第133回日本労働法学会

明日、京都の龍谷大学で、第133回日本労働法学会が開かれます。

http://www.rougaku.jp/contents-taikai/133taikai.html

Headerimg02 受付開始 8:15〜

個別報告 9:00〜11:10

第一会場

日野勝吾(淑徳大学)「公益通報者保護制度の役割と制度活用に向けた課題」

司会:鎌田耕一(東洋大学)

河野奈月(明治学院大学)「労働者の個人情報の収集をめぐる規制―犯罪歴の調査に関する米仏の規制を中心に」

司会:荒木尚志(東京大学)

第二会場

地神亮佑(滋賀大学)「労働保険における労働者の「従前業務」に対する法的評価―アメリカ法を参考に」

司会:水島郁子(大阪大学)

古賀修平(早稲田大学大学院)「フランスにおける合意解約法制化の意義」

司会:島田陽一(早稲田大学)

特別講演 11:15〜12:00

報告者:菅野和夫(東京大学名誉教授)

演題:「労働政策の時代に思うこと」

昼食・休憩 12:00〜12:50

総会 12:50〜13:20

ミニ・シンポジウム 13:30〜17:30

第1会場「委託型就業者の就業実態と法的保護

司会・趣旨説明:鎌田耕一(東洋大学)

報告者:

長谷川聡(専修大学)

田中建一(東洋大学)

内藤忍(労働政策研究・研修機構)

第2会場「不当労働行為救済法理を巡る今日的課題」

司会・趣旨説明:石田眞(早稲田大学)

報告者:

川口美貴(関西大学)

古川景一(弁護士)

田中誠(弁護士)

第3会場「女性活躍推進と労働法」(ワークショップ方式)

司会:野川忍(明治大学)

趣旨説明:小畑史子(京都大学)

コメント:山極清子(非会員・昭和女子大学客員教授)

多分、ミニシンポでは第1会場に行くことになると思います。働き方改革実行計画でも非雇用型テレワークという名前で雇用類似の働き方を推進していくということになっていますし、先日のILOとの労働政策フォーラムでも話題になったように、これからの労働法政策の注目点であることは間違いありません。

EUでも10年ほど前に経済的従属労働者の議論が立ち消えになったままの状態ですが、つい最近また「新たな就業形態」に対応して書面通知指令の見直しをするという労使団体への第1次協議が、彼らへの社会保護のあり方に関する協議と一緒に始められたところであり、新たな動きが始まっています。これについては、『労基旬報』で来月簡単に紹介するつもりですが、日本でもそろそろ有識者検討会が始まるらしいので、注目してみていきたいところです。

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『働く女子の運命』感想いくつか

Img_752f5d874047328e26f434ce08fbda5ツイッター上に拙著『働く女子の運命』の感想が連投されていたので。「ようこ」さん。

https://twitter.com/98126yu

「働く女子の運命」読了。富岡製糸場黎明期から育休世代のジレンマまで、読み応えあった!↓対談記事見つけたのでペタっと。

対談の後編。私は「スカートをはいたオッサン」を待ち構える企業の姿勢はこの5、6年で終わるような気がしてる。無限定社畜な働き方が出来る正社員割合がガクンと減るから。目指すモデルが変わる、きっと。

「モーレツ長時間労働こそ尊い」思想は、やはり緩やかに崩壊しつつあるよ。最近、在宅勤務とフレックス勤務が導入された我が社。それら制度利用者がジワジワ増えてるのね。そのことが、「モーレツ最高!」の城をぬるま湯でふやかして溶かしちゃうみたいに空気を少しずつ変えてるんだ。

こういう空気がもっともっと広く深く社内に浸透すれば「コアタイム以外の会議の設定、やめない?」って自発的に意見が出るんじゃないかな。これまではフレックスのデメリットとしての「会議に人が揃わない」だけど、会議を厳選するキッカケにすればいいかと。

かけられる時間の違いで、業務量・質って人によって偏りが出ることはある程度そのとおりで。だとすると濱口さんの言うとおり、一部のグローバル活躍社員(エリート)と、大多数のローカル社員に棲み分けした方が、企業としては安定するのかもしれない。全員島耕作を目指せないもん。特に女性は。

話がポンポン飛んで申し訳ない。「働く女子の運命」読んで1番の感想は、自分が雇均法第1世代やBG・OL全盛期に当たらなくてよかった!ということだ。女性だというだけど、絶対にドロップアウトしていると思うから。それと比べれば今は格段に良くなったと思う。

02年に総合職として新卒入社した時は、女性総合職採用2年目で、社食に行くと制服組の女性から好奇の視線が寄せられるのを感じた。圧倒的な「浮き」感。電話を取れば「あー、男性に変わってくれる?」という状態。一般職の制服はあれからすぐに廃止され、一般職の新規採用もなくなり→

