産性水準及びその進展。
3 本条に規定する義務に抵触しない限り、加盟国は追加的に、適当な基準に基づきかつ国内法と慣行に従って、その適用が法定最低賃金の減額につながらない限り、法定最低賃金の自動的な物価スライド制を用いることができる。
4 加盟国は法定最低賃金の十分性の評価を導く指標となる基準値を用いるものとする。このため加盟国は、賃金の総中央値の60%、賃金の総平均値の50%のような国際的に共通して用いられる指標となる基準値や、国内レベルで用いられる指標となる基準値を用いることができる。
5 加盟国は、法定最低賃金の定期的かつ時宜に適した改定を少なくとも2年に1回は実施するものとする。第3項にいう自動的な物価スライド制を用いる加盟国は少なくとも4年に1回とする。
6 各加盟国は法定最低賃金に関する問題について権限ある機関に助言する一またはそれ以上の諮問機関を指名又は設置し、その機能的な運営を確保するものとする。
第6条 変異及び減額
1 加盟国が特定の労働者集団に対して異なる法定最低賃金率又は法定最低賃金を下回る水準にまで支払われる賃金を減少させる減額を認める場合には、加盟国はこれら変異及び減額が非差別と比例性(合法的な目的の追求を含む)の原則を尊重するよう確保するものとする。
2 本指令のいかなる部分も、加盟国に法定最低賃金の変異や減額を導入する義務を課すものと解釈されてはならない。
第7条 法定最低賃金の決定及び改定における労使団体の関与
 加盟国は、法定最低賃金の決定及び改正において、第5条第6項にいう諮問機関への参加及びとりわけ次の事項を含め、意思決定過程を通じた審議への自発的参加を提供する適時かつ効果的な方法で、労使団体の関与に必要な措置をとるものとする。
(a) 第5条第1項、第2項及び第3項にいう法定最低賃金の水準の決定と、自動物価スライド制がある場合にはその確立と修正のための基準の選択及び適用、
(b) 法定最低賃金の十分性の評価のための第5条第4項にいう指標となる基準値の選択及び適用、
(c) 第5条第5項にいう法定最低賃金の改定、
(d) 第6条にいう法定最低賃金の変異及び減額の確立、
(e) 法定最低賃金の決定に関与する機関及び他の関係当事者に情報を提供するためのデータの収集及び調査と分析の遂行の双方に関する決定。
第8条 法定最低賃金への労働者の効果的なアクセス
 加盟国は、労使団体の関与により、労働者が適切に効果的な法定最低賃金保護(適当であればその強化と執行を含め)にアクセスすることを促進するために、次の措置をとるものとする。
(1) 労働監督機関又は法定最低賃金の施行に責任を有する機関によって行われる効果的、比例的で非差別的な管理及び現地監督の提供、
(2) 法定最低賃金を遵守しない使用者に先制的に狙いを定め追及するため、とりわけ訓練と指導を通じた施行機関の能力向上。

 

技能実習制度から育成就労制度へ@WEB労政時報

WEB労政時報に「技能実習制度から育成就労制度へ」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers/article/90437

日本の外国人労働政策は、1980年代のバブル景気による人手不足の時代に不法就労者が急増し、鎖国論と開国論が賑やかに議論されましたが、政府レベルでは当時の労働省が提起した雇用許可制案を法務省が全面的に否定し、1989年入管法改正により、専門・技術的外国人のみを受け入れ、単純労働者は受け入れないという建前の下で、労働者性を否定された研修生と、労働者としてではなく血縁に基づいて受け入れる定住者(日系人)という、いわゆるサイドドアによるブルーカラー外国人労働者の受入れが始まりました。その後、研修制度は労働者性を認められた技能実習制度に展開していきましたが、あくまでも人材育成による国際貢献という位置づけであり、日本の産業界の人材確保のためではないという建前が維持されていました。・・・・・・

 

 

2026年2月23日 (月)