女性総合職の採用割合も10?20%から、近年では40%強に増えて来た。数自体もマイノリティではなくなってきた。電話で「女の子」扱いされることも減った。会社にダイバーシティ推進グループできた。働き方改革、在宅勤務、フレックス導入!この15年はすんごい変化が起きたのだと思う。

ただ、濱口氏が言うとおり、一般職的なポジションも必要だといえことが最近再確認されて、男女問わず「SS職」というカテゴリが出来た。が、やはりこのカテゴリには女性しかいないんだなー。もちろん現役社員でSSに変更も可能なんだけど。介護でSSに移る社員はこれから出てくるかもな。

あと、「本のアプリStand」というサイトにも、拙著への書評が。「chou」さん。

https://standbk.co/b/%E5%83%8D%E3%81%8F%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%81%AE%E9%81%8B%E5%91%BD-%E6%BF%B1%E5%8F%A3%20%E6%A1%82%E4%B8%80%E9%83%8E/41941/p/196160

働く女子の”これから”の運命というより、”歴史”がメイン。ちょっとイメージした内容とは違かった。

日本の雇用制度の歴史はおおまかには知っているけど、知らなかった衝撃の歴史もあってそれなりに面白かった。
1950年代の、28歳女子定年制とか!
結婚が決まったら退職する旨の誓約書を出して入社とか!

まだまだ女性の職業人生って、男性と比べると色々な壁はあるけれど、その時代から比べれば、独身女性である私が、40歳を過ぎて管理職として他社に転職しているのだから、時代は徐々に変わりつつある…

奇しくも、どちらもアラフォー女性で、世の中は変わりつつあるという認識のようです。

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佐藤信之『通勤電車のはなし』

102436 さて、下の白波瀬達也『貧困と地域』と一緒に送られてきたのが同じ中公新書の佐藤信之『通勤電車のはなし 東京・大阪、快適通勤のために』なんですが、実は正直言って、なんでこの本をわたくしにお送りいただいたのかよくわからないのです。

http://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/05/102436.html

通勤時間はムダである。この苦痛に耐える時間を有意義に利用すれば年間7兆円もの価値が生まれるといわれる。どうすれば満員電車を少しでも快適に出来るのか。新線の建設、ダイヤの工夫、新型車両の導入など、鉄道会社は努力を重ねてきた。人口減少社会の現在も、なお改善は必要である。混雑率200%に達する総武線や田園都市線をはじめ、主要路線の問題点と対策を解説。過去から将来まで、通勤電車のすべてが分かる。

いや結構面白いんですよ。特に第2章の東京、第3章の大阪、いずれもWikipedeaあたりに書かれていそうなマニア好みのとリビアな知識が満載で、読みながらふむふむと頷くところが多いんですけど、それにしても私にお送りいただいた趣旨がよくわかりません。

こうして拙ブログに紹介を書いていますけど、拙ブログの熱心な読者の方に対してそれほど訴求力がありそうな本とも思えず、中公新書編集部の方の意図が今ひとつつかめないまま、とりあえずこうして紹介させていただいております。

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白波瀬達也『貧困と地域』

102422中央公論社から白波瀬達也『貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死』(中公新書)をお送りいただきました。副題の通り、俗に「釜が崎」と呼ばれるあいりん地区について、その歴史と現状を、労働、福祉、住居などさまざまな視点から解説した本であり、これも何回目かですが、新書というのはこういう本だというお手本のような本になっています。

http://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/02/102422.html

「日雇労働者の町」と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。現在は高齢化が進むなか、「福祉の町」として知られる。劣悪な住環境、生活保護受給者の増加、社会的孤立の広がり、身寄りのない最期など、このエリアが直面している課題は、全国の地域社会にとっても他人事ではない。本書は、貧困の地域集中とその対策を追った著者による現代のコミュニティ論である。

51ofieewurl_sx344_bo1204203200_あいりん関係の本と言えば、昨年10月に本ブログで取り上げた鈴木亘『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』が橋下市長による西成特区構想のまさに中心人物による叙述であるのに対し、本書の著者の白波瀬さんは2007年から2013年まで西成市民館でソーシャルワーカーとして活動しつつ、あいりん問題のフィールドワークを続けてきたまさに現場の目の研究者です。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/10/post-9efc.html(鈴木亘『経済学者 日本の最貧困地域に挑む』)

叙述の主力は日雇労働者のドヤの街からホームレス溢れる地域となり、そして生活保護受給者の町から再開発の焦点となりゆくここ十数年の動きですが、わたしにとって興味深かったのはそれよりももっとむかしの歴史、かつては家族持ちも多いスラム街だった釜が崎が、高度成長期の建設労働力需要に引きずられるように急速に単身男性たちが簡易宿泊所に暮らすドヤ街になっていったというあたりの叙述です。

貧しい家族持ちが暮らすスラム街というのは、じゃりン子チエの世界ですね。スラムとドヤがどう違うかは、本書24ページに表にしてあります。

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この写真は、湯浅誠さんとの対談から持ってきましたが、この対談も興味深いです。

https://news.yahoo.co.jp/feature/582

あと、本書25ページには、約60万枚を売り上げたという三音英次のヒット曲「釜ケ崎人情」も紹介されています。

ふむ、確かに、同じドヤ街の唄とはいえ、岡林信康の「山谷ブルース」とはだいぶ趣が違いますね。

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使用者の労働法知識向上の促進@規制改革推進会議

昨日、規制改革推進会議の第1次答申が出されたようです。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/committee/20170523/170523honkaigi01.pdf

いろんな分野のいろんなことが書いてありますが、労働関係では例の労働基準監督業務の民間活用の話があまり懸念されるような変な形にならないように決着したので、それほど目立つような項目はありません。

2. 人材分野

(1) 規制改革の目的と検討の視点

(2) 具体的な規制改革項目

① 転職先がより見つけやすくなる仕組みづくり

ア ジョブ型正社員の雇用ルールの確立

イ 職業紹介事業を行う場合における行政手続の簡素化

② 転職して不利にならない仕組みづくり

ア 法定休暇付与の早期化

③ 安心して転職できる仕組みづくり

ア 使用者の労働法知識向上の促進

(3) 重点的にフォローアップに取り組んだ事項

① 労使双方が納得する雇用終了の在り方

この中で、おやおや規制改革推進会議がそれを言い出しますか、というのが「使用者の労働法知識向上の促進」という項目です。曰く、

ア 使用者の労働法知識向上の促進

【平成 29 年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置】

職業安定法(昭和 22 年法律第 141 号)では、職業紹介事業者に職業紹介責任者の選任を義務付け、その選任対象者には、必要な知識を習得させるための講習の修了を必要とすることにより、一定の知識水準を担保する仕組みが存在する。また、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)や労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和 60 年法律第 88 号)においても、一定の知識水準を担保する類似の仕組みが存在する。

しかし、労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)といった基本的な労働法の知識向上については、同様の仕組みが存在しない。すなわち、同法第 105 条の2において、「厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、この法律の目的を達成するために、労働者及び使用者に対して資料の提供その他必要な援助をしなければならない」とされているだけであり、使用者の自発的な取組に任されている。

したがって、使用者が基本的な労働法の知識を十分に得るための方策について、幅広く検討を行い、必要な措置を講ずる。

Rodoho ええっと、これってもしかして、およそ事業主が人を雇って働かせようとする場合には、労働法のテストを受けて、もし不合格だったら、所定の労働法講習をちゃんと受けなければならないとかという仕組みを導入しようという話とか?

なかなかすごい規制強化ですが、いやもちろん規制改革とは往々に誤解されるように規制緩和のことではなく、規制のあり方を(強化の方向にも、緩和の方向にもそれぞれの状況に応じて適切な方向に)変えていくことなのですから、別に特別変なことを言っているわけでもありません。

例の労働法教育の研究会を立ち上げたのは2008年ですからもう9年前になりますが、少しずつ世の中に広まってきて、ついに規制改革推進会議もこういうことを言うようになったかという感じです。

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岸健二編『業界と職種がわかる本 ’19年版』

9202_1494547957毎年恒例ですが、岸健二編『業界と職種がわかる本 ’19年版』 (成美堂出版)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415224787/

就職活動をする学生のために、業界や職種を11業種・8職種にまとめ、業界の現状、仕事内容などを紹介。
就職活動の流れや最新採用動向も掲載。就職活動の基本である業界職種研究の入門書として最適な一冊。
自分に合った業界・職種を見つけ就職活動に臨む準備ができる。

ということで、就活用のガイドブックですが、業界研究に「業界を理解しよう」と並んで「各業界の働く環境を知っておこう」がちゃんと入っていたり、業界研究と並んで職種研究があったりと、結構本格派の本になっています。

 ◇ 将来を見据えた企業選びのために
 ◇ 最新動向を1ページでおさらい 就職活動ポイントチェック
 ◇ 本書の構成と使い方

【第1章】 業界研究
 1 業界を理解しよう
 2 各業界の働く環境を知っておこう
 3 各業界の仕事を理解しよう

【第2章】 職種研究
 1 企業のしくみを知っておこう
 2 職種への理解を深めよう
 3 企業が求める人物像とは?