山下ゆさんが『外国人労働政策』を書評

Chukogaikoku_20260223075401 新書ブログで有名な山下ゆさんが、新書以外の本を取り上げているもう一つのブログ「西東京日記 IN はてな」で、拙著『外国人労働政策』を書評していただいております。

https://morningrain.hatenablog.com/entry/2026/02/22/231421

 バブル期(88年頃)に持ち上がった外国人労働者受け入れ政策が、なぜ「研修」というサイドドアを使ったものとなり、搾取の温床ともなってしまった技能実習制度が温存されてしまったのかを探った本。
 技能実習制度などの日本の政策の問題点を指摘するというよりは、「なぜそうなってしまったのか」という問いに答える内容になっています。 

そう、まだまだ(ますます?)ホットな話題ではありますが、私のスタンスは歴史の謎解きなのです。

本書を手に取った理由として、もちろん著者の今までの本が面白かったからというのがあるのですが、もう1つは昨年読んだ是川夕『ニッポンの移民』(ちくま新書)の主張の一部に納得できなかったからというのもあります。

『ニッポンの移民』はいろいろと勉強になる部分があり面白い本でしたが、「日本に移民政策はなかった」とする「移民政策不在論」に対する批判と、入管行政には「埋め込まれたリベラリズム」があったいう主張については首をかしげざるを得ませんでした。

 本書を読むと、法務省には日本の労働慣行に対する理解がなく、労働省には法務省を押しのけて外国人労働政策を取り仕切る力がなかったことが、結果的に「移民政策の不在」と呼ばれても仕方のない事態を引き起こしていることがわかります。

別に示し合わせたわけではないのですが、是川さんの本とはほぼ同時期に、同じように客観的な立場からの分析を目指しながら、ある意味対照的な認識を提示する形になっており、こういう風に両者を照らし合わせながら読んでいただくと、より楽しめるのではないかと思います。

以下、本書の内容を詳細に紹介していき、最後近くで、

 このように、本書は霞が関の縄張り争いと日本型雇用と法務省などが考える制度のミスマッチが外国人労働者をめぐる政策を混迷と、根本となる政策の不在を生んだことを明らかにしています。

 本書を読むと、法務省には法務省なりの理屈があったことはわかりますが、結局、「外国人労働者法」のような包括的な法制度はつくられずにここまできてしまったわけです。

と、まとめていただいております。

その次の末尾に、本書のある引用部分をそのまま引用されているのですが、それがこの30年の端的な要約になっているという仕掛けになっています。見事な書評をいただき、ありがとうございました。

 

2026年2月20日 (金)

雇用システムと若者雇用@『I・B(Information Bank)』2016新春特別号

Ib_20260226090501 福岡の経済メディアデータマックスが出している『I・B(Information Bank)』2016新春特別号に「雇用システムと若者雇用」を寄稿しました。