【第3章】 就職活動シミュレーション
 1 就職活動の流れを知っておこう
 2 準備なくして勝機なし
 3 いざ、企業にアプローチ
 4 山あれば谷ありの就職戦線
 5 先輩たちの就職活動日記
 6 スケジュールチェックシート

【第4章】 最新採用動向
 1 学生確保の競争が激化
 2 活動期間見直しは続く

【インタビュー】 先輩に聞いた就職活動の極意

♦ 「内定」を得た先に ― 将来を見すえたキャリアデザインをしよう

ちなみに、岸健二さんは長く日本人材紹介事業協会でこの分野に携わり、最近では労働調査会のサイトで「労働あ・ら・かると」というコラムの執筆者の一人としても活躍しています。

最近のコラムを紹介しておきますと、

http://www.chosakai.co.jp/information/alacarte/18919/(新社会人のみなさんへ 10年前20年前新人だった先輩をよく観察しましょう)

・・・もっとも、今皆さんの目の前にいる先輩社員や上司たちにも、新人だった時代は当然あったわけで、ちなみに目の前にいる昨年入社した1年先輩は、「ドローン型」、5年前(平成24年入社)は「奇跡の一本松型」、10年前は「デイトレーダー型」、20年前「形態安定シャツ型」などと名付けられていたそうです。
 それぞれの特徴がある先輩たちが、社会人になった後の環境変化にどのように対処し適応してきたのでしょうか。じっと観察するもよし、飲食の場面で質問するのもよしです。それぞれの世代の「苦労話」から、皆さんがこれから遭遇するであろう「環境変化」にどう対処すべきなのか、そのヒントを是非獲得してほしいと思います。・・・

・・・・当面先輩から習うのは、今目の前にある仕事の処理のしかた(マニュアル)でしょうが、その先輩たちが努力してきた「適応力・生存力のコツ」も是非観察して自分のものにしていただきたいと思うのです。

このコラムの書き手の中では、いつも結構洒脱な文章を書かれるので、愛読者も多いと思います。

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「民進党のパワハラ防止法案?」@『労基旬報』2017年5月25日号

『労基旬報』2017年5月25日号に「民進党のパワハラ防止法案?」を寄稿しました。内容は、『情報労連REPORT』4月号に載っていた石橋通宏参議院議員のインタビュー記事のほぼ忠実な紹介です。ちょうど先週金曜日に厚生労働省で職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会が開始されたところでもあり、一つの議論の素材として有用ではないかと思います。

1704_sp05_face 2001年に施行された個別労働紛争解決促進法に基づく相談件数等では、長く解雇がトップを占め続けてきましたが、近年ではいじめ・嫌がらせの方が多くなっていることは周知の通りです。2015年度には、民事上の相談245,125件のうちいじめ・嫌がらせが66,566件、解雇が37,787件、労働局長による助言・指導8,925件のうちいじめ・嫌がらせが2,049件、解雇が1,180件、さらにあっせん申請4,775件のうちいじめ・嫌がらせが1,451件、解雇が1,318件と、遂にあっせんでも解雇を追い抜いてしまいました。
 これに対して労働政策の方面では、2011年7月に設置された職場におけるいじめ・嫌がらせ問題に関する労使円卓会議が、2012年1月にまとめた提言において、「パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義し、パワハラを予防するためにとるべき措置について示しただけで、その後特段の動きは見られませんでした。
 ところが、去る3月に取りまとめられた働き方改革実行計画の策定過程において、長時間労働の是正をめぐって労使の直接交渉が行われ、その中からやや瓢箪から駒のような形で、「職場のパワーハラスメント防止に向けて、労使関係者を交えた場で対策の検討を行う」という一項が盛り込まれ、検討会が設置されることとなりました。あくまで「対策の検討」といっているだけなので法制化につながるかどうかは未確定ですが、その際に議論に素材になる可能性が高い考え方が、最近刊行された情報労連の機関誌『REPORT』4月号に載っています。
 同号は「パワハラをなくそう」という特集に研究者、運動家、弁護士などさまざまな人が寄稿していますが、その中に民進党の参議院議員である石橋通宏氏の「パワハラ防止措置の法制化を」というインタビュー記事があります。それによると、パワハラ防止に関する法規制がない中で、石橋議員が主担当となって防止措置を法制化する動きが民進党内でスタートしているとのことです。以下、石橋氏の発言をもとに、民進党のパワハラ防止法案の現段階での考え方を見ていきましょう。
 まず、大きな方向性としては、労働安全衛生法を改正して、パワハラを定義し、その防止措置や対策に関して雇用管理上の責務を事業者に課すことを想定しています。最大のポイントはどこまでを規制対象とするかです。石橋氏は3つの類型を上げています。第1は同一企業・事業所内のパワハラで最低限含まれますが、第2として異なる企業間のパワハラ、たとえば親会社の社員から子会社の社員へ、発注元から下請企業の社員へといったものを挙げています。これは上記提言には含まれていない類型ですが、石橋氏らは検討課題にしています。さらに第3として、これは提言でも触れられていましたが、消費者や公共サービス利用者から労働者や公務員に対して起きるパワハラがあり、これを議論の俎上に載せています。石橋氏自身、第2や第3の類型は定義の問題など法規制が困難であることを承知しつつ、できるだけ対象範囲を拡げる方向で検討しているということです。
 具体的な法規制のあり方ですが、まず国に対して、パワハラ対策として事業主が講ずべき措置に関する指針を策定させ、その上で、事業者に対し、国の指針に基づいた行動計画の策定と、対策を実行するための部署の設置または担当者の任命を求めます。こうしたスキームを通じて、①予防的措置、②問題の早期発見、③問題発生後の迅速かつ適切な対応策を講ずることを求めます。適切な措置をとらない事業者に対しては、セクハラやマタハラと同じように、指導・勧告、そして企業名公表などの措置を想定しています。また、紛争解決処理に関しては、個別労働紛争解決促進法に基づくあっせんに加えて、その他の中立的な第三者機関を想定しているとのことです。これは、上記第2類型、第3類型は個別労働紛争の枠を超えるからとのことです。しかし、そのためにわざわざ新たな組織を作るのかというのは、なかなか突破するのが難しいところかも知れません。
石橋氏が課題として挙げるのは、やはり第2類型や第3類型を事業者の雇用管理責任という切り口で位置づけることの難しさです。第2類型の場合、被害者と加害者が別の企業に属しているので、事業者が親会社や取引先企業に属する加害者に対して雇用管理責任を果たすことはできません。そこで、加害者が誰であっても、被害者側の事業者には自社の社員をパワハラから守るという雇用管理上の責務があると位置づけ、加害者側の事業者に対してパワハラ被害を通知するところまで義務づけて、その上で加害者側の事業者に雇用管理上の責務としての対応を求めるということを考えているようです。
 第3類型はもっと難しく、消費者保護法など現行法体系では消費者は弱い立場と位置づけられているため、消費者を加害者と位置づけること自体にハードルが高いのです。とはいえ、さまざまな分野で悪質クレーマーへの対策に要請があることから、何らかの対策を講じることができないか引き続き検討していきたいと述べています。ここは大変難しそうですが、どういう結論に至ることになるか、注目していきたいと思います。
 これはもちろん、民進党という野党内部での検討作業ですが、上述のように政府でパワハラ対策の検討会が立ち上げられることになると、その素材として議論の対象となっていくことが予想されます。第2類型やとりわけ第3類型を最初から規制対象にフルに取り込んでいくのは難しいかも知れませんが、大きな枠組としては石橋氏らが考えている方向性がかなりの影響力を及ぼしていくことも考えられ、人事労務関係者としては注目していく必要があるでしょう。