https://www.data-max.co.jp/article/83266

この雑誌に寄稿するのは、昨年の新春号、夏季号に続いて3回目ですが、今回は若者雇用です。

 私は今から十数年前、若者雇用に関する本を翻訳し、自著を刊行したことがある。すなわち2010年にはOECDの報告書である『日本の若者と雇用』、2011年には『世界の若者と雇用』を翻訳した。また2013年には一般向けの『若者と労働』(中公新書ラクレ)を刊行し、これは今まで10刷を重ねている。同書で私が強調したのは、欧米と日本では雇用システムが全く異なり、そのために若者雇用の姿が全く異なって現われてくるということであった。
 欧米(及びアジア)のジョブ型雇用社会では、企業とは様々な職務(ジョブ)の束であり、それぞれの職務にそれを最も的確に遂行しうる人材を採用して嵌め込むことが「採用」ということの唯一の意味になる。つまり採用とは全て(新たなポストを創設する場合も含め)欠員補充なのであり、「その仕事をできる人」を採用するのが当然である。この「当然」というのは、企業経営上その方が合理的だというだけではない。あるポストに応募してきた複数人の中から、その仕事をできる人を差し置いて、その仕事をできない人を採用したとするならば、それは明白な採用差別となる。とりわけ、できる人が女性でできない人が男性であったり、できる人が黒人でできない人が白人だったりすると、訴えられて勝つ見込みはほとんどない。圧倒的に多くの日本人にはこの肝心要のところがほとんど理解されていない。差別というのは何か感情的な話だと思い込んでいる。それは、ジョブ型雇用社会のイロハのイが全く理解されていないからである。
 こういうジョブ型雇用社会においては、若者というのは不利な立場に立たされる。とりわけ学校を卒業したばかりの新卒者は、仕事をしたことがないのだから「その仕事ができます」と応募することは難しい。経験を積んだ中高年齢者と競争すれば、企業側は(差別と言われないように自己防衛するためにも)未経験の若者ではなく経験のある中高年齢者を採用することになる。つまり、ジョブ型社会では、若者は若者であるが故に労働市場で不利な立場に立たされることになるのである。この点も、新卒一括採用システムに慣れ親しんで、それ以外の採用を「中途採用」などとあたかも例外であるかのようにみなしている日本人にはなかなか理解しがたい点であろう。
 もっとも、「その仕事ができる」証明は職歴に限らない。学歴もそうである。というと、日本も学歴社会だから同じじゃないか、と思われるかもしれないが、根本的に異なるのは、学歴すなわち教育機関の卒業証書(ディプロマ)が「その仕事ができる」証明であるという点である。それゆえ、ビジネススクールの卒業証書は、企業の管理職ポストへの最強のパスポートになる。しかしながら、すべての学校の卒業証書がその卒業生の職業スキルを証明してくれるわけではない。そうすると、自分の職業スキルを証明してくれる材料を持たない低学歴の若者は、つらく苦しい「学校から仕事への移行」の時期を過ごさなければならなくなる。欧米社会というのは、若者が就職しにくい社会なのだ。だから、過去数十年にわたって、欧米諸国の雇用対策というのは、中高年などはほったらかしにして、ほとんどもっぱら若者の就職対策に集中してきたのである。
 先に挙げたOECDの報告書『世界の若者と雇用』に、大変印象的なグラフが載っている。学校から職業への移行がうまくいったかどうかで、若者を「勝ち組」「うまく入り込めなかった新参者」「取り残された若者」「教育に戻った若者」の4つに分けている。さて、ここでいう「勝ち組」(high performer)の定義は何だとお考えになるだろうか?
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 OECDのいう「勝ち組」とは、教育を離れた後の5年以上の期間、その期間の大部分(70%以上)において雇用に就いており、学校を離れてから初職を見つけるのにかかった期間が6か月未満の若者のことである。え?それでどこが「勝ち組」なのか?と多くの日本人は思うだろう。いや、それで「勝ち組」なのだ。それが、若者は就職できないのが当たり前の欧米社会の常識なのである。就職氷河期のような特殊な時期を除けば、誰でもがほぼ間違いなく自分の就職先を見つけ出すことができた日本から見れば、つまり若者雇用問題が存在しなかったかつての日本からすれば、とても「勝ち組」に見えないような若者が「勝ち組」であるのが、欧米のジョブ型雇用社会なのである。
 そして、欧米諸国の若者雇用対策はほぼ揃いも揃って、スキリング、つまり教育訓練を施して何らかの職務のスキルを身につけさせることに焦点を当ててきた。なぜ若者は就職できないのか?それはスキルがないからだ。ならばスキルを与えよう。さすれば就職できるであろう。実のところ、欧米諸国の若者雇用対策はほぼこの一言に尽きるのである。
 そのために膨大な予算が組まれ、様々な若者雇用対策が講じられてきたが、にもかかわらず若者はなかなか就職できない。卒業即無業というのがデフォルトルールで、そこから必死に這い上がって何とか就職にたどり着くという在り方自体に変わりはないからだ。そこで、卒業する以前から、在学中から、就職させてしまえばよいのではないかという発想が出てくる。これは別に新しい考え方ではなく、ドイツやその周辺諸国では昔から行われてきているデュアルシステムというものだ。
 これは、中世のギルド制度に起源を有するとも言われる仕組みだが、一言でいえば学校教育の枠組みの中で、学校における座学と企業現場における実習とを組み合わせた仕組みである。かつては主として後期中等教育つまり高等学校レベルで行われてきたが、最近は高等教育つまり大学レベルでも盛んに行われるようになっている。学校の座学と企業現場の実習を組み合わせるといっても、その組み合わせ方は半端なものではない。両者が同じくらいの分量で組み合わされているのある。
 例えば、高校の3年間、毎週の週日のうち3日間は学校に通って基礎科目や職業科目について勉強をし、残りの2日間は企業現場に通って職場の管理者や先輩労働者に教わりながら実際に作業をやって、職業スキルを身につけていくというパートタイム型もあれば、数か月間は学校に通って勉強をし、次の数か月間はずっと企業現場で作業をするというブロック型のやり方もある。
 デュアルシステムの下では、学校の生徒や学生が同時に企業で働く見習労働者でもある。スキルのない若者が企業現場で実習を通じてスキルを身につけるという点では、日本のやり方と似ているといってもよいが、一番重要な点は、デュアルシステムで実習している生徒や学生は、卒業したらその実習している企業に就職するとは限らないということである。デュアルシステムは政府が援助しているが、その主体は地域の業界団体であり、その会員の企業が業界全体の技能労働者養成という目的のための活動として若者を見習労働者として受け入れているのである。決して自分の会社のために、自社の将来の人材を養成するという狭い目的のためにやっているわけではない。これはやはり、ギルド的な業界のつながり、強い絆があって初めて行えることであろう。
 なお、これまでデュアルシステムは主として高校レベルで行われてきたが、近年の大学進学率の上昇に対応して、同じようにデュアルシステムで勉強しながら職業スキルを身につける専門大学という教育機関が急速に拡大してきている。今では高等教育機関の6割以上はアカデミックな大学ではなく、専門大学なのである。このお陰で、ドイツやその周辺諸国はEUの中では例外的に若年失業率が低く、ほぼ日本並みである。
 これに対して、フランスをはじめとする多くのEU諸国で広がっている教育から職業への移行の装置はトレーニーシップ(研修制度)である。スキルがないゆえに卒業後就職できない若者を、労働者としてではなく研修生として採用し、実際に企業の中の仕事を経験させて、その仕事の実際上のスキルを身につけさせることによって、卒業証書という社会的通用力ある職業資格はなくても企業に労働者として採用してもらえるようにしていく、という説明を聞くと、大変立派な仕組みのように聞こえるが、実態は必ずしもそういう美談めいた話ばかりではない。むしろ、研修生という名目で仕事をさせながら、労働者ではないからといってまともな賃金を払わずに済ませるための抜け道として使われているのではないかという批判が、繰り返しされてきている。
 とはいえ、ジョブ雇用型社会のヨーロッパでは、研修生であろうが企業の中で仕事をやらせているんだから労働者として扱えという議論が素直に通らない理由がある。労働者として採用するということはそのジョブを遂行するスキルがあると判断したからなのであって、そのスキルがないと分かっている者を採用するというのは、そのスキルがある応募者からすればとんでもない不正義になるからである。スキルがない者を採用していいのは、スキルを要さない単純労働だけである。そして、単純労働に採用されるということは、ほっとくといつまで経ってもそこから抜け出せないということを意味する。ジョブ型雇用社会というのは、本当に硬直的で面倒くさい社会なのだ。