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海老原嗣生著・飯田泰之解説『経済ってこうなってるんだ教室』

002231こないだ、数人で呑んだ時に海老原さんが言ってた本がこれですね。海老原嗣生著・飯田泰之解説『経済ってこうなってるんだ教室』(プレジデント社)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://presidentstore.jp/books/products/detail.php?product_id=2898

日経新聞は読んでいるけど
わからないという人、もう大丈夫です!
小学生の算数と国語の力があればわかる
経済・金融の超入門書!

「おわりに」によると、これはリクルートの営業スタッフ向けの勉強会で長年喋ってきた内容をまとめたものとのことで、確かに本当にわかりやすくできています。はじめの為替のあたりはなんだか公文式の計算をやらされている感すらありますが、第3章のGDPとは何かってあたりは、よくわかってない人が多そうなので、結構役に立ちそうです。

さて、本書は第4部の第8章までは海老原さんの著述ですが、最後の第5部は「それでも分からないことはプロに聞く」と題して、飯田泰之さんによるちょっと進んだ解説編になっています。ここはそれこそリフレ派(「りふれは」に非ず)の代表としての飯田さんの見解が前面に出ていて、むしろエコノミストの中でいろいろと議論のあるところではないかと思います。

私はそのうち、労働経済学で論点になり得る「金融政策で雇用も改善するといいます。それはなぜですか?」という問いに対する飯田さんの答えが興味深かったです。

金融政策で雇用が改善すると言っても、記入政策で景気が回復して雇用が拡大するという話ではありません。それは当然の前提として、それではなく「インフレ率や期待インフレ率が上がること自体が雇用を改善する」という議論のことです。物価が高くなると名目賃金が下がらなくても実質賃金が下がるから、企業家が安く人を雇えるようになるので雇用が拡大するという議論ですね。同じイニシアルがIの人がよくいうロジックですが、飯田さんはこれに否定的です。

・・・わたし自身は、この物価と雇用の関係は、疑似相関ではないかと考えています。インフレになってPが上がると為替や資産価格の影響などから企業のバランスシートが改善し、需要が増加する。これによって経済全体が上向くので失業率が下がる。その始点と終点だけを見ると、確かに物価が上がると雇用が改善するように見えるわけですね。

 賃金の金額は下がりにくい(名目賃金の下方硬直性)ので、デフレが実質賃金の上昇を通じて雇用を悪化させることは多いでしょう。しかし、インフレ時にその議論が成り立っているかは疑問が残ります。

ただ、なぜか「物価が上がる(=インフレ)ことによる実質賃金低下が雇用を拡大する」という説が教科書では主流になっています。

これはもうど素人や初心者には何が問題になっているのかよくわからないハイレベルな話でしょうね。

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ロスタイム?