 スキルがない者であるにもかかわらず、スキルを要するジョブの作業をやらせることができるのは、それが教育目的であるからである。労働者ではなく研修生であるという仮面をかぶることで、スキルのない(=職業資格を持たない)者がスキルを要するジョブのポストに就くことができるのである以上、この欺瞞に満ちた研修制度という仕組みをやめることは難しい。
 とはいえ、さすがにそれはひどいではないかと声が高まり、EUでは2014年に「研修制度の上質枠組みに関する理事会勧告」という法的拘束力のない規範が制定されている。そこでは研修制度の始期に研修生と研修提供者との間で締結された書面による研修協定が締結されること、研修生の権利と労働条件の確保、手当や報酬が支払われるか否か、支払われるとしたらその金額を明示すること、期間が原則として6カ月を超えないこと等が求められている。とはいえこれは法的拘束力のない勧告なので、実際には数年間にわたり研修生だといってごくわずかな手当を払うだけで便利に使い続ける企業が跡を絶たない。
 欧州委員会は2024年3月に研修生(偽装研修対策)指令案を提案し、去る2025年6月に閣僚理事会で一般的アプローチに合意され、同年10月欧州議会でも意見がまとまり、両機関の間で交渉が始まっている。原案では研修を偽装した正規雇用関係を判断する5要件が示され、また均等待遇や期間の上限などが盛り込まれているが、最終的にどのような規定に落ち着くかはわからない。いずれにしても、これがジョブ型雇用社会における若者雇用の実態なのである。
 これと比べると、職業資格や職業経験のまったくないど素人を好んで採用し、採用してから適当な職場に配置して、上司や先輩がその若者に作業をさせながら鍛え上げていくというのが、日本的なメンバーシップ型社会の最もメインストリームのやり方である。
 OECDの『世界の若者と雇用』では、先進諸国の若者雇用を4つに類型化しているが、日本はそこにうまくはまらない。同報告書では、第1グループは北欧やオランダなどの「働きながら年長まで勉強」モデル、第2グループはアングロサクソン諸国などの「働きながら勉強」モデル、第3グループは多くの欧州諸国が含まれる「まず勉強、それから仕事」モデル、そして第4グループはドイツ、スイス、オーストリアの「実習制度」モデルであり、このうち第3グループは若者の就業率が低く、ニート率が高いなど問題山積なので、学習と労働を組み合わせる方向の政策をとるべきだと力説する。ところが、奇妙なことに、第3の「まず勉強、それから仕事」モデルの最も典型的な国が日本であるにもかかわらず、その若者雇用のパフォーマンスはドイツよりもいいくらいなのだ。その理由は、日本独特の「入社」の仕組みにある。私が「教育と職業の密接な無関係」と呼ぶ「スキルがなくても、いやむしろ下手にスキルのない若者の方を選好する」日本企業の行動様式が、この欧米人には理解不能な事態をもたらしているのである。
 最後に、本誌の特集との関係で、AIが若者雇用にどのような影響を与えるかを考えておこう。実のところ、AIが今後どこまで進化していくか、私も分からないし、誰も分からないだろう。ホワイトカラーが従事している多くの知的な仕事の大部分が代替されるという議論もあるし、そこまではいかないという議論もある。ただ現時点で起っているのは、比較的低スキルの、エントリージョブといわれるジョブがAIによって代替され、その結果普通の大卒クラスの若者が(就くべきジョブがなくなったので)就職できないという事態である。この点に関する限り、日本ではそもそもジョブに就くのではなく、会社の社員として全人格的に「入社」するのであるから、同じことは起らないだろう。「入社」後にあてがわれ、上司や先輩に鍛えられながら身につけていくべきスキルが初めからより要求水準の高いものになるだけである。それもしんどいが、しかしそれで済むかどうかは分からない。AIが代替するのがエントリーレベルに留まる保証などないのだから。ホワイトカラーが総体として今までのような規模では不要になっていくのだとしたら、若者であろうか中高年であろうが雇用が危なくなる可能性は否定できない。そうなれば、AIの苦手な繊細な手作業を行うブルーカラーの方が安泰になるのかもしれない。いずれにしても、現段階では鬼が笑う話である。

 

 

 

労働時間の規制と緩和 日本はどちらも難しい@『週刊東洋経済』12月20日号

一昨日のこの記事はかなり多くの方に読まれたようですが、

高市首相は(上限規制緩和ではなく)裁量労働制緩和を選択

ここに述べたことを、昨年末に『週刊東洋経済』12月20日号に「労働時間の規制と緩和 日本はどちらも難しい」という1ページの記事として書いておりました。

もう出てから2か月以上経つので、全文をここに掲載しておきますね。この図は、週刊東洋経済編集部の黒崎亜弓さんが作ってくれたものです。

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2026年2月18日 (水)

大内伸哉『最新重要判例200[労働法]<第9版>』

A58a29bd9b2544a0a04e0cbf7337b354 大内伸哉『最新重要判例200[労働法]<第9版>』(弘文堂)をお送りいただきました。

https://www.koubundou.co.jp/book/b10154485.html

 働き方の多様化や生成AIの出現で構造変化が進むなか、いま押さえておくべき200判例を厳選して解説した判例ガイド。
 膨大な判例の中から新しいものを中心に一貫した視点で重要判例を選び、単独執筆により統一的に理解できます。判旨の要点がひと目でわかるよう2色刷りにし、読者の学習に配慮した判例解説の決定版です。
 今改訂では、必要かつ十分な判例を読者に届けるという目標を再確認し厳選した結果、10判例を削除、新規判例10件を追加しました。限られた紙幅の中で、関連判例や最新の法令情報も可能なかぎり盛り込んでいます。法学部生をはじめ、各種国家試験受験生、社労士、企業の人事・労務担当者に最適なコンパクトな判例集。

たった一人で選択した判例集としておそらく唯一のこの本も、ほぼ2年ごとの更新で第9版を迎えました。200という枠を設定して、これを入れるならあれを外すしかないと色々と考えてこのラインナップになったのでしょう。

Handbook_20260218170601 私も、市販本ではないですが、JILPTの資料シリーズとして『個別労働関係法ハンドブック』という判例集みたいなものを作ったりしたので、判例選びって難しいだろうなと思います。

ちなみに、今回入った渋谷労基署長(山本サービス)事件は、例の家事使用人扱いされた家政婦の事件ですが、大内さんは解説の最後で、

・・・このため家政婦の紹介サービスも職業紹介と位置づけられるが、労基法等の責任主体としての適格性と家政婦の保護を考えれば、紹介事業者が家政婦を雇用し、家庭が指揮命令するという労働者派遣とみて(労派法2条1号を参照)、個人(家庭)ではなく事業者が使用者としての責任をとる形態が推奨されるべきであろう。

と、きわめてまっとうな意見を述べています。

 

 

高市首相は(上限規制緩和ではなく)裁量労働制緩和を選択

朝日新聞が「高市首相、裁量労働制の見直し表明へ 拡充念頭か、施政方針演説原案」と報じていますが、

https://www.asahi.com/articles/ASV2K3QTNV2KULFA017M.html

  働き方改革の見直しをめぐり、高市早苗首相が、特別国会の施政方針演説で裁量労働制の見直しを表明する方向で調整していることがわかった。就任時に指示した「労働時間規制の緩和検討」から具体策に踏み込む形で、裁量労働制の拡充などを念頭に検討を加速する狙いがあるとみられる。

 判明した原案では、経済成長戦略の一環として、時間外労働に上限規制などを設けた「働き方改革」について、「働き方改革の総点検においてお聞きした労働者の方々の声を踏まえ、裁量労働制の見直し」を打ち出す。

実は、昨年就任したばかりの高市首相が厚労相に労働時間規制の緩和を指示したときに、その緩和って具体的にどの労働時間規制の緩和なの?という疑問がありました。

誰の労働時間規制を緩和したいのか?

昨晩、都内某所で某氏と会話。高市総理は「労働時間規制の緩和検討」を指示したけれども、一体誰のどういう労働時間規制を緩和したいのだろうか?