連合がこういう動画を作って流しているんですが・・・・、

うーーん、ロスタイムは残業かね、とついつい本質的なことを考えてしまうからいけないんでしょうか。

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『EUの労働法政策』は5月30日入荷予定

33565524 現在品切れ中でご迷惑をおかけしておりますが、『EUの労働法政策』は5月30日入荷予定ですので、いましばらくお待ちいただくようお願い申し上げます。

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/eu-labour-law.html

着実に進展を続けるEUの労働法について、労使関係法や労働条件法、労働人権法など労働法政策に係わる最新情報に基づき全体像がわかるよう1冊にまとめた決定版。

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必要なのは国家主権の進歩的なビジョン

例によって、ソーシャル・ヨーロッパ・マガジンから。

https://www.socialeurope.eu/2017/05/needed-progressive-vision-national-sovereignty/

Thomasfazi What Is Needed Is A Progressive Vision Of National Sovereignty

The last year has seen the Right and extreme Right capitalise on the dissatisfaction and despair fostered by neoliberalism – and usher in a ‘post-neoliberal order’. Their success is based on championing and monopolising the idea of national sovereignty, but only of a certain kind. The Left has accepted their discourse that national sovereignty goes hand in hand with exclusivist and right-wing ideas, rather than attempting to reclaim it as vehicle for change ・・・

昨年は右翼と極右が、ネオリベラリズムによって助長された不満と絶望をうまく利用し、「脱ネオリベラル時代」の到来を告げた。彼らの成功は国家主権の理念を掲げ、独占したことに基づくが、しかしそれは特定の種類の国家主権に過ぎない。左翼は、国家主権が排他主義と右翼思想と一体だという彼らの議論を受け入れてきた。それを変化のための手段として取り戻そうと試みることもせずに・・・。

So why has the mainstream left not been able to develop an alternative, progressive view of national sovereignty in response to neoliberal globalisation? The answer largely lies in the fact that over the course of the past 30 years, most strands of left-wing or progressive thought have accepted the false narrative that nation states have essentially been rendered obsolete by neoliberalism and/or globalisation and thus that meaningful change can only be achieved at the international/supranational level,・・・. Furthermore, most leftists have bought into the macroeconomic myths that the Establishment uses to discourage any alternative use of state fiscal capacities. For example, they have accepted without question the so-called household budget analogy, which suggests that currency-issuing governments, like households, are financially constrained, and that fiscal deficits impose crippling debt burdens on future generations. This is particularly evident in the European debate, where, despite the disastrous effects of the EU and monetary union, the mainstream left continues to cling on to these institutions and to the belief that they can be reformed in a progressive direction, despite all evidence to the contrary, and to dismiss any talk of restoring a progressive agenda on the foundation of retrieved national sovereignty as a ‘retreat into nationalist positions’ inevitably bound to plunge the continent into 1930s-style fascism.

ではなぜ主流派左翼はネオリベラルなグローバル化に対する対応としてそれに代わる進歩的な国家主権の見方を展開できなかったのだろうか?その答えは大幅に過去30年間にわたって左翼や進歩派の思想の流れが、国民国家はネオリベラリズムやグローバル化によって本質的に時代遅れになり、それ故意味のある変化は国際的ないし超国家レベルでのみ達成しうるという間違ったおとぎ話を受け入れてきたからだ。・・・さらに、多くの左翼は体制は国家の財政能力のいかなる代替的な活用にも反対だというマクロ経済神話を買い込んできた。たとえば、彼らは疑うこともなくいわゆる家計財政アナロジー、つまり通貨発行政府は家計と同様財政的に制約され、財政赤字は将来世代に債務の負担を課すという考え方を受け入れてきた。・・・

This, however, is tantamount to relinquishing the discursive and political battleground for a post-neoliberal hegemony – which, as we have seen, is inextricably linked to the question of national sovereignty – to the right and extreme right. It is not hard to see that if progressive change can only be implemented at the global or even European level – in other words,

if the alternative to the status quo offered to electorates is one between reactionary nationalism and progressive globalism– then the left has already lost the battle

これがしかし、ポストネオリベラル覇権の散漫な政治的戦場-上述のように国家主権の問題と密接にリンクしているのだが-を右翼と極右に譲り渡すに等しい。・・・もし選挙民に提示される現状維持に対する代替案が反動的ナショナリズムと進歩的グローバリズムの間であるならば、その時左翼は既に闘いに負けているのだ。

国家主権を(右翼の手から)取り戻せ、という危機感溢れる主張です。

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日中雇用・労使関係シンポジウム(再掲)