これが連合と経団連が労政審でぶつかる話であるなら、話は簡単。ブルーカラー向けの労基法の労働時間規制がふさわしくない自律的に働くホワイトカラーの労働時間規制を緩和せよ、という話だ。実際、過去30年にわたって、裁量労働制、ホワイトカラーエグゼンプション、高度プロフェッショナル制度と、この話は繰り返され、高プロがほとんど空振りになってしまったので、もう一遍裁量労働制を大きく拡大しようというのは、経団連が最近も言っている。そういう話なら、そういう話として対処できる。でも、高市総理の頭にあるのはたぶんそういう話じゃない。

地方の中小企業、それもトラックなどの運輸業や建設業は、5年の猶予期間が切れて昨年4月から上限規制がかかっているが、ただでさえ人手不足で回らないうえに、数少ない労働者を長く働かせて何とか回そうとすると、上限規制に引っ掛かるからそれ以上働けません、とくる。実は、いま日本の地方の中小企業、とりわけ運輸、建設業といった業種の事業主は、裁量労働制だのエグゼンプションだのと言った東京のきれいなオフィスにいる連中の話なんか関心ない。そんな話はどうでもいいから、この上限規制を何とか緩めてくれと悲鳴を上げている。

で、保守本流ではない高市総理の耳に入ってくる「労働時間規制の緩和」を求める声ってのは、経団連流の裁量労働だのエグゼンプションじゃなくって、こういう地方中小企業の、とりわけ運輸、建設業の上限規制を何とかしろという声である可能性が高いのではないだろうか。

てな話をしてました。

これは、高市首相肝煎りの日本成長戦略会議においても、上限規制の緩和を求める日本商工会議所と、裁量労働制の緩和を求める経団連の間に、はっきりとした断絶が見られたのです。

日本成長戦略会議における二つの労働時間規制緩和論

昨日、官邸で第2回日本成長戦略会議が開催されました。注目すべきは、大企業を代表する経団連と中小企業を代表する日本商工会議所から、それぞれ全くベクトルの異なる二つの労働時間規制緩和論が示されていることです。

経団連の筒井会長は、従前繰り返し求めているように、裁量労働制のさらなる拡充を求めています。

一方、日本商工会議所の小林会頭は、働き方改革で導入された時間外休日労働の上限規制の緩和を求めています。

今回の報道は、この経営側内部の対立が、裁量労働制の緩和を求める経団連の側の勝利になりつつあるということのようです。

批判派はなんでもかんでも味噌も糞もまぜこぜに労働時間規制緩和反対とだけしかいわないので、こういうきめの細かい分析が抜け落ちてしまうのですが、政治過程分析で大事なのはこういう所なんですよ。

これは、今後仕事が下ろされてくる厚労省サイドからすると相対的には望ましい展開といえます。というのも、上限規制はそもそも過労死するような長時間労働はだめだという話なので、緩和するというのはダイレクトに過労死させてもいいのか、という話になってしまい、なかなか理屈が立ちにくいのに対して、裁量労働制は確かに総合職ホワイトカラーが実際に裁量的な働き方をしている面があり、かつ労働時間ではなく成果で評価すべきだという議論が本人にも正当性を持って受け入れられる面があるので、長時間労働による健康障害を防止する措置を講じつつ、というあれこれを付け加えながら、一定の正当性のある法政策を講じることができる可能性があるからです。

そもそも論からいうと、なぜ裁量労働制やエグゼンプションがかくも大問題になってしまうのかというと、拙著『管理職の戦後史』でも論じたように、ホワイトカラーがマネージャー、スペシャリスト、アシスタントの3階級にきれいに分かれ、前2者はエグゼンプトであり、後者はノンエグゼンプトであり、そのやっている仕事は別々であるジョブ型社会に対して、日本的なメンバーシップ型社会では、総合職サラリーマンというのはみんな、課長でなくてもなにがしかマネージャー的な仕事をし、専門職でなくてもなにがしかスペシャリストがするような仕事をし、でもやっぱりヒラなのでクラーク的な単純作業に従事しているというアマルガム的存在だからです。

人事部の職員で、高級な「現行の人事制度の問題点やその在り方等について調査及び分析を行い、新たな人事制度を策定する業務」ばかりを行い、「人事記録の作成及び保管、給与の計算及び支払、各種保険の加入及び脱退、採用・研修の実施等の業務」などという低級な業務は一切やらないなどという鼻持ちならない奴は一人もいないでしょう。でも、企画業務型裁量労働制の指針では、そういう奴しか適用できないことになっているのです。ジョブ型社会であればまことにもっともな厳格な業務内容による区分が、全部ごたまぜの大部屋日本式メンバーシップ型サラリーマンには、まことに適用しにくいものになってしまうわけで、これは雇用システム論の根本にも関わる話でもあるのですね。

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2026年2月14日 (土)

『労働新聞』で『外国人労働政策』を紹介

Chukogaikoku_20260214075001 毎月私が書評を書いている『労働新聞』に、拙著『外国人労働政策』の紹介が載りました。

https://www.rodo.co.jp/column/213410/

報道を史料に過程追う

 なぜ日本は外国人を労働者として受け入れず、研修生などの形を採ってきたのか――著者の濱口桂一郎氏は、背景には外国人政策における労働省と法務省の権限争いと、日本型雇用慣行の特殊性があると説明する。

 本書は、政策過程を明らかにするため、新聞報道を史料としている。たとえば1988年、労働省が職業安定局を実施者とする「雇用許可制」を提案。一方で法務省は、労働者性を否定する「研修」案を推し進める――公式発表で分かるのはここまでだが、その2年前の報道をみると、法務省内でも外国人を「労働者」として受け入れる政策を検討していたことが分かる。

 現行制度の成立ちから、その「なぜ」を理解する一助になるだろう。

2026年2月12日 (木)

八代尚宏『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』

4539731548 八代尚宏さんより『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(日本法令)をお送りいただきました。

1990年代から続く日本経済の長期停滞を克服するには、需要の喚起だけでなく、産業や企業の生産性向上という供給面の政策が必要です。そのためには企業の新規投資を妨げている旧来の規制の改革が重要です。
必要な規制改革を進めるための理論的枠組みとして必要なのは、「市場の失敗」を補うために政府の介入が必要という伝統的な考え方に対して、「政府もまた失敗する」という認識です。
本書は、「政府の失敗」の事例として、年金制度改正、少子化対策、外国人労働行政、農業政策、東京一極集中是正策、労働市場制度などについて検討し、克服のための具体策を提示します。

対象分野は以下のように非常に広範にわたっていますが、外国人労働者受入れ政策の章は、ちょうど私も『外国人労働政策』を上梓したばかりでもあり、大変共感をもって読みました

第1章 「市場の失敗」と「政府の失敗」
第2章 規制改革への歴史的接近
第3章 将来人口推計と年金財政検証
第4章 第3号被保険者と遺族年金
第5章 異次元の少子化対策の失敗
第6章 外国人労働者受入れ政策
第7章 農業政策の失敗
第8章 東京一極集中是正策の失敗
第9章 労働市場改革の課題

第6章 外国人労働者受入れ政策
1.外国人労働の役割
2.移民政策の定義
3.外国人増加の財政効果
4.外国人の犯罪率
5.経営・管理ビザの問題点
6.外国人の社会保険加入
7.外国人登録制度の改善
8.「外国人雇用法」の制定
9.日本の移民輸出国としての経験

2026年2月11日 (水)

新書大賞で、小熊英二さんが拙著を挙げてくれました

61dmvvzbzvl_sy522_ 毎年恒例の『中央公論』新書大賞。今回は、鶴見太郎さんの『ユダヤ人の歴史』『シオニズム』をはじめ、凄い力作が目白押しだったので、拙著如きが割り込む余地はないだろうなと思っていましたら、その通り、30位以内にはランクインしませんでしたが、「目利き47人が選ぶ2025年私のオススメ新書」の中で、小熊英二さんが拙著『管理職の戦後史』を挙げていただいておりました。

Oguma26

ありがとうございます。

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