明日、明後日に明治大学で日中雇用・労使関係シンポジウムが開かれます。再度の告知になりますが、興味のある方は是非。

http://www.meiji.ac.jp/osri/topics/2017/6t5h7p00000o96nb.html

この度、われわれ明治大学現代中国研究所は、非正規労働をめぐる日中間での国際シンポジウムを開催することになりました。

北海道大学で5年前に第1回が開かれ、北京首都経済貿易大学で開催された2年前の第2回に引続き、今回第3回目の開催となります。

2日間にわたる過密スケジュールで誠に恐縮ですが、ご関心のあるセッションの参加だけでも、心から歓迎いたします。

皆様のご参加をお待ち申し上げております。(1日目と2日目の会場が異なるのでご注意ください)

明治大学現代中国研究所主催、明治大学労働教育メディア研究センター後援

第三回 日中雇用・労使関係シンポジウム ——非正規時代の労働問題——

(第三届劳动关系与劳工问题 日中学术研讨会——非正规雇佣时代的课题)

日程:2017 年5月20日(土)~21日(日)

会場:明治大学駿河台校舎リバティタワー1階 1012教室(5月20日)

    明治大学グローバルフロント1階 グローバルホール(5月21日)

司会:鈴木賢(明治大学法学部教授、北海道大学名誉教授)

通訳:及川淳子(桜美林大学グローバル・コミュニケーション学群専任講師)

   徐行(東京大学東洋文化研究所助教)

<5月20日>

会場:明治大学駿河台校舎リバティタワー1階 1012教室

9:00-9:30 参加者受付、資料配布

9:30 開幕

9:30-9:35

 日本側代表挨拶:石井知章(明治大学商学部教授)

9:35-9:40

 中国側代表挨拶:楊河清(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

9:40-10:40

 記念講演1 花見忠(上智大学名誉教授) 

 演題:「過労死問題の法文化的考察」

10:40-10:55 休憩

10:55-11:55

 記念講演2 常凱(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

 演題:「中国における非正規労働政策と課題」

11:55-12:20 質問と討論

12:20-13:20  お昼休み

13:20-15:00 <セッション1 非正規雇用と法規制>

コーディネーター 馮喜良(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

(発表時間:1人10分、通訳を含め20分以内)

1、濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構労使関係部門統括研究員)

  テーマ:「日本における非正規雇用の歴史」

2、陶文忠(首都経済貿易大学労働経済学院副教授)

  テーマ:「中国の非正規雇用労働についての境界設定」

3、劉誠(上海師範大学教授)

  テーマ:「Analysis on Anti-Labor Contract Law Viewpoints(反労働契約法的観点についての分析)」

4、範囲(首都経済貿易大学労働経済学院副教授)

  テーマ:「独立請負人、あるいは労働者:中国ネット予約タクシーの法律身分に関する境界設定————判例を基礎として」

15:00-15:20 質問と討論

15:20-15:35 休憩

15:35-17:15 <セッション2  労使関係と団体労使争議の処理>

コーディネーター  藤川久昭(青山学院大学法学部教授)

1、鈴木賢(明治大学法学部教授、北海道大学名誉教授)

  テーマ:「日本における非正規労働者の増加と労働組合」

2、早川智津子(佐賀大学大学院地域デザイン研究科・経済学部教授)

  テーマ:「日本の労使関係と紛争処理制度」

3、戸谷義治(琉球大学法文学部准教授)

  テーマ:「非正規労働者と団結権保障」

4、石井知章(明治大学商学部教授)

  テーマ:「非正規雇用問題に関する日中比較研究」

17:15-17:35 質問と討論

<5月21日>

会場: 明治大学グローバルフロント・グローバルホール

9:30-11:40 <セッション3 非正規就業労働者の権利保護>

コーディネーター  楊河清(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

1、龍井葉二(前連合非正規労働センター長)

  テーマ:「非正規雇用と労働運動~連合の取り組みを中心に」

2、高須裕彦(一橋大学大学院社会学研究科フェアレイバー研究教育センタープロジェクトディレクター)

  テーマ:「日本の非正規労働者と労働組合・労働NGOの取り組み」

3、馮喜良(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

  テーマ:「インタネット・プラットホーム雇用モデルにおける労働者権益の保護研究」

10:30-10:40 休憩

4、山下昇(九州大学法学部教授)

  テーマ:「能力不足を理由とする解雇の日中比較」

5、阿古智子(東京大学総合文化研究科准教授)

  テーマ:「戸籍をめぐる雇用差別から考える中国の労働者の権利」

11:40-12:00 質問と討論

12:00-13:00 お昼休み    

13:00-15:00 <セッション4 労働力市場の法規制>

コーディネーター  早川智津子(佐賀大学大学院地域デザイン研究科・経済学部教授)

1、梶谷懐(神戸大学大学院経済学研究科教授)

  テーマ:「中国の労働問題と日中関係—歴史的視点から」

2、小玉潤(社会保険労務士法人J&Cマネジメントパートナー代表社員、特定社会保険労務士)

  テーマ:「日本における過労死問題と法規制」

3、呂学静(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

  テーマ:「中国における新業態就業と失業保険問題に関する研究」

4、王晶(首都経済貿易大学労働経済学院副教授)

  テーマ:「中国における経済の労働関係享有に対する挑戦」

5、崔勛(南開大学商学院教授、博士課程指導教官)

  テーマ:「非典型労働者における雇用の安全感と公平感の組織アイデンティティに対する影響研究」

15:00-15:20 質問と討論

15:20-15:30 休憩

15:30-16:50 <セッション5 日中間における労働関係のホットイシュー>

コーディネーター  阿古智子(東京大学総合文化研究科准教授)

1、藤川久昭(青山学院大学法学部教授)

  テーマ:「労働裁判・労働審判手続において労働法学は有用か」

2、楊河清(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

  テーマ:「中日両国における過労問題研究状況の比較」

16:50-17:10 質問と討論

17:10-17:30 

 総括コメント:常凱(首都経済貿易大学労働経済学院教授)

17:30-17:35

 閉幕のあいさつ:鈴木賢(明治大学法学部教授)

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池田憲郎『ロシア革命』

28232256_1 ロシア革命100周年で岩波新書から出た本ですが、ソビエト崩壊から四半世紀たったいま、そのソビエト崩壊後の1994年に大学を卒業した研究者によってまさに歴史として書かれた本という意味で、いろんな意味で面白く読めました。

「歴史として」というのは、もはや現代史ではなくなった、つまり単なる過去の事実の再構成ではなく、今日ただ今の政治的課題をめぐる対立軸をそのまま投影する素材としての、「歴史認識」という言葉がそのまま政治的な立場の選択を迫られるような、そういうひりひりした土俵から一歩も二歩も身をひいたような、そういう意味で言っています。

という言い方は、もしかしたら著者の池田さん自身はいささか心外かも知れません。「はじめに」や「おわりに」では、池田さん自身の問題意識が熱っぽく書かれています。

なのですが、でも池田さんの叙述のタッチは、もはや今日ただ今の政治対立のどっちに付くか付かないかというような、そんなある時期まではロシア現代史や中国現代史をほぼ全面的に覆っていたような、そういう空気から遥か遠くに来ているという感覚だけは感じられます。

おそらくある時期までであれば、反革命的カデット寄り史観とか日和見メンシェビキエスエル史観とかと政治的非難を浴びたであろうその叙述も、実のところ同情的というよりはむしろ哀れみに満ちた冷ややかさに溢れていて、近世の宗教戦争を描く筆致に近いものすら感じます。

本書の中で一番面白いのはコルニーロフの陰謀という名の下手な田舎芝居を描いているところですが、一国の首相と最高総司令官の間の笑劇じみた伝言ゲームが破局をもたらしていく姿を描くその筆致は、おそらく上の世代の研究者にはできないものなのでしょう。

池田さんは1971年生まれで、少なくとも大学学部生時代まではソ連という国が存在していましたが、その下には物心ついた時にはソ連なんてなかった世代が続々と続いています。

『団結と参加』を書く時に、労働組合関係で塩川著、下斗米著、辻義昌著などに一通り目を通したとはいえ、ロシア革命自体を描いた単著を読むのは、実は大学時代のE.H.カー以来なので、その間の時代の変化を強く感じた次第です。

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第1回勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会

ということで、先週土曜日(5月13日)に開かれた産業衛生学会のシンポジウムのトピックであった勤務間インターバル制度が、3月末の働き方改革実行計画に書き込まれ、それを受けて昨日(というか昨晩かな、17:00-18:30てのは)、第1回勤務間インターバル制度普及促進のための有識者検討会が開かれたようで、その関係資料がアップされています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000165043.html

今後の進め方を見ると、7月頃の第2回で企業の事例、9月頃の第3回で労働組合の事例、その後1,2か月に1回開催して導入マニュアルの作成を考えているようです。

TakahashiKubo「勤務間インターバル制度を取り巻く状況等」にも、先のシンポに出ていたKDDIに加えて、ユニチャーム、本田技研などいくつかの企業の事例が載っていますし、もっと詳しい事例集の方には、先のシンポに出た安衛研の高橋正也さんと久保智英さんの対談が載っていて、この問題を考える上でのいい参考資料になっています。

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労働政策フォーラム「The Future of Work」基調報告スライド

先週金曜日に国連大学で行われた労働政策フォーラム「The Future of Work」で、わたくしが行った基調報告のスライドがアップされていますので、ご関心のある方はどうぞ。

http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20170512/resume/01-kicho-hamaguchi.pdf

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